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特別支援学級で成長する子ども

わが子を、通常学級に入れるか特別支援学級に入れるかで悩む親は多い。基本は、その子にとって一番合っている教育(学級)は、現時点でどちらかという一点である。親のミエを乗り越え、学校や医師の意見を聞き、冷静に判断すべきだろう。
特別支援学級での授業の様子を知ることは、判断するうえでの参考になる。そんなわけで、ハンドベースボールの授業の様子を紹介する。

特別支援学級で成長する子ども (2009.6.6) 第590号
ーハンドベースボールを楽しむ子供ー

運動会が終わり、体育では「ハンドベースボール」を指導することになっている。

私の願いは、担任しているAさん、Bさんが通常学級の子供たちと同じように、ハンドベースボールを楽しめるようになることである。そのために、特別支援学級担任の私が打っている手は?

Aさんも、Bさんも、特別支援学級での体育が2時間、交流の体育が1時間である。

【事前に打った手】

まず、ハンドベースボールの交流学年でのルールを事前に確認した。
・ファーボールはなし。三振はあり。
・スリーアウトチェンジ。
・フライやライナーを捕ればアウト。
・リードや盗塁はなし。

次に、使う野球道具を確認した。
・コンニャクボールとプラスチックのバットを使用。(当初はハンドベースボールということで、手で打つ予定で合ったのが、子供の希望で変更になったそうだ。)
・1塁、2塁、3塁、本塁のベース。

なるべく同じようなルールで、同じような道具を使いたいところだ。

そして、家から「野球盤ゲーム」(アキコにクリスマスに買ってあげたもの)をもっていき、それで遊びながらルールを教えた。
幸いなことに、AさんもBさんも「野球盤ゲーム」に興味を示し、喜んで遊んだ。

【特別支援学級での体育「ハンドベースボール」】

さて、今週から特別支援学級での体育は「ハンドベースボール」である。
私がピッチャー(打ちやすいボールを投げるため)でボールを投げる。
それを、Aさんが打って、Bさん(と私)が守る。
1アウトでチェンジ。
今度は、Bさんが打って、Aさん(と私)が守る。
1塁しかなく、打ったら1塁を踏んで本塁に戻ってきて1点となる。
フライを捕られたり、本塁に戻るまでにタッチされたりすれば、アウトである。

私「ほら、いくよ~。えい。」

Aさん(バットを振って、センターオーバーのヒット。センターにはBさんが唯一守りについている。)「やった!」(すばやく1塁を回り、本塁を踏む。)
「1点だ。先生、すごいでしょ、ボク!」

私「すごいね。」

こんな感じで、1時間3回の攻撃のうちに、10点も点を取ったAさんは、大満足。何回も、「先生、ボクってすごいでしょ。」と言っていた。

今度は守りに入るAさん。Bさんが打つ番だ。

私「ほら、いくよ~。えい。」

Bさん(バットを振って、センター前のヒット。センターにはAさんが唯一守りについている。)「やった!」(すばやく1塁を回り、本塁に向かう。)

Aさん(ボールはストレートに届かないが、フォーバウンドぐらいして、本塁にいる私の所に来る。)「あ~。」(ボールを遠くは投げられない。ボクって守りはダメだな~)

私「いい感じだよ。ちゃんとホームにボールが来ているよ。」

攻めるときは、自分一人だから、すぐに打順が回ってくるというか、いつも打つ番だ。
守るときも、自分でボールを追って、ホームにいる私めがけて送球するので、これまた運動量が多い。
私が打ちやすいところに投げているし、6振(5回まではストライクでもアウトにしない)でアウトにしたりしたので、二人ともバンバンヒットを打っているのである。
たった3回の攻撃で、Aさんは10点、Bさんは7点入れた。
こんな感じで汗びっしょり。

Aさん「守りはちょっとだけど、ボクって天才打者。すごいでしょ。」

とても満足した二人であった。

少人数で特別の配慮のある特別支援学級ならば、何回も何回も打順が回って、打ちやすいところにボールが来るのでよく打て、十分楽しめる。練習量も多いので、自然に打つ力も身についてくる。
守備も同じで、自分が中心になってやらなければならないので、必死である。ボールを捕り、アウトにできるように下手でも毎回毎回必死で投げてくる。私は、うまいところを見つけてほめるので、やる気は続く。
タッチの差でセーフにしてあげたり(その方が必死で走る)、徐々に投げるボールを速くしたり、私の方で少しずつ鍛えている。また、徐々に6振制から3振制にするつもりである。

通常学級の中に入ると、「(下手)もっといいところに投げて!」と言われたり、通常のスピードのボールを打てなかったり、そもそも順番が待てなかったりするかもしれない。
そんな中で、「ボク、やだ!」と言って投げ出すかもしれない。すんなりとはいかない場合も多い。

それでも、こうして楽しみながら鍛えていけば、7,8人で1チームの通常学級の中でのハンドベースボールに徐々に入っていけるようになるに違いない。

算数のノート記録を全くとることができなかったAさんが、特別支援学級での2年余りの指導ででできるようになったこと。そして、今では通常学級で算数の授業を受け、通常の子と全く変わらずにノート記録をとっている姿を思い起こすと、特別支援学級での積み重ねがいつかは功を奏すると考えている。

●わが子を、通常学級に入れるか特別支援学級に入れるかで悩む親は多い。基本は、その子にとって一番合っている教育(学級)は、現時点でどちらかという一点である。親のミエを乗り越え、学校や医師の意見を聞き、冷静に判断すべきだろう。
特別支援学級でのあり方もいろいろだ。国語算数だけ通って学習し、あとは通常学級で学んでいるケースもある。あり方も、その子の成長に応じて変化していく。

●さて、その週の交流体育は、同じく「ハンドベースボール」であった。Aさんには、指導員のBさんが付いている。Aさんは、ボールをうまく捕れない。そこで、B指導員さんは、「Aさんにはボールを転がしてパスして欲しい」と頼んだそうだ。Aさんは、相手が打ったボールもよくトンネルする。そこで、B指導員さんが付いて、トンネルしたボールを拾ってAさんに転がす。その転がしたボールを、Aさんが捕って投げたそうだ。また、Aさんがバッターの時は、B指導員さんが打ちやすいボールを投げたそうだ。Aさんはそのボールをホームランにしたようで、「ボク、ホームラン打ったんだよ。」と嬉しそうにボクに報告した。( 私は、その間別の子に算数を教えていた。)特別支援学級に在籍するAさんは、交流学習においてもサポートが付くのである。こうして、Aさんは楽しみながら交流学習も進め、成長していく。

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