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心やすらぐ「おやすみ」のあいさつ──子どもを愛される存在に育てる躾

《読み始める前に》

子どもの躾というと、つい「きちんとすること」「親の言うことを聞くこと」のように考えがちです。

でも、本当に大切な躾は、子どもを窮屈にするためのものではありません。

むしろ、子どもが周りの人をあたたかい気持ちにし、周りの人からも自然に愛されるようになるためのものなのだと思います。

今回は、アキコが寝る前に必ず言いに来てくれた「おやすみ」のあいさつの話です。

たった一言のあいさつ。

けれど、その一言が、父親である私の心をどれほどやすらげてくれたか。

そして、あいさつの躾が子ども自身をどれほど美しく、かわいらしく見せてくれるか。

そんなことを、あらためて思い出させてくれる出来事でした。

プレパパや、小学生までの子どもを持つパパに向けて、子育ての中で大切にしたいことを綴っています。
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パパの子育て奮戦記 第64号|「あったかい家族日記」第303号 再構成版
長女アキコ(8歳)、次女クニコ(4歳)、ママ、パパ(私)、祖母(71歳)


毎晩、書斎にやってくるアキコ

アキコ「お父さん、おやすみ」

私「ああ、おやすみ」

アキコは、毎日寝る前に、私の書斎のドアを開けます。

そして、私に「おやすみ」とあいさつをしてから、寝室へ行きます。

ときには、「アキコ、待ってるから早く来てね」と言うこともありました。

私にとって、それは心のやすらぐ、ほっとした瞬間でした。

この「おやすみ」のあいさつが、完全に習慣になって、もう1年以上たっていたでしょうか。


絵本を読んだあと、私は書斎へ

毎晩9時30分ごろ。

寝室でアキコに絵本を読んでやったあと、私はみんなに「おやすみ」と言い、書斎で一仕事をすることが多くありました。

寝室は和室。

家族4人で、川の字になって寝ていました。

アキコはその後、自分でも少し本を読み、10時前には寝るようにしていました。

そして寝る直前、トイレに行くのですが、そのとき必ず、まず1階のあ〜ちゃんに言いに行きます。

アキコ「あーちゃん、おやすみ」

それから、私の書斎にもやってきます。

アキコ「お父さん、おやすみ」

そう言ってから、寝室へ戻っていくのです。


一日の終わりに聞く「おやすみ」

書斎での一仕事といっても、実務の仕事ではありません。

一日を振り返り、明日の予定を立て、祈る。

そうした、一日の締めくくりの時間でした。

実務上の仕事は、朝4時や5時に起きてやることが多かったのです。

一日を終えようとしている時間。

その日を振り返りながら、少しほっとした気持ちでいるとき。

そこへ、アキコの顔が見えます。

そして、同時に「おやすみ」という言葉が聞こえてきます。

それは、本当に心やすらぐ瞬間でした。

「ああ、あったかい家族だな」

そう実感する瞬間でもありました。


「おやすみ」は、最初からできたわけではない

では、アキコはどうやって、「おやすみ」のあいさつをする習慣を身につけたのでしょうか。

2年前、転勤先のN市から、アキコの小学校入学に合わせて自宅へ戻りました。

そのとき以来、私はずっと「おやすみ」のあいさつについて躾けてきました。

私「あ〜ちゃんに『おやすみなさい』って言ってきたか?」

アキコ「言ってきたよ」

もちろん、はじめからできたわけではありません。

最初のころは、

アキコ「あっ、忘れてた」

ということも、よくありました。

でも、来る日も来る日も、言い聞かせてきました。

すると今では、何も言われなくても、自分からあ〜ちゃんと私に「おやすみ」と言いに来るようになったのです。


「身が美しい」と書いて、躾

「身が美しい」と書いて、躾と読みます。

「おやすみ」と言うアキコは、確かに美しい。

そして、何よりもかわいいのです。

もちろん、存在そのものがかわいい。

でも、「おやすみ」と言いに来るアキコは、なお一層かわいく感じられました。

これは、おそらく、というより間違いなく、あ〜ちゃんも同じように感じていたと思います。

あいさつをする子は、周囲の心を癒し、

その場の空気をあたたかくします。

そして、より愛される存在になっていきます。


よく躾けられた子は、周囲を癒やす

よく躾けられた子は、周囲を癒やします。

そして、周囲により愛されます。

これは、決してきれいごとではありません。

「おやすみ」と言える。

「ありがとう」と言える。

「おはよう」と言える。

「いってきます」「ただいま」と言える。

そうした日常の小さなあいさつは、家族の心をあたため、癒します。

そして、子ども自身を、まわりの人から愛される子に育てていきます。

もちろん、それは教育の結果です。

何も言われなくても、はじめから自然にあいさつができる子など、いません。

親が根気よく伝えていく必要があるのです。


我が子の幸せのために、躾ける

そもそも躾は、誰のため、何のためにするのでしょうか。

それは、何よりも我が子の幸せのためにするものです。

そして、我が子とかかわる人たちの幸せのためにするものでもあります。

もちろん、その中には家族も含まれます。

あいさつができる子は、周りをあたたかくし癒します。

周りをあたたかくする子は、周りからも愛されます。

だからこそ、日々の小さなあいさつの躾を大切にしていきたい。

寝る前の「おやすみ」。

朝の「おはよう」。

出かけるときの「いってきます」。

帰ってきたときの「ただいま」。

そんな小さな一言を、家庭の中で大切に育てていくこと。

その躾は、何よりも子どもの幸せのために、そして家族を含めた周囲の幸せのために、繰り返し繰り返し粘り強く育むものだと思います。

一度身につけば、その子の生涯の財産になるものですから。
(2007年2月3日記)


今、振り返ってみて

日常の言葉の躾は、家庭で育てるもの

受験向けの学習塾は数多くあります。
ピアノ、エレクトーン、野球、サッカー、新体操、スイミングなど、習い事もたくさんあります。

けれど、「あいさつ」や「ありがとう」といった日常の言葉の躾を、専門に教えてくれる塾は、まずありません。

そう考えると、こうした日常の言葉の躾は、やはり家庭で育てていくものなのだと思います。

もちろん、学習塾も習い事も大切です。
それらの究極の願いは、子どもの幸せにあるのでしょう。

だとすれば、あいさつの躾もまた、子どもの幸せにつながる、大切な教育です。

「おはよう」
「いってきます」
「いってらっしゃい」
「ただいま」
「おかえり」
「ありがとう」
「いただきます」
「ごちそうさま」
「おやすみ」

こうした日常の小さなあいさつは、生涯にわたって、その子の財産になります。

人から感じよく受け止めてもらえる。
周りの人をあたたかい気持ちにできる。
家族や友人、職場の人間関係をやわらかくできる。

それは、人生を支えてくれる大切な力です。

だからこそ、繰り返し繰り返し、粘り強く育む価値があるのだと思います。

根気よく伝え続けた、毎日の声かけ

今振り返ると、当時の私は、毎日のようにアキコに声をかけていました。

私「あ〜ちゃんに『おやすみなさい』って言ってきたか?」

最初は、忘れることもありました。
でも、声をかけ続けました。

その結果、アキコは自分から「あ〜ちゃん、おやすみ」「お父さん、おやすみ」と言いに来るようになりました。

このことについては、当時の私を少しほめてあげたいと思います。

厳しく怒鳴って身につけさせたわけではありません。
毎日の暮らしの中で、根気よく伝え続けた。

その積み重ねが、アキコの中に、ひとつの美しい習慣として残っていったのだと思います。

高校時代まで続いていた「おやすみ」

そして後になって、その意味の大きさをあらためて知ることになります。

長女アキコが高校を卒業し、県外の大学へ進学したときのことです。
一番寂しがったのは、あーちゃんでした。

あーちゃん「いつも『おやすみ』と言ってくれたアキコがいなくなって、寂しいて」

その言葉を聞いたとき、私は驚きました。

なんとアキコは、高校時代になっても、寝る前にあーちゃんへ「おやすみ」と言い続けていたのでした。

小学生の頃に身についた「おやすみ」の習慣が、高校生になっても続いていたのです。

あーちゃんにとって、その一言は、どれほど嬉しかったことでしょう。

一日の終わりに、孫が顔を見せてくれる。
そして、「おやすみ」と言ってくれる。

それは、あーちゃんにとって、毎晩の小さな幸せだったのだと思います。

あいさつは、子どもに贈る人生の財産

あいさつの躾は、子どものためのものです。
でも、それだけではありません。

その子と関わる人たちの心も、あたためていきます。

そして結果として、その子自身も、周りの人からより愛されるようになります。

「おやすみ」の一言。
たったそれだけのことかもしれません。

けれど、その一言が、家族の心に長く残ることがあるのです。

だから私は、今あらためて思います。

あいさつの躾は、子どもに贈ることのできる、生涯にわたる大切な財産なのだと。
(2026年6月3日記)

📝 自分に問いかけてみる時間

親があいさつの模範を示すことは、とても大切です。

でも、それだけで子どもに自然と身につくとは限りません。

親がまず自分からあいさつをする。
そのうえで、子どもにも「言ってごらん」とやさしく働きかける。

その両方が必要なのだと思います。

あいさつの習慣は、すぐには身につかないかもしれません。

数週間でできるようになることもあれば、何か月もかかることもあります。
場合によっては、1年がかりの躾になるかもしれません。

でも、あいさつには、それだけの価値があります。

一度身につけば、家庭の中だけでなく、学校でも、職場でも、地域でも、その子を助けてくれる力になるからです。

ここで少し、自分に問いかけてみてください。

わが家では、どんなあいさつを大切にしているでしょうか。

子どもに身につけてほしいあいさつは、何でしょうか。

そして私は、そのあいさつを、日々の暮らしの中で、どれくらい子どもに見せているでしょうか。

完璧でなくていいのです。

まずは、ひとつ。

わが家で大切にしたいあいさつを決めることから始めてみればよいのだと思います。

📝 簡単なワーク

まだ子どもが小さいうちは、あいさつの習慣を育てやすい時期でもあります。

親の言葉を比較的素直に受け止めてくれるからです。

もちろん、最初から上手にできなくてもかまいません。
忘れる日があってもかまいません。

大切なのは、親があきらめずに働きかけ続けることです。

まずは、次の中から、わが家で大切にしたいあいさつをひとつ選んでみてください。

「おはよう」
「いってきます」
「いってらっしゃい」
「ただいま」
「おかえり」
「ありがとう」
「いただきます」
「ごちそうさま」
「おやすみ」

選んだら、今日から1週間、そのあいさつを親子で意識してみます。

たとえば、「おやすみ」を選んだなら、寝る前に子どもが家族に「おやすみ」と言えるように、やさしく声をかけてみます。

「あーちゃんに、おやすみって言ってこようか」
「お父さんにも、おやすみって言ってくれる?」
「今日も言えたね。うれしいな」

そんなふうに、あいさつをしたこと自体を、あたたかく受け止めてあげます。

習慣になるまでは、根気がいります。

でも、それだけの価値があります。

あいさつは、周囲の人をあたたかくします。
そして、そのあたたかさは、やがて本人の幸せにも返っていくのです。

まずは、わが家の小さな一言から。
今日の夜、あるいは明日の朝から、ひとつ始めてみませんか。


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最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

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この記事は、2007年2月3日のSo-netブログ原稿「あったかい家族日記『心やすらぐ『おやすみ』のあいさつの躾!」をもとに整えた再構成エディションです。

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