《読み始める前に》
子どもが小さい今、この時間の過ごし方が、
実はその子の一生を支える“見えない土台”になるとしたら──。
3歳までの子どもとのかかわりについて、
パパとして、教育に携わる一人として、考えたことを綴ります。
パパの子育て奮戦記:第68号
長女アキコ(7歳)、次女クニコ(3歳)、ママ、パパ(私)、祖母(69歳)
3歳までの子どもが、親に見せてくれるもの
仕事柄、教育や育児に関する本を、これまでたくさん読んできました。
どの本だったかは忘れてしまいましたが、
次のような一文が強く印象に残っています。
子どもは3歳までの間に、一生分の「かわいさ」を親に見せる。
大きくなって、子ども自身はその頃のことを忘れてしまうが、
親はそのときのかわいかったことの数々を覚えている。
だから、子どもが成長して反発するようになっても、
親はそのときの記憶があるから、愛情をもって受け止め(耐え)られる。
確かに、3歳までの子どもは、言葉にならないほどかわいい存在です。
7歳になった長女のアルバムを開くと、
小さかった頃の表情や仕草が一気によみがえり、
それだけで、あっという間に幸せな気持ちになります。
(もちろん、今の7歳のアキコも同じくらいかわいいのですが。)
「覚えていなくても、体が覚えている」
私は、この話は親だけでなく、
子ども自身にも同じように言えるのではないかと思っています。
小さい頃に
「親に愛情をもって大切に育てられた」
という経験は、本人が成長して思い出せなくなっても、
体の中や、脳の奥深くに、しっかりと染み込んでいる。
3歳以前の記憶は「遮蔽記憶」と呼ばれ、
通常はなかなか思い出せないと言われています。
それでも、その経験は消えてしまうわけではなく、
目に見えない深いところで、親子の強い絆として残り、
その後、人生でさまざまなプレッシャーや試練に直面しても、
それを乗り越える力になっているのではないか──
そんなふうに感じています。
幼少期の安心感が、その後の人生を支える
そういえば、
「5歳のときに両親を虐殺された経験をもつユダヤ人の子どもが、
それまでに幸せな家庭生活を送っていたため、
大人になってからも幸せな人生を送ることができた」
という話を読んだことがあります。
真偽の詳細はさておき、
幼い頃に得た安心感や愛情が、
その後の人生を支える力になるという点では、
深くうなずかされる話でした。
小さいときこそ「子育ての黄金時代」
子どもが小さい時期こそ、
子育てにおいてー子どもとのかかわりをつくるーまさに“黄金時代”だと思います。
この時期、子どもは
親の支えなしには、成長どころか、生きていくことすら難しい。
一生のうちで、最も親の存在を必要としている時期です。
体の中または脳の奥深く染み込んだ
「愛情をもって大切に育てられた」という経験があるかどうかが、
親子の絆の土台となり、その子の一生の幸せを大きく左右する。
私は、そう考えています。
「仕事だから」を、当たり前にしない
作家の本田健さんは『きっと、よくなる』の中で、
次のように書いています。
「仕事だから」という言葉は、
それさえ言えば何でも許されてしまう、魔法の言葉の一つです。
仕事を理由に、たくさんの大切な思い出が失われています。
サッカーや野球の試合、ピアノやバレエの発表会、運動会、誕生日などの大切な日に、お父さんお母さんが仕事が来られないことで、寂しい思いをしている子供がどれだけいるでしょう。また「仕事だから会えない」ということで、どれだけのカップルが愛を失っているでしょう。
また、7つの習慣のコヴィー博士は
「家庭に改善を望むなら、
『仕事は犠牲にできない』という前提を、
『家族は犠牲にできない』という前提に変えるところから始めるべきだ」
と述べています。
仕事も、家族も、どちらも大切にするために
私は、仕事も犠牲にできないと思っています。
仕事を優先せざるを得ない時期や時間があることも、事実です。
しかし、それと同じくらい、
あるいはそれ以上に、
家族を優先する時期や時間も、必要だと思っています。
私は小学校教員ですが、
人様の子どもを一生懸命教えるあまり、
「自分の子どもは後回しになってしまいました」
──そんなことは、決して言いたくありません。
そのために、
帰宅後のふれあいの時間を大切にし、
週に一度は「家族の日」を設け、
運動会や誕生日などの行事も、できる限り参加してきました。
これからも、その決意は変わりません。
(2005.8.15記)
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今、振り返ってみて
「幼い時期のかかわり」は、一生を支える“心の土台”になる
この「幼い時期のかかわりが重要」という話は、
心理学でいう**愛着形成(アタッチメント)**の大切さを指しています。
愛着形成とは、
子どもが
「この人は自分を守ってくれる」
「困ったら、ここに戻ってきていい」
と感じられる**安全基地(セーフベース)**を、
特定の養育者(通常はママパパ)との関係の中で築いていくことです。
ここがしっかりと形づくられると、
子どもの心には安定した土台ができ、
その後の学び・挑戦・自立を、内側から支える力になります。
特に大切なのは、0歳から2歳までの時期
愛着形成において、
特に大切だと言われているのが、
0歳から2歳ごろまでの時期です。
この時期の子どもは、
-
自分一人では生きていけない
-
親の存在がすべて
と言ってもいいほど、
親の関わりを必要としています。
だからこそ、
・そばにいること
・声をかけること
・触れること
・一緒に過ごすこと
そうした当たり前の関わりが、
子どもの体や心の奥に、「自分は大切にされてきた」という感覚として、
深く染み込んでいきます。
わが家では、この期間、ママが専業主婦として
子どもたちと向き合ってくれました。
私自身も、仕事に真摯に向き合いながら、
絵本の読み聞かせをしたり、
一緒にお風呂に入ったり、遊んだりと、
言葉がけとふれあいを大切にしてきました。

次女に絵本の読み聞かせ中
大きくなっても続く関係の“原点”
その結果かどうかは確証はありませんが、
子どもたちは、意欲的に学び、さまざまな活動に挑戦し、社会人として自立していきました。
さらに、子どもたちは中学生・高校生・大学生、
そして社会人になった今でも、
一緒に旅行に行き、
楽しく会食し、
自然に会話ができる関係でいてくれています。

2018.11.3 大学生の長女と東京にて
それは、幼い時期のかかわりを大切にしてきたことが大きいと思います。
さらに、振り返って思うのは、
幼い時期だけでなく、子育て期間を通して一貫して、
「家庭を仕事の犠牲にしない」
「仕事も家庭も、どちらも大切にする」
そう決めて、やり通してきたことが、
今の関係につながっているのではないか、と思います。
それは決して辛いことではなく、
とても楽しい選択でした。
楽しい時間も、
ときにはしんどかった時間も、
家族で共有してきたこと。
その積み重ねが、
今の親子関係を支えてくれていると感じています。
📝 自分に問いかけてみる時間
小さい頃の家族とのふれあいは、
大きくなってからの親子関係に、確実に影響します。
そのことを踏まえて、
少しだけ立ち止まって考えてみてください。
1️⃣
団らん・遊び・読み聞かせ・お出かけ・家族旅行など、
「一緒に過ごす時間」を、意識して大切にしていますか?
2️⃣
つい仕事を優先して、
家庭を後回しにしてしまっていませんか?
仕事は、認めたくないかもしれませんが、
代わりの人がいます。
けれど、
その子にとってのパパママの代わりは、誰にもできません。
📝 簡単なワーク
今日からできる、小さな一歩
① 子どもとふれあう機会を一つ決める
たとえば、
「一緒にお風呂に入る」
それだけでも、十分なスキンシップになります。
②「家庭を仕事の犠牲にしない」という決意を、言葉にする
紙に書いてもいいですし、
心の中でそっと確認するだけでもかまいません。
「ねえ、パパ」「ねえ、ママ」と、
少しうるさいくらいに呼んでくれる時期は、
本当にあっという間に過ぎてしまいます。
せっかく手にした
“親としてのパスポート”。
子育てという旅を、
もう少し味わい、もう少し楽しんでみませんか。
そのために必要なのは、
まずは一つの決意だけなのだと思います。
今一度、
自分の価値観の優先順位を、
そっと見直してみてはいかがでしょうか。
(2026/1/4)
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「あったかい家族日記」は、長女アキコ(2025年8月現在27歳・既婚)と次女クニコ(23歳・公認会計士)の成長を、パパの視点で約20年間にわたり綴った実録子育てエッセイです。
*二人が幼児だった頃から大学入学、そして結婚前後までの家族の日々を記録し、累計アクセス数は400万を超えました。
*七田チャイルドアカデミー校長・七田眞氏にも「子育てに役立つブログ」として推薦された本連載は、So-netブログ閉鎖(2025年3月)を機に、「記録」と「今の視点」を重ね合わせて再編集した〈日々の記録に、“今”を添えた子育てエッセイ〉として、noteで再連載しています。
*この文章は、2005年8月15日にSo-netブログで公開された
『幼いときの子供とのかかわりが特に重要』に、
「今、振り返ってみて」を加筆した再構成したエディションです。


