処女作『うちの子、どうして言うこと聞かないの!と思ったら読む本』の中で、お米も野菜も食べられないすさまじい偏食のマサヤ(仮名)くんー小1男児ーが登場する。
その子のママと協力して、1年余りかけて、一粒もお米を食べられなかった状態だったマサヤくんは、野菜もお米も食べられるようになった。マサヤくんとは、その実践記録に登場した本人である。
マサヤくんは小1から特別支援学級に入り、私は「この子が卒業するまで、担任しよう!」と決め、実際卒業まで担任した。(マサヤくんが卒業すると同時に転勤した)
そのマサヤくんとそのママに15年ぶりに会った。
🔸1マサヤくん(仮名)とそのママに会った理由
現役の教師であるならば、担任を外れた後で、プライベートで会うことはない。
退職後であれば、同窓会に呼ばれるなどがなければ、会うことはない。
では、なぜ会ったかと言うと、
①卒業後も毎年毎年15年間ずっと年賀状をくれたこと。そして、年賀状に近況(メッキ工場に勤めているなど)報告と合わせて、「どこかでお会いできるといいですね」と書かれていたから。
②私も、実際に会ってマサヤくんの成長ぶりを知りたいなと思ったから。
③退職後、自宅で発達凸凹な子ども専門の学習塾ミラクルを開いているのだが、小学生からずっとミラクル中にきているA男くん(中2)が、マサヤくんの通っていたT特別支援学校も進路の選択肢の一つに挙げていて、実際に通わせたママから、T特別支援学校についてどうだったかの感想を聞きたかったから。
この3つが理由である。
🔸2 家庭訪問でママと会う
電話でアポと取ってからと思ったが、電話番号が分からず、直接アポを取るために、2025/01/13(祝日)家庭訪問をした。
ママが出てこられて会った瞬間、「先生お久しぶりです、懐かしいです…」と笑顔で言われた。
私「本当に懐かしいです。お母さんも、お変わりなくお元気そうですね。マサヤくん元気ですか…」と笑顔で返した。
ママの話を要約すると
・マサヤくんは、T特別支援学校を卒業後、介護施設に3年間(週4日)勤めたけれど、トラブルがあって、辞めたこと。(辞めてほしいと言われたそうだ)
・その後、ある作業所で働いていたところ、障がい者に理解のある、メッキ工場の社長さんを紹介されて、ここ2年間そこで働いていること。
・給料も前の介護施設では月収7、8万円だったけど、今のメッキ工場では、朝8時半から夕方5時まで働いて、手取りで15万円ほどもらえること。残業があると、もっともらえること(ただし、ボーナスは2万円ほど)。
・以前は通勤に45分もかかったけど、今のメッキ工場までは15分で行けること。
こんな話をしてくれた。
私は、「手取りで15万円とはすごいですね!」
と答えていたのだが、ママは懐かしさのあまりにか、少し涙ぐんでいた。
実は、私も少し涙が滲んできた。
🔸3 本人マサヤくんと会う
10分ほど、玄関口で話しているうちに、マサヤくん本人が来た。
私「おっ、マサヤくん! 大きくなったね!」
マサヤ「先生も元気そうで。覚えてくれていて、うれしいです…」
私「覚えているに決まってるじゃないか!…」
本当に大きくなった。身長160cmの私よりも、10センチ以上高い。
体つきも、プロレスラーのような感じである。
ママ「マサヤ、ちょっと太ってしまって…」
私「マサヤくん、月収15万なんてすごいじゃない!?」
マサヤくんも、ニコニコしながら、メッキの仕事について身振りを交えて簡単に説明してくれた。
以前の介護の仕事よりも、自分に合っているという。
ここでもマサヤくんの成長ぶり、そして懐かしさの余り、うるっときてしまった。
今回は、アポを取るための訪問だったのだが、かなり話をすることになった。
T特別支援学校での様子について話を聞くために、再度訪問することを約束して別れた。
この間15分ほどのことである。
それにしても、マサヤくんは、大きく成長してメッキ工場で働き、手取り15万とは立派に自立している!
本当にうれしくなった!
※ マサヤくんは、入学時、IQ63で高機能自閉症と診断されていた。それでも、立派に就職して、経済的にも自立している。