子どもは、親の立ち振る舞いを見、小さいときほどそれを無批判に受け入れていく。これを「モデリング」という。窓の開け閉めから部屋の美観、お金の使い方までその影響は大きい。その辺りを自覚して、親は模範となり、よいものを伝えていきたい。(2218号 2006.8.26 長女8歳、小2)
親の立ち居振る舞いは、子どもに伝播する
一昨日書斎に入ると、窓が閉まっている。しかも鍵までかかっていた。2階にある我が書斎に鍵をかけることは、私はまずない。
おかしいと思った私は、妻に聞いた。
私「誰だい、ここの窓を閉めたのは?」
妻「アキコなんだわ。」
私「アキコか、う~ん。鍵までかけてるんだな。(私はいつもかけないのに)」
妻「私がいつも(2階でも)鍵をかけているからだわ。」
私「なるほど……。」
親(特に母親)の影響は大きい。「2階でも鍵をかけるんだよ。危ないからね。」と取り立てて教えたわけでもないのに、こうである。
子どもは親の立ち振る舞いを見て、とりわけ小さいうちはそれを是として受け入れていくわけである。モデリングというより、刷り込み(imprinting)に近いかもしれない。
お金の使い方(信念・価値観)もモデリングされる
振り返ってみれば、私のお金の使い方もそうである。
我が家は決して裕福ではなかったが、私は、本屋(学習書など)ではつけでいくらでも買うことができた。だから、大人になった今でも、本やセミナーなど、万単位でもさして抵抗なく買うことができる。
ところが、洋服となると1万円はもちろん、5千円でも抵抗感が生じる。いつも冬のセーターは冬の終わりに買うというように、割引でないとまず買えない。これも親がそうだった(割引で買っていた)からである。
身の回りの環境も整える
実母は、孫についてその辺りをうるさいくらいに気遣っている。
実母「家に合わない、安物のミラー(私が学生時代にアパートで使っていたもの)なんて部屋に置いておくんじゃないよ。アキコによくない。」
実母「アキコの部屋には、ちゃんとよいカーテンを付けてきれいにしておきなさい。汚いのに慣れさせてはいけない。」(私は、カーテンなんていらない あるいは 使い古しのものでよいと考えていた。)
小さいときに触れたことが体に染みついてしまうことを、実母は体験的に知っているのだろう。
親が意識しようとしまいと、親の立ち振る舞いは(身の回りの環境も)、子どもにー小さいときなら無批判にー伝播する。これを「子どもは親の背中を見て育つ」という。心理学的には、親の「モデリング」という。
できるだけよいものを伝えたいと思っている。
それには、親は、モデリングされていることを自覚して、反面教師ではなく模範になる他あるまい。
あるいは、身の回りの環境を整えていくことだ。