★「わが子を幸せにしたい」というのは、親が子に抱く究極の願いであろう。
では、わが子が幸せになるためには、どうしたらよいのか。そのための生き方の原則のようなものを教えたいと、強く思った。こうして出来上がったものが「幸せになる5つの約束」である。
参考にしたのは、渡邊美樹さんの「父と子の約束事五カ条」、そして長女が通っていた幼稚園の「園訓」である。
コロッケさんこと滝川広志さんの母親が作った「あおいくま」の教えのように、生涯にわたってを子供たちを支える「幸せになる5つの約束」であってほしい!
(2008年11月16日 第534号・第535号より 長女10歳、次女6歳)
▶長女が小学校1年生の時からスタートした『父と子塾』
その冒頭に唱える、親としてわが子が幸せになってほしいという願いを込めた『幸せになる五つの約束』をつくることにした。
『父と子塾』冒頭に唱える文章、つまり、ワタミ創業者の渡邉美樹さんが『父と子の約束』の中で紹介していた「父と子の約束事五ヵ条」に相当する文章をつくり上げることである。
1 渡邉美樹さんの「父と子の約束事 五カ条」
「父と子の約束事 五ヵ条」とは、次の文章である。
【父と子の約束事五ヵ条】
自分だけの大いなる人生を、勇気と希望と誇りを持ち、力強く歩き続けなさい。
一、約束を守れ、嘘はつくな
一、愚痴、陰口を言うな
一、笑顔で元気よく挨拶せよ
一、他人の喜び、悲しみを共有せよ
一、正しいと思い、決めたことは、あきらめずに最後までやり遂げよ
(『父と子の約束』12ページより引用)
美樹さんは、この「父と子の約束事五ヵ条」について、父と子の勉強会のはじまりに、毎回暗唱テストを行ったとも書いてあった。
なかなかできなかった子どもができたと、妻から聞かされたときの喜びをベースに、「父と子の約束事五ケ条」はつくられたのである。
「自分だけの大いなる人生を、勇気と希望と誇りを持ち、力強く歩き続けなさい」
この前文は、すぐにできたが、難しかったのは、五ヶ条だった。この約束さえ守れば、幸福に生きていける、そんな原則(=生きるためのコツ)を五ヵ条にすることは、思った以上に簡単ではなかった。書いては消し、消しては書いて、また書いてを繰り返し、どうしてもこれだけは守らせたいという五つの言葉を残したのである。
この「父と子の約束事五ヵ条」は、二人の息子たちにとっては、幼いときから、私から徹底的に教えられ、暗唱テストをさせられながら、現在ではその言葉の意味が自然と心と体にしみついたものになっている。(同書23ページから24ページより引用)
わが子に対して、「この約束さえ守れば、幸福に生きていける、そんな原則(=生きるためのコツ)を五ヵ条」にまとめ、自然と心と体にしみつくまでに教えられるならば、すばらしいと、心底思った。なぜなら、親として「わが子を幸せにすること」が究極の願いであるし、そのために生き方の原則を教えるというのは、最も大切な親の責任であると思えたから。
2 第1期「父と子塾」冒頭で唱えさせていた園訓
第1期の父と子塾では、その「父と子の約束事五ヵ条」に相当する部分は、アキコが通っていたN市O幼稚園の園訓をそのままあてて、唱えさせていた。
アキコは3年間唱えてきてなじんでいるし、何よりこの園訓自体がすばらしいと思えたから。それに自分でつくっていると手間がかかり、父と子塾のスタートが遅れると考えたから。
【園長先生とのお約束】
*生命と物を大切にする。
*にこにこと元気よく挨拶をする。
*姿勢をよくする。
*ありがとうをいう
*最後まで一生けんめいやる
*人に優しくする
*良い事は進んでやる
*人を大切にしましょう
*後片付けはきれいに早くやりましょう
*自分のことは自分でやりましょう
*人の話は静かに最後まで聞きましょう
*大きな声で「はい」と返事をしましょう …(N市O幼稚園の園訓)
今読んでも、すばらしいと思う。さすが一代で私立幼稚園を立ち上げただけある。決してお題目ではなく、例えば「最後まで一生けんめいにやる」を受けて、年長児に800m走が毎年実施されていた。だが、これはタイトルに「園長先生とのお約束」と書かれているように、私がつくったものではない。
第2期の父と子塾では、わが子のために、私の手で、「この約束さえ守れば、幸福に生きていける、そんな原則(=生きるためのコツ)五ヵ条」をつくりたいと考えた。
わが子が幸せになってほしいという願いを込めて、そのために是非とも親から子へ伝えたい生き方の原則を五ヵ条にまとめようと決心した。
それは自分の生き方を問い直すことでもあり、それこそ書いては消し、消しては書いて、この1週間かけてようやくできあがった。
3 「幸せになる五つの約束」
2004年8月に改訂した『家族憲法』の「めざす子供」像を読み返したり、いろいろ考えたりしたが、私が考える「この約束さえ守れば、幸福に生きていける、そんな原則(=生きるためのコツ)」を五ヵ条にまとめると、上のようになった。
4 第2期「父と子塾」はじまり
夏休み以来、久しぶりにアキコ、クニコが揃っての「父と子塾」である。
あいさつ「これから父と子塾をはじめます。礼。」の後に、以前の「園訓」に替えて、「幸せになる五つの約束」を唱えさせることにした。
私「アキコは小4、クニコももうじき小1になるよね。だから、園訓からバージョンアップして、お父さんが「幸せになる五つの約束」というのをつくったよ。今度からそれを言うことにするよ。」
アキコ・クニコ「幸せになる五つの約束!?」
私「お父さんも、お母さんも、アキコとクニコが幸せになってほしいんだよ。そのためには、どんなことが大切か一生懸命考えたんだよ。そしたら、この五つの約束を守れば、絶対に幸せになれると思ったんだよ。だから、これから父と子塾では、この幸せになる五つの約束をいつも音読することにするよ。」
アキコ・クニコ(ふーんという顔)
▶私「幸せになる五つの約束、『その一、自分を愛すること。そして、人を愛すること』
愛するというのは、大切にする、優しくするという意味だね。まず、自分を大切にしなきゃね。その上で、自分ばかりじゃなくて、まず身近な人、例えば家族、親しい友だちを大切にするんだよ。そして、だんだん大切にする人を広げていくんだ。周りの人を大切にして優しくする人は、絶対周りの人からも大切にされ優しくされて、自分も幸せになっていくんだよ。」
アキコ・クニコ(ふむふむという顔)
私「『その二、よい習慣を身につけ、それを守ること』」
クニコ「習慣ってどういう意味?」
私「歯を磨く習慣、顔を洗う習慣というように、やることが当たり前になっていて、難なく楽にできるようになっていることだよ。お父さんは、幸せになるために大切な習慣が五つあると考えたんだよ。
まず『①段取りとふり返りの習慣』だよ。「段取り」というのは、計画を立てるという意味なんだよ。わが家では、毎月月の計画を立てるだろ。おかげで楽しみに1ヶ月を過ごせるよね。あと、毎月ふり返りもするだろ。何が楽しかったって聞きながら。楽しかったことはこの次も続けるし、よくなかったことは今度は失敗しないようによくするようにしているんだよ。そうすることで、ますますよくなっていくよね。ほら見てごらん。これはお父さんの手帳だよ。こんなふうに、毎日手帳に計画を立て、日記を書いてふり返っているんだよ。たった一文、二文の日記も多いけど、毎日この習慣を続けることで、充実した1日になっているよ。だから、この段取りとふり返りの習慣は、幸せになるためにとても大切なんだよ。」
アキコ・クニコ(ふむふむという顔。そして、手帳を見せたら「お父さんは毎日きちんとやってるんだ!」という驚きの顔。)
私「『②しっかりとねる習慣』も大切だ。寝ることで疲れが取れて、元気になる。寝ている間に成長ホルモンが出て、体も大きく成長できるんだ。人間、幸せでいるには、やっぱり健康が大事だろ。それには、よく寝ることが大切なんだよ。だから、わが家では9時に寝かせているんだよ。」
アキコ・クニコ(ふむふむという顔)
私「『③正しい食事をとる習慣』というのは、栄養のバランスの取れたよい食事をとることが大切だということだよ。食べた物から体ができるんだから、病気をせずに健康な体をつくるには、栄養のバランスの取れた正しい食事がとても大切なんだ。最近は、毒物すら入っていることがあるから、安全で栄養のバランスの取れた食事が大切だね。幸せでいるには、健康体であることが大切なんだから。」
アキコ・クニコ(ふむふむという顔)
私「『④よい本を読む習慣』お父さんは、本を読むことはとっても大切だと考えているんだ。本からいろいろ役立つことを学べるし、心を豊かにすることもできる。だから、これも幸せになるには大切な習慣なんだ。」
アキコ「この習慣は自信がある。もう身についている。」(アキコが笑顔で言った。)
私「『⑤危険を予測し、心身を守る習慣』
これも大切だ。今年、ある高校生たちが学校の四階の廊下で走り競争をしていて、スピードを出しすぎて止まれず、そのままガラスを突き破って下に落ちて死んだというニュースがあったよね。こうしたら、どうなるか。どんな危険があるかあらかじめ予測して、危険から身を守るようにしないといけないんだよ。死んだら元も子もないだろ。」
アキコ・クニコ(ふむふむという顔)
私「幸せになる五つの約束、
『その三、夢をもち、やり続けること。決して決して決してあきらめないこと』
だね。お父さんは、高校時代にとっても悩んだ時期があったんだ。そんなとき、担任の先生がいろいろ相談に乗ってくれ支えてくれて、やっと乗り切ることができたんだ。それで、先生というのはすばらしい仕事だと思って、教師になりたいという夢をもったんだよ。そして、大学の教育学部を目指して勉強し、大学に合格してからも教師になるために勉強して、ようやくお父さんはその夢を実現した。夢を実現するのは、幸せだよ。お父さんは、今本を出すという夢をもっている。これがなかなか実現しない。でも、決して決して決してあきらめないで、がんばっているよ。だから、きっと実現すると思っているよ。」
アキコ・クニコ(にこにこして聞いている。)
クニコ「クニコも、将来先生になるんだよ。」
私「そうだったね。クニコは保育園の先生になりたいんだったね。」
クニコ「お姉ちゃんは、歌手になりたいんだよ。」
アキコ「えへへへ。」
私「『その四、自分を成長させること。そして、世の中をよくすること』
前よりも、かしこくなること、強くなること、優しくなること、できること、わかることが増えていくこと…こんなふうに自分が成長することは、とってもうれしいことだろ。 そして、それで世の中をよくしていくこと、これは大きな喜びだと、お父さんは思うんだ。お父さんは、小学校の先生になって、今特別支援学級で3人の子を教えているけど、子供たちがかしこくなったり、できなかったことができるようになったりすると、とてもうれしいよ。子供たちもそれで喜ぶし、そのお父さんやお母さんも喜ぶよ。こんなふうに、仕事やできるところで、世の中をよくすることが、多くの人の幸せにつながるし、自分の幸せになるんだよ。」
アキコ・クニコ(にこにこして聞いている。)
私「『その五、感謝を忘れないこと』
最後はこれだ。やっぱり自分一人では何もできないよ。家族や先生、友達、身近な人、多くの人の助けで生きていられるんだから、感謝することが大切だと思うよ。
アキコ・クニコ(ふむふむという顔で聞いている。)
私「さあ、今日は最初だから、アキコ・クニコが交互に3回ずつ音読するよ。アキコから。」
アキコ「『幸せになる五つの約束』一 自分を愛すること。そして、人を愛すること…」
クニコ「『幸せになる五つの約束』一 自分を愛すること。そして、人を愛すること…」
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2008.11.16(日)にクニコが、ブログを書いていた私の膝の上に乗ってきた。机上にある「幸せになる五つの約束」を音読したいと言った。1回音読し、その後の2回目の音読である。つまり、昨日の父と子塾から数えて5回目の音読である。「決して決して決してあきらめないこと」を「決して決してあきらめないこと」と「決して」を2回しか音読していないが、そのままアップした。
かくて、第2期の父と子塾が始まった。
この『幸せになる五つの約束』は、毎回冒頭に音読させ、しっかりと暗唱させるつもりである。
そして、将来第2期の父と子塾が終わる頃には、この『幸せになる五つの約束』に込めた親の生き方・価値観が伝わり、共通の価値観で将来の進路などについて語り合う日が来るに違いない。
その日が来るまで、父と子塾を大いに楽しもうと思う。
(以上、ブログ「あったかい家族日記」第534・535号より)
*追記 2020年9月27日
2020年6月大学4年生の長女の就職が内定した。そのお祝いに、私の愛読書、ケント・M・キース『それでもなお、人を愛しなさい』を贈った。その本のしおりとして、この「幸せになる5つの約束」を印刷したものを挟み、合わせて贈った。
*追記:コロッケこと滝川広志さんの母親が作った「あおいくま」の教え
同じような実践を、コロッケこと滝川広志さんの母もしていることを知った。
それは、「あおいくま」の教えといって、次のものだ。
あせるな
おこるな
いばるな
くさるな
まけるな
滝川さんによれば、母は笑いながら「広志くん、この言葉だけは覚えておきなさい。これを覚えておけば大丈夫だから」と教えてくれたそうです。滝川さんは、「事あるごとにこの「あおいくま」を思い出し、心の支えにするようになったそうです。
「芸能人になる」と言って、上京した滝川さんですが、当然のことながら芸能界への道はなかなか開かれません。気持ちばかりが焦り、毎日悶々とする中、いつも頭に浮かぶのが、黄ばんだ紙に書かれた「あおいくま」の言葉だったそうです。
熊本にいた時は、あまり意識することがなかった「あおいくま」が、母の笑顔とともに懐かしく思い出されて、幾度も涙がこみ上げそうになりました。「あせるなよ、くさるなよ」、僕は自分にそう言い聞かせていました。(中略)
それまでの僕は「あおいくま」の言葉を誰かを対象として考えていました。○○さんに対して怒るな、○○さんに負けるな、○○さんに威張るな……。しかし、それはすべて他人ではなく、自分自身に向けての戒めの言葉であることに、ようやく気づくことができたんです。
四十年の芸能生活の中で僕はいろいろな人を見てきました。有頂天になっていつの間にか凋落していく人、威張って人を見下し皆から嫌われていく人、人によって態度を変える人。人の足を平気で引っ張る人。ともすれば、そういう風潮に流されがちな芸能界にあって、僕が「相手が一番、自分は二番」と素直に思うことができたのは「あおいくま」のおかげだと思っています。母の教えは僕の気まぐれな生き方を大きく変えてくれたんです。(致知別冊『母』VOL.2 44pより引用)
このような感じで、実社会に出る長女を支える「幸せになる5つの約束」であってほしい!