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賞味期限付きの「一緒時間」──パパが気づいた育児の宝物

《読み始める前に》

子どもは時に、思いがけない形で「さびしい」と伝えてきます。
それは泣き声だったり、小さな一言だったり。
今回は「パパ、来て!」と呼ばれたエピソードから、親子のつながりについて考えてみます。


パパの子育て奮戦記:第28号
長女アキコ(6歳)、次女クニコ(2歳)、ママ、パパ(私)、祖母(70歳)

「お風呂時間がくれた親子のぬくもり」

長女アキコとは、よく(大体)一緒にお風呂に入っていました。背中を流してあげたり、髪を洗ってあげたり。ただ、小学校に入学してからは、自分で髪を洗うことが増えてきました。

次女クニコはまだママと離れられず、いつもママと一緒に入ります。先日、ママがクニコの誕生日の準備で忙しかったとき、珍しく私と二人で入浴し、私が髪を洗ってあげました。家族4人で一緒に入ることも、時々あります。

「『パパ、来て』に込められたさびしさ」

ある日、私が先にお風呂に入ったのですが、アキコはなかなか来ません。髪も体も洗い終え、風呂からあがろうとしたときにやっと入ってきました。

 先に風呂から一人であがり、私は2階の書斎で読書をしていたのですが、「パパ、来て」と下からアキコの声がします。
「今、仕事だから。何の用?」と聞いても、「来て」と繰り返すばかり。

仕方なく降りてみると、風呂場の近くにアキコが立っていました。
「アキコばかり一人でさびしいじゃないか。いっしょにいて、本を読んで」と言うのです。

ママとクニコはまだ入浴中。先にあがったアキコは、一人でいるのがさびしくて、私を呼んだのでした。
パパを呼んでもなかなか来ないので、ママとクニコのいる風呂場の近くにいたというわけです。
「しょうがないな」と思いながらも、リビングで本を読んであげました。

「やがて卒業していく“甘え”の時間」

思い返せば、つい最近までアキコは「一人でトイレに行けない」子でした。
「パパ、一緒についてきて」と言い、トイレの戸の外だとパパである私が知らずに行ってしまうと悪いので、私をトイレの中に入れて、行かないようにしておしっこをしていました。

一緒のお風呂もトイレも、やがて子どもの成長とともになくなっていくものです。
それを思うと少し寂しいですが、同時に「今しかできない育児を楽しもう」と強く思います。

「日記は未来への贈り物」

こうして日々の一コマを「あったかい家族日記」として残しておけば、パパとしての歩みの記録となり、やがて娘たちが大人になったときに、「へえ〜、こうだったの」と振り返る日がきっと来るでしょう。

自分と家族をまず第一の読者として、これからも「今しか書けない育児記録」を続けていこうと思います。

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今、振り返ってみて

賞味期限付きの「一緒時間」

今ではもう、子どもたちと一緒にトイレに行くことも、お風呂に入ることもなくなりました。
当たり前のことですが、あの時期だけの「賞味期限付き」の出来事だったのだと、しみじみ思います。

思い返せば、トイレの前で「パパ、すぐ外で待っていてあげるから。」と言っても、
アキコは、「パパは、ウソをつくから。」と言って、手をぎゅっと握ったまま用を足していました(笑)。
そんな小さなエピソードさえも、今となっては宝物です。

スキンシップは心の記憶になる

あの頃の入浴やトイレの付き添いは、単なる世話ではなく「スキンシップ」そのものでした。
特にパパは、子どもが大きくなるにつれて距離ができがちですが、その背景には幼少期のスキンシップの不足があるのではないかと思います。

八代亜紀「雨の慕情」の歌詞に「心が忘れたあのひとも 膝が重さを覚えてる♪」という表現がありますが、体に入り込んだ感覚は、本人が忘れていても、深いところで覚えているのではないでしょうか。

子どもが大きくなっても、小さい頃にハグされたり、おんぶや肩車をしてもらった感覚は体に残っている。
それが「大人になってもパパママを大切に思える」土台になるのではないでしょうか。

幼い頃の「可愛さ」が親を支える

さらに、私はこんな言葉を思い出します。

「子どもは3歳までに一生分の可愛さを親にふりまく。
子どもが反抗期になっても、
親は、その可愛さを覚えているから乗り越えられる」

確かに、幼い時期の「可愛さ」は親にとっての心の支えになります。
あの時の抱っこや「パパママだいすき」の一言を覚えているからこそ、その後の親子関係も乗り越えられます。

愛情は未来の親子関係をつくる

最後に思うのは、子どもの側に立っても同じことが言えるということです。
「小さい頃にパパママが本当に可愛がってくれた。だから大切にしたい」──。
そんな思いがあるからこそ、親を自然に支えたいと思えるのではないでしょうか。

介護は義務感だけでは続きません。
小さい頃に注がれた愛情が、そのまま子どもの心に残り、大人になってからの親子関係にまで影響していく。
だからこそ、「今しかできないスキンシップ」を大切にすることを強くお勧めします。

📝 自分に問いかけてみる時間

子どもとのスキンシップや時間は、「賞味期間限定」です。
後になって「あの時もう少し関わっておけばよかった」と思わないために、ちょっと立ち止まって考えてみませんか?

📝 簡単なワーク

  1. 最近、子どもとどんなスキンシップをしましたか?
     (例:抱っこ、ハグ、一緒に遊ぶ、手をつなぐ…)

  2. 子どもとのスキンシップやふれあいの時間を増やすとしたら、どんなことができそうですか?

💡 ワークの目的は「反省」ではなく、「気づき」です。
忙しい毎日の中でも、今日これから子どもにできる小さなスキンシップを見つけてみましょう。

***パパママとして成長したいあなたへ──フォローどうぞ***
「あったかい家族日記」は、長女アキコ(2025年7月現在27歳・既婚)と次女クニコ(23歳・公認会計士)の成長を、パパの視点で約20年間にわたり綴った実録子育てエッセイです。
*二人が幼児だった頃から大学入学、そして結婚前後までの家族の日々を記録し、累計アクセス数は400万を超えました。
*七田チャイルドアカデミー校長・七田眞氏にも「子育てに役立つブログ」として推薦された本連載は、So-netブログ閉鎖(2025年3月)を機に、「記録」と「今の視点」を重ね合わせて再編集した〈日々の記録に、“今”を添えた子育てエッセイ〉として、noteで再連載しています。
*この文章は、2005年6月18日にSo-netブログで公開された『今しか書けない育児記録として「あったかい家族日記」を書き続ける』に、「今、振り返ってみて」を加筆した再構成エディションです。

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