★叱るときには、したことと動機を分ける必要がある
次女クニコ(小1)は、自分の食器を片付けた後、食器洗いを始めた。
ところが、誤って小皿を割ってしまった。
次女はお母さんを助けようと思って食器洗いをしたのだが…。
そんなとき、頭ごなしに叱って、
その尊い動機まで失わせるような愚を犯してはいけない!
子どもが食器を割ったときの対応 2010.3.18 第709号
◆1 母親がPTA会合に出かけたときの暗黙のルール
今晩、妻はPTAの会合があり、速やかに夕食をとり、学校へ出かけて行った。
妻がPTAなどの会合で出かけたとき、暗黙のルールがわが家にはある。それは、妻のものも含めて、自分たちの食器を洗って片付けておくというルールだ。
仕事を終えて疲れた帰宅してきた妻(母)が、夕ご飯を作り、さらにPTAの会合に出かけていく。
夜遅くその会合から疲れて帰ってくるであろう妻(母)を喜ばせようと始めたものだった。
今では、暗黙のルールとしてわが家に定着している。
クニコは、私が働きかけるまでもなく、自分が食べた食器を片付け、さらに食器洗いに始めていた。
少しすると…
クニコ「お父さん、お皿を割っちゃった。」
小声でしまった!という表情で、私に伝えるクニコ。
さて、どう対応したものか。
◆2 食器を洗う人が食器を割る
私は、すぐに流しに向かった。
ガラス製の小皿が割れて、かけらが流しに散乱していた。
私「クニコは、お母さんが楽になるように自分のお皿を洗っていたんだよね。クニコは、優しいいい子だね。クニコは優しいいい子だったから、皿を割ることができたんだよ。もともと優しくない子は、食器を洗おうとしないんだから、割ることはないんだよ。」
叱られると思っていたクニコは、表情がぱっと明るくなった。
私「ケガがなくてよかった。」
私「でも、(お皿を割って)ごめんなさいは、言う必要があるね。」
クニコ(言えずにしばらくもじもじしていたが)「ごめんなさい。」
私「クニコは偉いよ。自分で食器を運んで、洗って拭いて、食器棚に片付けたんだから。お母さんは助かるよ。」
こう言われて、クニコはにこにこしていた。
お母さんが帰宅した後、クニコは、食器を割ったことをにこにこと報告し、「ごめんなさい。」と言えていた。
「食器を洗う人が食器を割るのよ!」
実は、ずっとずっと以前に実母に言われた言葉である。
茶碗を割った母を、私が「あわてないでゆっくりやれば。」というような言葉をかけた直後にそう言われた。
気をつけて食器を洗っていた母にしてみれば、そもそも食器を洗っていないあなたに言う資格あるの!?ということだったのだろう。
◆3 したことと動機を分ける
叱るときには、したことと動機を分ける必要がある。
確かに不注意で小皿を割ったのは、よくないことかもしれない。
しかし、動機は「夜遅く疲れて帰ってくるお母さんの負担を減らすために、自分の食器ぐらい自分で洗おう」というものである。小さいながら立派なものだと思うし、大いにほめられるべきことだ。
そこがしっかりとわかっていれば、頭ごなしに叱って、その尊い動機まで失わせるような愚は犯さないだろう。