《読み始める前に》
子どもが風邪をひけば心配。将来のことが気になる。どんなに手をかけても、どうにもならない災難に遭うかもしれない──そんな不安に、パパはどう向き合っているのか。
パパの子育て奮戦記:第4号
長女アキコ(6歳)、次女クニコ(2歳)、ママ、パパ(私)、祖母(70歳)
クニコの風邪を心配する
帰宅後、ママからクニコの風邪の様子を聞きました。少しよくなってきたとのこと。よかった。
子どもをもつと、心配が尽きない
子どもをもつと、何十という煩悩をもつといいます。
体の具合が悪くなれば大丈夫だろうかと心配し、頭が悪ければ学校の勉強についていけるだろうかと心配し、年頃になれば変な男(女)にひっかからなきゃいいがと心配します。まさに、心配のタネだらけです。
仮に健康で頭もよかったとしても、世の中にはJR西日本の列車事故や誘拐事件、新潟中越大震災のように、自分では防ぎようのない災難に遭う可能性もあります。
ようするに心配し出せばきりがなく、健康で無事生きていること自体が、奇跡のように感じられます。
農夫に学ぶ「子育てのスタンス」
大切に大切に育てても、いつお釈迦になるかわからないから、大切に育てなくてもよいかというと、これも誤りだと思うのです。農夫は、台風で作物がダメになる可能性があっても、毎日手をかけて大切に育てます。まして人間の命、なおさらです。
自分にできることをしながら、最後は祈る
私たちにできるのは、自分にできる限りのことをすること。
そして最後は、神さまや仏さま、ご先祖さまの加護を信じて祈ること。私はそんなふうに考えています。
だからこそ、今日も手を合わせ、感謝の祈りを欠かさず続けています。
今、振り返ってみて
この記事を書いたのは、福知山線脱線事故の直後でした。
※福知山線脱線事故:2005年4月25日、兵庫県尼崎市で発生。快速列車がカーブを高速で通過して脱線し、107人が死亡、562人が負傷。原因は速度超過と過度な業務プレッシャー。
世の中が大きな喪失感に包まれていたあの頃、「どれだけ大切に子どもを育てても、突然奪われてしまうかもしれない」という恐怖感が、私自身の心にも深く残っていました。
そんな思いの中で書いたこの記事ですが、それは一時的な感情ではなく、私自身の子育ての「軸」として、その後もずっと変わっていません。
──実際、あれから20年。
娘たちが小さかった頃も、思春期も、受験期も、そして今、社会人になった今も。
私は一貫して、同じスタンスで子どもたちに関わってきたつもりです。
たとえば、長女も次女も東京で暮らし始めたとき、防災セットを送りました。
季節が変わるたびに「シーズンボックス」と称して、果物や旬の食材を詰めて送る──そんな関わり方も続けています。
そして、最後に書いた“祈り”について。
きっと違和感を持つ方もいると思います。でも、私は今も変わらず、毎晩寝る前と、毎朝目覚めたときの2回、神仏に手を合わせています。
人間ができることは、限られています。だからこそ、親としてできることはしっかりやりながら、人知の及ばないところは、祈ることで神仏に護っていただく。
家族一人ひとりが無事であるように──親として、祈らずにはいられないのです。
*「あったかい家族日記」は、長女アキコ(2025年7月現在27歳・既婚)と次女クニコ(23歳・公認会計士)の成長を、パパの視点で約15年間にわたり綴った実録子育てエッセイです。
*二人が幼児だった頃から大学入学、そして結婚前後までの家族の日々を記録し、累計アクセス数は400万を超えました。
*七田チャイルドアカデミー校長・七田眞氏にも「子育てに役立つブログ」として推薦された本連載は、So-netブログ閉鎖(2025年3月)を機に、「記録」と「今の視点」を重ね合わせて再編集した〈日々の記録に、“今”を添えた子育てエッセイ〉として、note で再連載しています。
*この文章は、2005年5月27日にSo-netブログで公開された『子供の心配はきりがない』に、「今、振り返ってみて」を加筆した再構成エディションです。