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叱ったあとに涙──パパが学んだ“叱る”本当の意味

《読み始める前に》

子育てをしていれば、叱らずにはいられない場面が出てきます。
今でも私が覚えている、わが子を叱って泣かせてしまった件から学んだこと。


パパの子育て奮戦記:第26号
長女アキコ(6歳)、次女クニコ(2歳)、ママ、パパ(私)、祖母(70歳)


朝のリビングで

「アキコ! 降りろ! 危ないからダメだって言っただろう!」

私は強い調子でこう言いました。
朝食後、ふと目をやると、小学1年生の長女アキコが、リビングにあるジャングルジムの3段目に横たわっていたのです。
このジャングルジムは、堅めのダンボールのような材質でできていて、アキコが2歳の頃から使っていたもの。

アキコが小学校に入学したとき、私はこう言い聞かせていました。

「これは5歳までしか乗れないよ。もう1年生だから重くて折れるかもしれない。危ないからもう乗ってはダメだよ。」

それなのに、最近も登っていたので注意したばかりでした。

今回は安全に関わると判断し、強い調子で言ってしまったのです。

アキコは泣き出してしまいました。

置いておくほうも悪い?

祖母はアキコに「危ないから降りなさい」と声をかけつつ、私にこう言いました。

「こんなところに置いておく方も悪いよ。乗りたくなるのも当たり前。」

確かにその通りだと思い、その場でジャングルジムを別の部屋へ移動しました。

泣いているアキコを見て、「叱り方はもっと工夫できたのではないか」、「そもそも叱る前にできることがあったじゃないか」と、胸に残りました。

諭すように、そして謝る

しばらくして、泣いているアキコを抱きながら伝えました。

「お父さんは、アキコがけがをすると大変だから注意したんだよ。
アキコはもう大きくなって重いんだ。あれは紙でできているから折れるんだよ。
折れてけがをしてからじゃ遅いんだよ。
でも、強く叱ってごめんね。」

アキコも落ち着き、私も気持ちが和らぎました。、

「叱る」とは何か

叱ることは、子育ての中で何度もあります。
しかし「叱る」だけで終わってしまえば、親子関係に溝を作ってしまうこともあります。

大切なのは、

  • なぜ叱るのかという「道理」を伝えること

  • 叱った後にフォローすること

  • 叱ってもびくともしない、普段からの信頼関係を積み重ねておくこと

今回でいえば、そもそも危険なジャングルジムを片づけておけば、叱る必要すらなかったのかもしれません。

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今、振り返ってみて

「叱る」という行為の本質は、子どもに「そのままでは危ないよ」「こうした方がいいよ」と軌道修正を促すフィードバックです。つまり、正しい方向へ戻す役割です。

ですから、まず叱る側に「道理」が必要です。
今回でいえば──「小学生が紙製のジャングルジムに乗るのは危ない」(命を守る)という道理でした。

しかし、道理があっても、子どもが素直に従うとは限りません。
なぜなら、まだ判断力や自制心が十分育っていないからです。

だからこそ、「そもそも危険なものは子どもの目の前に置かない」という配慮も必要でした。
そうすれば、叱る必要もなかったのです。

叱られてばかりでは、子どもは自信をなくし、挑戦をやめてしまう。
だからこそ基本は「ほめて育てる」。
叱るのは本当に必要なときだけ。

叱ったときは、必ず「なぜ叱ったのか」「どうすればいいのか」を伝え、そして「叱ってもあなたを大切に思っている」というメッセージで締めくくる。

その積み重ねが、親子の信頼を守っていくのだと改めて感じます。

📝 自分に問いかけてみる時間

子どもを叱る場面は、どの家庭にもあります。
ただ、その叱り方やフォロー次第で、子どもとの関係は大きく変わります。

少し立ち止まって、自分の叱り方を振り返ってみませんか?

📝 簡単なワーク

① 最近、子どもを叱った場面を思い出してみましょう。
 そのとき「なぜ叱ったのか」「道理は伝わっていたか」を考えてみてください。
※ 叱ることが適切でなかったと判断するなら、別の対応策を考えてみましょう。

② 叱った後に、どんなフォローをしましたか?
 もし十分でなかったと思うなら、今日からできるフォローの方法を一つ考えてみましょう。


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「あったかい家族日記」は、長女アキコ(2025年7月現在27歳・既婚)と次女クニコ(23歳・公認会計士)の成長を、パパの視点で約20年間にわたり綴った実録子育てエッセイです。
*二人が幼児だった頃から大学入学、そして結婚前後までの家族の日々を記録し、累計アクセス数は400万を超えました。
*七田チャイルドアカデミー校長・七田眞氏にも「子育てに役立つブログ」として推薦された本連載は、So-netブログ閉鎖(2025年3月)を機に、「記録」と「今の視点」を重ね合わせて再編集した〈日々の記録に、“今”を添えた子育てエッセイ〉として、noteで再連載しています。
*この文章は、2005年6月18日にSo-netブログで公開された『長女を叱る!』に、「今、振り返ってみて」を加筆した再構成エディションです。

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