《読み始める前に》
大きな買い物をするとき、夫婦間ではいろんな会話や駆け引きが生まれます。
今回は、パパが「どうしても欲しかったスピーカー」購入を巡るお話です。
パパの子育て奮戦記:第29号
長女アキコ(6歳)、次女クニコ(3歳)、ママ、パパ(私)、祖母(70歳)
思わぬ出会いはヤマダ電機で
ヤマダ電機で、YAMAHAのスピーカーを見つけました。展示品で半額。それでも2台で約2万円。わが家にとっては、ちょっと大きな決断のいる買い物でした。
以前から欲しいと思っていましたが、転勤で自宅を5年ほど空けていたため先延ばしにしていたのです。今回の転勤で自宅に戻って落ち着いた頃、たまたま部屋にぴったりのスピーカーに出会いました。
アンプとの相性を調べたり、ハードオフで中古品の品質や価格を見比べたり。結局、3度目のヤマダ電機来店で購入を決断することになりました。
パパの夢、ママの現実
購入の動機はシンプルでした。
「子どもに良い音を聴かせたい」
マランツのアンプ(約5万円)、ソニーのCD・MD(約8万円)、ビクターのカセットデッキ(約5万円)など、すでにある機器を生かし、子どもの音楽や外国語教育にも役立てたいと思ったのです。
しかし、ママからはこんな反論が。
「夏に広島旅行に行くって言ってるのに、これではお金が貯まらないでしょう?」
確かに一理あります。私の「どうしても今買うべき理由」は、ママからすれば優先度が低く見えたのでしょう。
どう伝える?どう納得してもらう?
私は
「アンプを無駄にしないため」
「展示品だから割安」(半額でハードオフとくらべても同じくらい)
「エレクトーンを習っている娘に良い音を聴かせたい」など、
理由を並べました。
でもママは「今のままで何が困るの?どうしても要るの?」と首をかしげます。
(当時は大型のCDラジカセが壊れていたので、そこにソニーのCD・MDをつないで使っていました。つまり、ラジカセのスピーカーを使っていました)
妻の貯蓄したいというのも肯定的な意図(将来に備えて貯金)があります。
これ以上、どう説明したものか…。
「2万円くらいなら独断で買ってしまおうか」とさえ考えました。
でも振り返れば、DVビデオカメラも、デジカメも、DVDビデオデッキも、いつも「どうしても要るの?」から始まり、最終的には説得して大活躍してきたものでした。
日をあらためて、今度は実母に話しました。同じような理屈で説明すると、母は同意してくれました。その上で、もう一度ママを説得。今度はようやく同意を得ることができたのです。
同意を得たからこそ生まれた温かな時間
念願の購入が叶った日。夜、家族総出でリビングを掃除し、スピーカーを設置しました。
最初からママの同意を得ていたからこそ、みんなで気持ちよく準備できました。
高価でも、「どうしても欲しいもの」をめぐる家族会議は大変でしたが、その過程で(賛成でも反対でも)お互いが家族を大切に思っていることがわかり、絆が深まったように思います。
やはり「家族の話し合いと同意」は大切ですね。
本当によかったと思います。
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今、振り返ってみて
家族の話し合いと同意が生んだ“絆”の時間
2度目のヤマダ電機来店で買ってしまいたかったけれど、妻の同意を得ていなかったので思いとどまったことを思い出します。もしその時に購入していたら、「パパの独断」で終わり、ママの不満を残したままだったかもしれません。
せっかちな私にとって思いとどまるのは正直努力が必要でしたが、その努力は確かに報われました。購入が叶っただけでなく、「家族それぞれが家族のことを思っている」ことが見えて、絆が深まったからです。
さらに、購入費も自分の小遣いではなく「家計」から出してもらえました。これも、きちんと話し合ったおかげだと思います。
逆に独断で買っていたら、少なくとも私のお小遣いは2万円減っていました(笑)
高額商品の購入に限らず、家族で同意を得なくてはいけない場面は多々あります。
(以下は、わが家が全部直面したことです)
たとえば、塾や習い事をどうするか?
ママが働きたいと言ったとき、どう協力するか?
子どもの進学先をどう決めるか?
転勤のときに家族で一緒に行くのか?
あるいは、夏の旅行先をどこにするか?──。
わが家では「絵の具道具を新品で買うか、お古を使うか」でさえ、じっくり話し合ったこともあります。小さなことの積み重ねですが、そうした話し合いがあってこそ、いざというときに協力し合えるのだと思います。
実際に、スピーカー購入のときも、最後は家族総出でリビングを掃除して設置しました。「みんなで作った居場所」となったからこそ、音楽を聴く時間も心地よいものになりました。
どれだけ収入があっても、どれだけ判断力があっても、「家族の話し合い」を省略することはできません。
時間をかけて率直に話し合うことこそ、お互いの理解と協力を引き出し、絆を強くする最良のステップです。
📝 自分に問いかけてみる時間
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最近、家族と「ちゃんと話し合った」ことはありますか?
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大きな買い物や進路のようなテーマでなくても、「日常のちょっとしたこと」を話し合えていますか?
📝 簡単なワーク
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家族で最近話し合ったテーマを思い出して、話し合ってよかった点を書き出してみましょう。
(例:夕飯のメニュー、子どもの習い事、休日の過ごし方など) -
そして、これから「話し合った方がよさそうなテーマ」も挙げてみてください。
💡 子どもであっても、話し合いに参加して自分の思いを尊重してもらえることは心地よい体験です。小さなテーマから、家族会議をはじめてみましょう。
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「あったかい家族日記」は、長女アキコ(2025年7月現在27歳・既婚)と次女クニコ(23歳・公認会計士)の成長を、パパの視点で約20年間にわたり綴った実録子育てエッセイです。
*二人が幼児だった頃から大学入学、そして結婚前後までの家族の日々を記録し、累計アクセス数は400万を超えました。
*七田チャイルドアカデミー校長・七田眞氏にも「子育てに役立つブログ」として推薦された本連載は、So-netブログ閉鎖(2025年3月)を機に、「記録」と「今の視点」を重ね合わせて再編集した〈日々の記録に、“今”を添えた子育てエッセイ〉として、noteで再連載しています。
*この文章は、2005年6月21日にSo-netブログで公開された『ようやくスピーカーを購入する』に、「今、振り返ってみて」を加筆した再構成エディションです。