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一生を左右する金銭教育

お金の使い方の善し悪しで破産や離婚の憂き目にあうことがあります。わが子をお金にルーズに育てると、本人はもちろん、親の方までそのマイナスは負うことになります。
その子の一生を左右しかねないお金の使い方ですが、子ども時代の躾が大きく影響します。たとえば、子どもの衣装を含めてブランドで固めるようなことをしていれば、それが当たり前という大人になります。当然出費はかさみます。将来、よほど収入がないと立ちゆかないでしょう。
私自身についてふり返ってみても、子ども時代の躾の影響は大きいです。「本は自由に買ってよい」と言われて育ったので、本やセミナーにお金を使うことはほとんど抵抗感がないのです。10万円のセミナーでもあまり抵抗感はありませんでした。ところが、衣類となると1万円の服でも買うのに抵抗感が生じるのです。

このように、子どもが目にする親のお金の使い方もふくめ、子ども時代のお金の使い方が、将来のお金の使い方に大きな影響を与えます。大切なお金を大切に使うことを教えていきたいところです。

今回紹介する、わが家の事例は、「アキコ(小1)はすでに幼稚園のときに絵の具セットを購入済みだったにもかかわらず、学習参観日に廊下には見本の絵の具セットと注文書が置かれていた」というものです。当然必要ないということになるのですが、アキコは新しいデザインのものを欲しいと言いました。親として金銭教育をどう考えどう対応したかの顛末記です。

この事例を通して、わが子の金銭教育を考えるヒントになれば幸いです。

お古か新しい絵の具セットの購入か?!  2006.5.17 252-194

4月23日(日)の学習参観日のことである。

教室脇の廊下には見本の絵の具セットと注文書が置かれていた。

私「アキコは、もう絵の具セットはあるよね。」
妻「そうね。幼稚園の時に買ったもの。」

そうは言いつつ、見本の絵の具セットを見る。
私「アキコが『ほしい!』っていいそうなデザインだな。」
妻「でも、もう幼稚園で買ってあるからいいわね。」

妻「あれ、アキコが幼稚園で買った絵の具道具は、別に筆洗(筆洗い用の小バケツ)があったのに、これは筆洗と収納を兼ねた新しいタイプね!」
私「どれどれ、そうだね。でも、このタイプはだいぶ前から出ているよ。ぼくが学校(職場)で使っているのも、このタイプだよ。」

妻「アキコだけ、ミニバケツの筆洗じゃ、かわいそうかな~。」
私「どうだろうね。 別にかまわないと思うけど。」
妻「幼稚園で買ったのも、筆洗と収納を兼ねた一体型だったらよかったのに……。」

妻は、クラスでアキコ一人だけミニバケツの筆洗を使わせることに少し抵抗があるようだった。

そしてその夜。思った通りアキコが新しい絵の具セットの申し込み書を持ってきて、
アキコ「アキコ、これがいい。これ買って!」ときた。

私「アキコは、幼稚園で買ったのがあるだろ。」
アキコ「アキコ、これがいい。」(パステル色の新しいタイプの絵の具セットを指さす。)

妻「アキコ、幼稚園で買ったミニバケツの絵の具セットがいやだったら、少し古いけど、お父さんが使った絵の具セットだと一体型で同じだよ。それはどう?」

幼稚園で買った絵の具セットは割と新しいけど、ミニバケツの筆洗。お父さんが使った絵の具セットは少し古いけど、みんなと同じ一体型だ。

アキコ「う~ん。」
(おそらく新しい一体型がいいと思っているに違いない。)

私「アキコが新しい絵の具を買うと、幼稚園で買った絵の具セットが無駄になって、もったいないよ。」

妻「アキコは、どうしてもその一体型の新しいのじゃなきゃだめなの?」

アキコ「……。」

私「申し込みの締切は、まだ先だから今すぐに決めなくてもいいよ。もう寝る時間だよ。」

全く思いも寄らないところから金銭教育が始まった。「たかが絵の具セット」というように、軽く考えるべきことではないと直観した。

アキコたちが寝ている間、来るべき金銭教育のために昨年買っておいた3冊の本をぱらぱらとめくった。とりわけ心にしみ、共感できた本が田中喜美子著『本当の金銭教育ーあなたの子供がお金で人生を狂わせないためにー』であった。

「体を壊すほどの労働の見返りとして収入を得ている大人たちが、愛する子どものためにお金を費やしたいと思うのは、必然的なことなのかも知れません。金銭万能を肯定したくはないけれど、世の中全体がお金を中心に回っている以上、知らず知らずのうちにお金をかけることが愛情の裏返しだと思ってしまうのも無理ないでしょう。」(同書53頁)

ここで思い出されるのは、私が確か小学校4年生頃、習字セットの注文書を持って帰った時の母の対応だ。私は、「この習字セットがほしいよ!」と言ったのだが、母は「我が家にはそんなお金がないの!」と強く言われた。私が「ほしいよ~。」と言って泣き出すと、母は「私を抱きしめながら、わかった買ってやるよ。」と言ったのであった。

大人になってから聞くと、当時は将来のために借金をして土地を買った頃で、本当にお金がなかったのだった。当時を振り返った母がしみじみと言ったのだが、新聞代も払えなくて、居留守を使ったこともあったという。だから、「お金がないの!」と言って買ってやれないと言ったのも本気なら、「わかった買ってやるよ。」と言ったのも本気であった。

それと比べるには、大きく事情が違うが、「一人だけ違う筆洗ということで他の友達に何か言われたり、つらい思いをしたりしないか。」というのに親として少々引っかかっているわけだ。

「問題は、子どものためにお金をかけるとはいっても、『どこにかけるか』です。 私たちは、子どもたちにお金の使い方を見せていかねばなりませんが、それは単にお金でものを手に入れるノウハウや節約術といったものではなく、生活の中のどこを大切に考えるかという価値観までを伝えるものです。親がどこにお金を使っているかということは、そのまま子どもの価値観を作っていくことになるでしょう。その場しのぎのためにものを買い与えることは、子どもに『お金があればなんとかなる』という生き方を教えているこのに他なりません。」(前掲書53頁)

これらの記述も読み、「これは、慎重にしないといけないぞ!」と思った。

私「タカちゃん(妻)、やっぱり幼稚園で買ったばかりなのに、十分使えるのに新しい絵の具セットを買うのは、もったいないと思うよ。」
妻「そうよね。 でも、アキコはあのパステル色の新しいタイプのがほしいみたいね。」

私「アキコを説得した方がいいと思う。あの絵の具セットの3千円あれば、好きな本だって、DVDだって買える。十分使えるのに少し型が違うからといって買い換えるより、別な学習のためになるものを買った方が得だろうといって。」
妻「たしかにもったいないわよね。」

翌日の夜

私「アキコ、あの絵の具セットは3千円するだろう。それを買ってしまったら、今ある絵の具セットがもったいないよ。ゴミになってしまって地球環境にもよくないよ。」
アキコ「う~ん。 古いのはクニコに使わせれば……。」
私「そんなアキコがいやだったら、クニコだっていやだろ。」

私「3千円あれば、新しい本も、欲しいと言っていたDVDも買えるよ。その3千円を足して、アキコが「買って!」と言っていたスキーセットを買うこともできるよ。」
アキコ「う~ん。」(沈黙が続く。)

妻「ミニバケツの筆洗だと恥ずかしいからいやだと思ってるの?」
アキコ「いや、どっちが得か迷ってるの。」

アキコ「その3千円でドラえもんの『ネコジャラ』のDVDが買えるなら、それでもいいな。」

私「待った! 勉強に使う3千円なんだから、勉強に使うものを買わないとダメだな。」

妻「アキコはスキー道具を買いたいと言っていたから、スキーを買うお金にしてもいいのよ。」

アキコ「う~ん。」

さんざん迷ったあげく、翌日アキコはお父さんが使った絵の具セットを使うことに決めた。ただ、160円のデラックスネームホルダーと70円の筆拭きタオルだけは買うことになった。(5月17日現在、アキコは本を買うことに決めている。)

「新しいステキなものが出たからすぐに買うのではなく、使えるものは、少しぐらい型が古くてもがまんして大事に使う。」「お金の使い道をよく考えて使う。」こんな価値観が伝わったのではないだろうか。(私自身たとえば車のモデルチェンジなどほとんど興味がない。)
否定した価値観は、「少しでも古くなると、たとえ使えても捨てても構わない。」という価値観だろうか。

とりあえず今回は、「ものを大切に使う。」「お金の使い道をよく考える。」ということを教えた。

アキコには、お金で困らないように、それこそ人生をお金で狂わせないように、しっかりとした金銭教育をしたいと思っている。

今回は、そのスタートとしたい。

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