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担任の悪口は百害あって一利なし──子どもの前で大切にしたい言葉

《読み始める前に》

子どもの学校生活で大きな存在となるのが担任の先生です。
親がどう受け止め、どう言葉をかけるかで、子どもの担任への姿勢は大きく変わります。
もし担任の教え方に問題があると感じたら、ハズレと思ったらどう対応するか…。


パパの子育て奮戦記:第30号
長女アキコ(6歳)、次女クニコ(2歳)、ママ、パパ(私)、祖母(70歳)

授業参観での評価

夜10時半、娘たちが寝た後に、ママと実母から「アキコの1日授業参観」の報告を聞きました。
ママは1・2時間目のスポーツテストを参観、実母と義母は3時間目の算数と4時間目の国語を参観しました。

結論として、実母の担任への評価はとても厳しいものでした。

  • 「あれでは、何を教えようとしているのかわからない」

  • 「テンポが遅くて子どもが退屈している」

  • 「Xさんが授業中ふざけるのは無理もない」

  • 「隣の担任は優秀だ。どの子も授業に集中していた。隣の先生だったらよかったのに…」

と、かなり辛口の意見でした。

子どもの前では言わない、と決めたこと

ただし、批判的な実母を含め「子どもの前で担任の悪口は言わない」という点で意見は一致しました。
なぜなら、どんな理由であれ、悪口は子どもの学校生活にとってマイナスだからです。
なぜでしょうか?

それが子どもの口を通して先生に伝わるなどして、逆に意地悪されたら大変だというような次元の低い理由からではありません。(もっともこんな先生も極々僅かにしてもいるらしいですが……)

もしわが子が担任を好きだったら、娘はどちらを信じていいかわからなくなり、混乱してしまいます
もしわが子が担任を嫌いだったら、ますます嫌いになるでしょう。
どちらにしても、わが子の学校生活にマイナスです。

信頼が学びを支える

「先生を好きだ」「先生を信頼している」──この状態の方が、子どもの学習は効果的に進みます
だからこそ、親としては、「◯先生は、いい先生だよ。◯先生でよかったね」と肯定的な言葉をかける。少なくとも、悪口は言わない方がよい。そう判断しました。

そうでないと、先生の正しい指導すら素直に受け取れなくなってしまう危険があります
本当は先生が正しくて自分が間違っていても、パパママがおかしいと言っていた先生だから言うことは聞かない。
自分の反抗を正当化してしまう可能性すらあるのです。

批判よりも「励まし」を

教える技量の高い・低いのあるのは、当然です。かたやベテランの主任、かたやまだまだ若い教員です。
(年をとっていても不勉強なら若くて勉強している教員の方がずっとよい)
実母がほめ、うらやましがっていた隣のベテランの先生にしても、若くして技量が低い時代もあったはずです。

若い担任には、むしろ「良いところを見つけて感謝を伝える」ことが効果的です。

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今、振り返ってみて

今から40年ほど前、学生時代に『母原病』という本を読みました。
当時はまだ「虐待」という言葉すら一般的ではなく、小児科医が“原因不明のあざや骨折”(母親の虐待によるものとは、思いもよらなかった)を診るうちに、ようやく親による虐待の存在に気づいていった──そんな時代の本です。

今では、子どものあざを見れば虐待の可能性を疑い、医療や教育の現場から行政に報告する体制が整っています。
それでもやはり、「母親は子どもを愛し、命を守り、成長を願う存在である」という大前提は変わらないと思います。

同じことは、先生と子どもの関係にも言えます。
昭和の頃に比べれば、教師への信頼や尊敬は落ちているかもしれません。
しかし「先生を好きだから、信頼しているから、子どもが学びに積極的になる」──このシンプルな関係は、今も昔も変わりません。

だからこそ、「今度の担任はハズレね」とか「ママはあの先生が好きになれない」などの言葉は、その関係を壊してしまいます。
反対に、「若いけれど一生懸命な先生ね」「お前は〜と言うけど、こんなところはすごいよ」と前向きな言葉をかける方が、子育て上はずっとプラスになります。
学校で教えるのは先生であって、パパママではありません。信頼して任せることが大切だと思うのです。

もちろん、正当な改善のお願いを伝えることは必要です。
それは連絡帳や面談で丁寧に伝えればよい。多くの先生は真摯に受け止め、改善につなげてくれるでしょう。

親も教師も、「子どもの成長を願う同志」です。
だからこそ、お互いに敬意を払うところから、少なくとも悪口を言わないところからスタートすべきだと思います。

📝 自分に問いかけてみる時間

子どもの前で、担任や学校の先生のことをどう話していますか?
つい愚痴や不満を言っていませんか?

子どもにとって先生は「毎日を一緒に過ごす存在」です。
親の言葉は、その先生への信頼に大きく影響します。


📝 簡単なワーク

👉 紙やスマホに、次の2つを書き出してみましょう。

  1. 今の担任(先生)の良いところを3つ挙げる。
     (例:元気に挨拶してくれる/一人ひとりをよく見てくれる/子どもが楽しそうに話している など)

  2. その良い点を、子どもにポジティブに伝えるとしたら、どんな言葉にしますか?
     (例:「先生はちゃんとみんなを気にかけてくれているね。」「楽しく授業してくれる先生でよかったね。」)

💡 ポイントは「良いところを見つけて、子どもと共有する」ことです。
それが先生への信頼を育み、子どもの学校生活を支える力になります。

※ ただし、本当に問題のある担任だったら、管理職などに伝えることも必要です。

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「あったかい家族日記」は、長女アキコ(2025年7月現在27歳・既婚)と次女クニコ(23歳・公認会計士)の成長を、パパの視点で約20年間にわたり綴った実録子育てエッセイです。
*二人が幼児だった頃から大学入学、そして結婚前後までの家族の日々を記録し、累計アクセス数は400万を超えました。
*七田チャイルドアカデミー校長・七田眞氏にも「子育てに役立つブログ」として推薦された本連載は、So-netブログ閉鎖(2025年3月)を機に、「記録」と「今の視点」を重ね合わせて再編集した〈日々の記録に、“今”を添えた子育てエッセイ〉として、noteで再連載しています。
*この文章は、2005年6月22日にSo-netブログで公開された『担任の教え方に不満をもつ実母の報告を聞いて……』に、「今、振り返ってみて」を加筆した再構成エディションです。

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