読者には、小学校高学年の女子を育てている親もおられると思います。この時期の女子は、友達、進学、異性関係など、思春期の女子は、多くの悩みを抱えて、心が不安定になりがちです。親としてどのようにかかわっていけばいいのでしょうか。
今から6年前『小五教育技術2012年4月号』の「特集 思春期完全マニュアル 五年生 解体新書」に「女子と保護者の関係」というタイトルで私が書いた原稿をそのまま紹介します。
心が不安定な思春期の女子とのかかわり方
第1144号 『小五教育技術2012年4月号』の「女子と保護者の関係」より
―高学年女子と保護者の関係 その2ー
友人関係のプレッシャーでストレスフルに
友達、進学、異性関係など、思春期の女子は、多くの悩みを抱えて、心が不安定になりがちです。特に友達との結びつきが強くなる反面、「自分を抑えてでも、まわりに合わせなくては」「グループから外れないようにしなければ」というプレッシャーでストレスフルになりがちです。少し目立っただけで仲間外れになったり、無視などのいじめにあったりして、辛い思いをすることが、どの子にも十分ありえます。
保護者に辛い気持ちを打ち明けられるといいのですが、そうでない子が少なくないのです。不登校や自殺にすら発展しかねません。
悩みを相談できる関係を
かわいいわが子の命がいじめで失われてしまったら、後悔しても後悔しきれません。
普段から話しておきましょう。「いじめは辛いだろうけれど、絶対に自殺なんかしてはだめだよ。お父さんとお母さんにとってお前は何より大切な宝物だよ。いやなことがあったら、お父さんやお母さんに相談するんだよ」。
悩みを相談できるような親子関係を築いていくことです。
辛い気持ちを受け止めてあげる
辛い気持ちを打ち明けてくれたら、落ち着いた態度で、子どもの話を丁寧に聞きましょう。「嫌なことを言われて辛かったろうね」と、まず共感的に聞いてあげましょう。「お父さんもお母さんも、お前のこと大好きだよ。味方だよ」とメッセージを伝えると、子供は癒されて、乗り切る力を得ることができるものです。
毅然とした態度も
他人には批判的になる反面、自分自身に甘くなりがちなのも、この時期の女子の特徴です。「宿題が終わっていないから、(たった1、2分で済む)配膳の手伝いができない」と言った娘を、ある保護者は、「昼間ずっと遊んでいて、夜になって宿題でお手伝いはできないはないでしょう!」と叱責したそうです。子どもの話をよく聞く一方、筋が通っていないこと、譲れないということは、きちんと叱るべきです。
学校のことをあまり話さなくなった
問われても「別に」とか、夕食後すぐに部屋に戻ってしまうとか、会話が少なくなることがみられます。対処法は、親子で料理作りを楽しんだり、買い物をすることです。この時期の女子が特に好む活動であり、会話も弾みます。途中でレストランに行って食事をすれば最高でしょう。コツは、相手の好みに合わせることです。
娘が父親を避けがちに
女子が父親を避けるようになるケースは結構あります。対応策は、父親が娘のために活躍できる機会をもつことです。ある母親は、意図的に作文や科学関係の課題などの指導を父親に回していました。「お父さんも頼りになるものだ」と喜んだそうです。娘の見たい映画に2人だけで行って、食事をするのもお勧めです。
思春期の特徴や対応について、学級懇談や学級通信で知らせていきましょう。早めに心構えをしてもらっておくのです。いじめについては、すぐに知らせてくれるようにお願いしておきましょう。そのうえで、一人ひとりの保護者からの子育ての悩み相談にのっていけばいいでしょう。
(以上引用紹介終わり)
(原稿の後半終わり→前半は思春期が「反抗期」になりやすい理由
実は、ここでの「ある保護者」、「ある母親」とは、私の妻のことである。