一人でいてもゲーム機があるから退屈しない。Lineがあるからさびしくない。周りがいろいろ気を遣ってやってくれるから、わざわざ自分から困っていることや欲求を伝えるなどのコミュニケーションをとる必要もない。対面でコミュニケーションをとらなくても何も困らない。慣れてくれば、一人はかえって心地よく、人と対面してやりとりする方がむしろわずらわしくなってくる。わずらわしければ、やろうとしない。やらないから、コミュニケーション能力など発達するはずもない。……
子ども達のコミュニケーション能力が低い原因 2014年8月8日 1936-1020
コミュニケーションがうまくできない原因
教員免許更新研修として「コミュニケーション学概論」という講座を受けた。
その中で、幼小中高の教員5名で「子ども達がコミュニケーションをうまく図れなくなっているという問題の背景は何か」について話し合った。
ある中学校教員は、<Lineの中ではコミュニケーションできても、対面でのコミュニケーションだとなぜかうまくできない>という実態を話し、Lineなどケータイ電話への過度の依存を問題にした。
ある高校の教員は、<Lineの中でいじめが発生しやすく、ある生徒は小学生時代に経験したいじめにまた遭うことを恐れて不登校気味になり転校した>という実態を話した。
それを受けて中学校の教員は、<Lineの中のいじめは、教師や親が発見しにくく、対応がむずかしい>と話した。
私(小学校教員)は、<ゲーム機などで一人遊びをするなど、集団遊びに比べてコミュニケーションの機会が減っている>ことを話した。
別の小学校教員は、<学級懇談会で「ゲーム機などをできるだけ避けて、外で遊ばせるようにしてください」と話したところ、「ゲーム機も交流の機会になっている」と反論された>ことを話した。
それを受けて、高校の先生は、<昔のように近所の仲間で缶蹴りなどをして遊ぶような地域集団がなく、一人でできる遊びが流行る>と話した。
ある幼稚園教員は、<子どもがほしいという前に、親の方で山ほど玩具を与えている。何をするにも親の方で先取りしてやってあげるので、子どもは自分でコミュニケーションをとる必要がない>と話した。
これ以外にも、<親は仕事で夜遅いのでかまってやれず、代わりにゲーム機を与えてしまう>、<それは一見楽なようだけど、逆に親が子どもとかかわりたいとき、ゲーム機がじゃまになる>…など、いろいろな話が出た。
わずか10分の話し合いである。統計的な資料に基づいたわけではなく、それぞれの持ち場(幼小中高校)での実感を話しただけではある。
がしかし、案外核心を突いているように感じた。
つまり、
①ケータイ電話のLineやゲーム機などに子どもが熱中するあまり、対面での会話の機会が減少していること。
②親などが先取りして子どもの欲求を叶えてしまうために自分から会話しなくても済んでしまっていること。
③仕事が忙しく親の帰りが遅いために、親が子どもとなかなかかかわれないでいることなどの状況が問題の背景にある
ということである。
一人でいてもゲーム機があるから退屈しない。Lineがあるからさびしくない。周りがいろいろ気を遣ってやってくれるから、わざわざ自分から困っていることや欲求を伝えるなどのコミュニケーションをとる必要もない。対面でコミュニケーションをとらなくても何も困らない。慣れてくれば、一人はかえって心地よく、人と対面してやりとりする方がむしろわずらわしくなってくる。わずらわしければ、やろうとしない。やらないから、コミュニケーション能力など発達するはずもない。……まあ、こんなところだろうか。
不登校・引きこもりなども、こうした状況が原因の一つになっているのではないかと思う。
コミュニケーション能力を高めるには
では、どうしたらそうした子どものコミュニケーション能力が高まるのか。
①子ども自らがコミュニケーションしたくなる、しなくてはならない状況を作り出すこと(安易に代弁したり先取りしたりしない)
②そのうえで実際的または模擬的な状況で練習を重ねること(親子の会話の機会をもつことー食事の際の団らん、ふれあい遊び、お手伝いでの会話etc.ー) だろう。
③そのためにも、ケータイ電話やゲーム機の使用を制限する、各家庭のルール作りもポイントになる。
④一方、そもそも親の多忙化を減らす社会(企業など)の努力も必要ではないか。
すき家の過重労働が大問題となっている(当時)が、労働者にも生活があり、家族があるという当たり前のことが置き去りにされてしまっている。24時間対応という消費者のことばかりをあまりに考えるのは、そこで働く人のことを考えると大いに問題だ。深夜の12時から4時はお店を閉めるとか、24時間対応のお店は輪番制にする(日曜日の休診日に輪番で対応するお医者さんのように)とかの対応が必要ではないか。わずか1kmの間に、当市でもコンビニが3つもある。消費者としては、1つのお店が開いていれば困らないはずだ。
とりあえず家庭ですぐにできる対策としては、上の①・②・③となる。
わかっていても、これがなかなか実行できないところに、本当の原因というか問題があるとも言えるだろう。
追記
8月22日早朝4時頃、セブンイレブンへコピーをしに行った。店長が対応していた。すき家の例を出しながら、店長と24時間営業の問題点にいて会話した。(他にお客がいなかったので)。<深夜12時から4時頃などに対応するものだから、親として日中子どもとかかわることがなかなかできないでいる現状は問題(その分、日中に寝る。また、日中も店に出ている。疲労がたまって子どもとかかわる気力がない)。あまりにお客に合わせすぎているのではないか。午前1時から4時など閉店すればよい。どうしても必要な人のためには医者のように輪番制にしてお店を開くとかすればよい。うんぬん>このように話したところ、その店長は「(将来は)そういう方向に行くと思う。」と言っていた。ただ、「お客のためにお店を開いているばかりでなく、商品をのせたトラックが深夜に入るので、それへの対応がある。」とも言っていた。深夜営業はしないという決意さえすれば、アイデアが生まれ、そこも何とかクリアできるのではないかと思う。
近況(当時)
8月14日ようやく子育て本(『うちの子、どうして言うこと聞かないの!と思ったら読む本』という書名で、翌年4月に無事出版)の出版原稿の一次原稿が完成した!
出版成功までを登山にたとえるならば9合目という感じである。
コラム1本にも数冊分の本からの学びと教職30年の経験知と子育て16年の経験知を込めるように書いてきた。
これからは編集作業となる。
最後の最後まで気を入れてやり抜く決意である。