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★友人一家をもてなす企画力のツボ

家族ぐるみでの友人一家との交流がもう何年も続いています。交互に招待する形で交流しているのですが、今回は、こちらが招待する番でした。
招待する側としては、どうすれば友人一家を喜ばすことができるかと真剣に考えます
ついつい以前自分たちが体験してよかったアイデアを勧めがちです。この企画の立て方の問題点は、ズバリ相手不在です。相手を喜ばすには、相手の状況を知り、それに基づいて企画を立てることです。そうした企画力(おもてなし力)のツボについて、わが家の事例をもとにしてお話しします。

友人一家をもてなす企画力のツボ 2008.5.14 第481号

ーナルシスト系ユニークなアイデアに陥る危険を避けるー

5月3日、4日は、家族ぐるみでおつきあいしているT一家を招待して楽しく過ごした。
T氏とは20年来の付き合いがあり、お互いが結婚し子どもが生まれてからは、家族ぐるみでおつきあいをしている。
幸い結婚した時期もほぼ同じ、生まれた子どもが二人ずつでその年齢もほぼ同じ……。共通点が多く、気も合うし、話題も合う……。そんなわけで、季節ごとに交互に相手家族を招待するという関係がもう何年も続いている。

今回は、こちらが招待する番であった。どうすればT一家を喜ばすことができるか。(かつ我が家も楽しめるか。)それこそ企画力(もてなし力)が問われる場面であった。

◆1 5月の連休の過ごし方ー第1次案ー

5月3日、4日に交流の日が決まった当初は、以前我が家で企画した<狐の嫁入り行列・温泉&SLの旅>にしよう!と考えた。なぜなら新緑の中を走るSLは最高であったし、温泉もよかったし、今度こそ最後まで<狐の嫁入り行列(毎年5月3日開催)>を見たかったからだ。つまり、以前わが家が体験してよかったからである。

翌日4日は、「弥彦山頂に行き(登山またはロープウエイ利用)、その周辺の温泉もいいかな。」こう考えた。こちらも以前この時期に弥彦山へは登山したことがあるのだが、1時間30分ほどで登れるし、新緑のこの時期は最高だからだ。山頂からの日本海の眺めもまた最高だからだ。つまり、こちらも以前わが家が体験してよかったからである。

季節感のある自然に浸り、汗をかき、温泉につかる。これなら新緑のこの時期のリフレッシュにふさわしいと考えたのだ。

◆2 T家を招待する企画のコンセプト


ところが、T氏の近況を聞いて驚いた。もともと地域の中心校、研究校(T氏も教員である)への栄転であったため、忙しいとは思っていたが、10時過ぎに退勤が常態であって、12時を回ることも少なくないという。それに土・日のうちどちらかは出勤しているという。しかも、職場が変わるということは、勝手が違い、慣れるまでストレスも多いはずだ。さらには、前日は12時過ぎまで飲み会の予定だという。

この情報を本人から聞いて、先の1次案は変えることにした。上述のような情報を妻に伝えた上での会話。

私「なあ、あんなに忙しくて転勤したばかりだとすると、疲れもたまっているはずだから、今回は(企画のコンセプトは)癒し系だよな。ゆったりとくつろいで過ごしてもらうのがいいよね。」

妻「それがいいと思うわ。」

私「車で2時間以上もかかるんだから、そのうえさらに2時間かけて津川の<狐の嫁入り行列>に参加は止めだな。1日目は近くを回ってゆったりと過ごしてもらおうよ。2日目は、弥彦山でまあ登山は無理せずにロープウエイか車で山頂だね。」

妻「温泉は二日目がいいと思うわ。家に帰ってからお風呂に入らなくてもすむから。」

私「そうだね。」

かくて「癒し系」で<ゆったりとくつろいで過ごしてもらう>を基本コンセプトとして、①子供たちが喜ぶ(これはいつものことだが) ②「新緑」という季節感を味わう この二つも大切にして企画を立てた。

◆3 完成した企画案


■5月3日…お昼頃、我が家に到着するので、そのまま家から歩いて10分ほどの「紅葉谷・K山公園」まで散策。京都貴船なみの新緑を味わい、公園内で用意したお弁当を食べる。そして、リス園・大型スライダー・さまざまな公園施設内の遊具…で遊ぶ。その後、これまた我が家から車で5分の「市営温水プール&ウオータースライダー」で遊ぶ。
その後、自宅で夕食をとり、早めに就寝することにした。(結果は10時就寝)

■5月4日…朝はゆったりと起床・朝食(実際は8時過ぎに朝食)。10時頃自宅を車で出発し、Y山へ。Y神社を参拝し、ロープウエイか車で山頂付近(9合目)へ。(実際は車となった。)山頂まで散策し、昼食。その後、新しくできたS温泉へ。そこでゆったりと汗を流し、くつろいだ後、我が家に戻り、解散。(温泉はとってもくつろげた。)

◆4 実際は?

天候に恵まれ、1日目の紅葉谷・K山公園と最高であった。リスも子供たち(長女アキコ小4、次女クニコ年長)は喜んだ。(親にとってはこの子供の喜ぶ姿が何よりの癒しだ!)それ以上に、温水プールには大喜びだった。

二日目も天候に恵まれ、山頂からの眺めは最高だったし、9合目からの登山は、季節感溢れる適度な散策となった。温泉で疲れも取れ、足湯をしながらの二世帯揃っての会話は最高の気分だった。

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企画する側としては、T家の奥さんの「本当にくつろげた。」という思わず出た一言がとってもうれしかった

どんな企画も、受け手(の満足)があって初めて成り立つ企画者がやりたいものではなく、受け手がたとえ言葉にしなくても本当に欲していることを読み、それに合わせた企画(もてなし)をすることが一番のポイントだ。

疲れてくつろぎたいのに、遠くまで<狐の嫁入り行列>というような「ナルシスト系ユニークなアイデア」ではいけないのである。

お互いにそのようなことをわかっているから、交流が長く続いているのだろうと思う。

*関連記事

 SL・温泉・狐の嫁入り行列

*追記

「ナルシスト系ユニークなアイデア」について、補足しておく。これは、最近読んだコピーライター山本高史『案本』に載っていた言葉である。
この案本は、企画を考える人はもちろん、文章(もちろんブログを含めて)を書く人には大変役立つ本だと考える。
本ブログでは、5月の連休「友人一家との交流の企画をどうするか」であるが、山本氏は、「ラーメン屋に友人を招待する」という企画を例に挙げて、「ナルシスト系ユニークなアイデア」に陥る危険を指摘している。関連部分を引用紹介しておく。

「主観提案の危うさ」

たとえば、ある男がある店でラーメンを食べた。うまかった。また訪れた。うまかった。最高の1杯だと思った。…(中略ファーザー)…でも意地悪して、ちょっと突っ込んでみよう。彼が食べるラーメンは、「彼にとってのラーメン」に過ぎない。彼は自分のラーメンを知っているに過ぎず、「ラーメンというもの」を知っているわけではない。つまり、主観に過ぎない。その主観で自分のラーメンを最高だと評価するのは、自由だが、偏見でもある。 もし彼が他人のラーメンのブログを読み(疑似体験)、多種多様なラーメンがあって、人それぞれのラーメン観があることを知れば、興味を広げてより多くのラーメンを食べてみれば(実経験)、自分がかつて抱いた(あのラーメン最高!)の思いは、実は単なる一面的なものの見方、ミラーボールのたった一筋の光をそのまま信じたようなものであることを知る。…(中略ファーザー)…もし彼が他のラーメンを食べてみることなく、自分の偏見のまま(ユニークに)、だれかを例の店に誘った(提案)とする。もちろん彼には、善意しかない。「うまい店紹介してくれて、ありがとう」と言われかねないと思っているかもしれない。しかし、彼の思うような結果を得るかどうか、わからない。おいしいと思うかどうかは(評価)、誘われた人の主観(尺度)次第だ。 「ただラーメン屋に誘っただけなのに」、彼は思いがけぬ「評価」の場に、さらされることになってしまった。(うまいうまいって言うからついてきたけど、こんなの普通じゃん。こいつの味覚は、あてにならないな。)つまり、「ナルシスト系ユニークなアイデア」。そんな可能性まで出てくる。 もし事前に他人のブログなり情報誌なりに接して、自分の主観が一面的な見方に過ぎないことを知っていれば、もし事前にいろんな店を食べ歩き、自分の味覚を修正したり確信を深めたりしていれば、この提案「ちょっと、ラーメン食いに行こうよ」は、リスキーな提案にはならなかった。もっと、妥当性を勘案された提案になっていた。少なくとも、「ナルシスト系」になる可能性は低くなっていた。(同書141ページ~144ページより)

自分が企画した「K山公園」についも、『子どもとでかける○○あそび場ガイド』(地元の母親たち13名が足で調べて作った本)で確認済みである。最高の5つ星の評価であった。Y山は4つ星の評価であった。
自分の主観にのみ頼るのではなく、情報誌なども調べることが大切だと、私もそう考えている。

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