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わが子との会話ネタになる読書

わが子との会話のネタをどうしたらよいでしょうか? 子どもがシングルエイジの間は、子どもは「自分のことを話したい。自分のことを聞いてほしい」ですから、日常の出来事のシェアでもそんなに困りません。親には忙しくても、関心をもって聞く態度があればそれでいいでしょう。
しかし、子どもが大きくなってくると、話の内容のレベルが上がってきて、日常の出来事のシェアだけでは、子どもは物足りなくなってきます。そうした中で、普段から親自身が学んでおき、機会をとらえてその知識を披露できたら、子どものためになるし、親もちょっぴり尊敬されることになります。

今回の事例は、親自身が読んだ本の内容を、わが子に紹介した事例です。
その本とは、演劇集団キャラメルボックス製作総指揮の加藤昌史氏の書いた『拍手という花束のために』です。
感動した本の内容は、わが子とのよい会話のネタとなります。

将来の夢をわが子と話す  2010.5.15 1686-719

ー読んだ本の内容はよい会話のネタとなるー

浴室と脱衣所での会話

さて、今日も、クニコ(小2)と私で入浴した。
私は、クニコの髪と背中を洗ってあげた。
クニコは、先に風呂から上がり、2階へあがった。

しばらくして、私が風呂から上がろうとすると、アキコ(小6)が来て風呂場ですれ違った。
アキコは入浴を始め、私は隣の脱衣所で体を拭き、着替え始めた。「風の中の昴♪」と中島みゆきの「地上の星」を歌いながら。

アキコ「お父さん、その歌いい。CDをダビングして。」
私「ああ、中島みゆきの<地上の星>ね。いい歌だろ。お父さん、この歌を聴くと元気が出るんだよ。」

アキコ「ねえ、CDをダビングして。」
私「うーん、暇になったらね。」(翌日ダビングして渡した)

アキコ「ねえ、お父さん、(8月の)誕生日プレゼント、1万円分の図書券にして。」
私「お父さん、それは(OKしたものかどうか)ちょっと考える。1万円が漫画本(パタリロの全集をそろえたいと最近言っていた。)に消えて、アキコの眼がもっと悪くなると嫌だから。」

アキコ「じゃあ、半分だけ普通の本にするから。」
私「普通の本もその内容が問題なんだよ。アキコも来年は中学生になるから、そろそろ将来のことや生き方のことを考えられるような本、例えば伝記なんかを読むといいと思うよ。」

アキコ「アキコ、学校の図書館でたぶんクラスで一番伝記を借りて読んでるよ。」
私「アキコは、将来何になりたいの。作家?」
アキコ「違うよ。」
私「やっぱり歌手か。」
アキコ「うん、歌手か女優。」

私「どうしてそうなりたいの。お金がたくさん入るからか。」
アキコ「違うよ。それだったら、ゴルフ選手になった方が、お金が入るよ。」

私(クスッ)「じゃあどうしてなりたいのかな。目立ちたい?(間)それともいい歌を歌って、お客さんを喜ばせたい。」
アキコ「うん、平原綾香みたいになりたい。」

読んだ本をネタにして会話

私「そうか。お客さんを喜ばせたいというならいいね。お父さんが今日読んだ本は、キャラメルボックスという演劇集団の製作総指揮をやっている加藤さんという人の書いた本なんだ。すごくおもしろかったぞ。例えば、東北新幹線の車両11両を使って劇をやったりするんだ。急に新幹線が停車して、マシンガンが入ったケースをもった男たちが1号車から11号車まで歩き回って新幹線を乗っ取るんだよ。

観客からの拍手をもらうとすごく元気が出るらしいよ。加藤さんは、早稲田大学在学中にある演劇を見て、すごくおもしろいって感動して、<こんなおもしろいものなのに、どうしてこんなに観客が少ないんだ。よしおれが広げてやろう!>という意気込みで始めたらしいよ。」

アキコ「ふーん。」

私「それまでの演劇界は、<現場でケガをすればケガをした本人の未熟さのせい>という世界だったのに、この人はまず劇団員全員を保険に入れたんだよ。そして、それまでは好きな演劇をやる代わりに貧しい状態だったのを、演劇をやって俳優が十分生活できるような給料を払えるようにしたんだ。

それには、お客さんにたくさん来てもらわないとだめだろ。だから、お客さんが楽しめるような工夫をいっぱいしたんだ。その自分が感動しておもしろいと思う劇をみんなにも楽しんでもらいたいという志が、とってもいいんだ。アキコも、お客さんを喜ばせたいという気持ちがあるなら、歌手もいいかもね。今度、東京に家族みんなで行ってキャラメルボックスの演劇を見たいな。」……

アキコは入浴しながら、私はドア越しに脱衣所で着替えながらの親子の会話の一コマである。

親子の会話のネタ

親子の会話は、わが家の場合、夕食を囲んでのグッド&ニュー(その日1日のよかったこと、ニュースとなるようなことをシェアし合う)が一般的である。

要するに、その日の出来事そのものがネタとなる。
例えば、学校での学習のこと、休み時間に遊んだこと、塾でのこと、帰ってきてからの友達との遊びのこと……。
こうした中で、親は子どもの様子や気持ちを知ることができるわけである。

これ以外に、親子の会話たり得るものの一つが、今回紹介したように読んだ本のことである。
幸い「読書好きに育てる」という私の教育方針が成功して、わが子二人は共に読書好きに育ってくれた。

読んだ本でおもしろかったところ感動したところなどを食事のときなどに聞かせると、子どもたちは、それなりにわかってくれ、楽しんでくれている

それには、普段から親自身が読書をしていること。学んでいることである。

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追記

アキコ(小6)といっしょに入浴できなくなって久しいです。
それまで、クニコ(当時小1)と私とアキコ(当時小5)の3人で入浴していたのですが、昨年12月から、アキコがいっしょに入ろうとしなくなってきました。

今年1月、アキコの生理が始まりました。
いつかいっしょに入浴できなくなる日が来ることは、覚悟していました。
「生理が始まる日あたりからかな」と漫然と思っていましたが、まさにその通りになってしまいました。
最後に3人で入浴したのは、今年1月でした。
わが家の例は、一般化できませんが、生理が始まる前までというのは、一つの目安かもしれません。

・加藤昌史氏の書いた『拍手という花束のために』は何で重版にならないのか不思議なくらいの名著である。仕事のヒントやリーダーとしてのあり方など、学べることがたくさんあった。演劇関係者に限らず、お勧めの一冊である。

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