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上の子を満たすと、下の子への優しさが芽生える2

ーー家族会議の効果

《読み始める前に》

きょうだいゲンカは、どこの家庭でも日常茶飯事。
でも「どう対応するか」で、姉妹の関係はぐっと変わります。
今回は、家族会議で決めた「まず上の子の心を満たす」方針の、その後のエピソードです。


パパの子育て奮戦記:第37号
長女アキコ(6歳)、次女クニコ(3歳)、ママ、パパ(私)、祖母(69歳)


家族会議で決めた方針

26号の記事「上の子を満たすと、下の子への優しさが芽生える」にも書いたように、最近長女の次女に対する態度が少しおかしく、「姉が妹に譲る」というより「妹に負けてたまるか」という感じでした。

そこで、夜中に家族で話し合い、その結果、次の方針を立てたことを26号の記事に書きました。

まず長女アキコをかわいがり、心を満たすこと。そうすれば、妹にも自然に優しくなれる

いろいろな活動の順番も長女が先で次女であるクニコが後という原則に決めました。

長女自身が満たされないうちは、『お姉ちゃんだから譲りなさい』と言っても無理がある」と判断したのです。

さっそく実践!ハグも絵本も「お姉ちゃんから」

翌朝からさっそく対応しました。

月曜日の出勤時には、どちらが先にお父さんとハグするかで、姉妹がもめました。私は「お姉ちゃんのアキコが先」と言い、アキコと先にハグしました。クニコは泣き出しましたが、ママがクニコを抱いてあやしながら、「お姉ちゃんが先なんだよ」と対応しました。

その夜も、絵本をどちらが先にお父さんに読んでもらうかで、再びもめました。同じように、「お姉ちゃんから」と言い、アキコから読み始めました。泣き出したクニコを、ママが「お姉ちゃんはすぐに終わるよ」と言ってあやしました。祖母も、「クニコはお姉ちゃんの後ね」とフォローしました。

このように、家族全員が方針を共有し、一貫して対応しました。
やはり、家族会議はいいですね。話し合いの結果決まったことは、みんなが理解し合って動ける強みがあります。

驚きの変化──「クニコ、先に読んでいいよ」

この対応を3日ほど続けたある夜、驚きの変化がありました。

長女アキコが、「クニコ、先に本読んでもらっていいよ。」と言って、クニコに譲ったのです。クニコは大喜びで、『どろんこハリー』を読んでもらい、アキコもその脇で穏やかに見ていました。

やはり、方針は正しかったようです。パパママに大事にされていることがわかった長女アキコは、妹に自然に譲ることができたのです。

実は、「読む順くらい長女なんだから譲ってやればいいのに。」と、私はずっと思っていたのですが、それが自然にできました。

やっぱり家族会議はいい

以前の記事で「まず長女アキコの心を十分に満たせば、妹にも自然に優しくなれる」と書きました。
今回、それが現実になりました。

こんな結果を創り出す家族会議は、やはりいいものです。

その翌朝、今度は姉妹で遊具の取り合いをしていました。
ケンカしたり仲良くしたり、この繰り返しの中にも、大事な学びがあるのだと思います。

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今、振り返ってみて

昔の言葉でいえば「長幼の序(ちょうようのじょ)」。「長子を立てる」というと、古い考え方だと感じる方もいるかもしれません。

もし、「お姉(兄)ちゃんなんだから、妹(弟)に優しくしなさい。譲りなさい。」と言うのだったら、普段から長子を立てておかないと成立しません。

普段から年上として大事にされているからこそ、妹や弟を大切にしようという思いが育つのだと思います。

「長幼の序」の立場に立たなくても、「まず自分が満たされなければ、人には優しくなれない」という原則に立つならば、やっぱり荒っぽい言動の背景にある「満たされない不満」を満たしてあげることが問題の根本的な解決になると思います。

子どもの「よいところ」「がんばっていること」は、探せばいくらでも見つかります。そこを親が、ほめたり、認めたり、感謝を伝えたりすることが大事なのだと思います。

いずれにしても、親としてどの子も平等に愛するのは変わりません。

この時期、私がクニコを抱きながら「世界で一番かわいい子が産まれちゃったね」と言っていた時、それを聞きつけたアキコが「アキコは、何番?!」と言ってきた時がありました。
私は「アキコも世界で一番かわいい」と即答したことを覚えています。

結果として、今のアキコ(27歳)、クニコ(23歳)は、きょうだい仲は良いです。親子関係も良好で、おしゃべりしたり一緒にお出かけしたりの関係が続いています。振り返れば、「ママとパパに大切に育てられた」「愛されてきた」という実感があるからだと思います。そして、「ママパパともに、きょうだい仲良くしてほしいと願っている」ことをわかっているからだと感じます。

📝 自分に問いかけてみる時間

  • 上の子は「自分が大切にされている」と実感できていますか?

  • 「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから我慢しなさい」と言う前に、その子を満たしてあげていますか?

📝 簡単なワーク

1.子どもの困った言動について、<心が十分に満たされているか>という根本に立ち返って、その背景を考えてみましょう。

2. 今日から1日1回でいいので、「上の子をまずほめる・認める」を意識して言葉をかけてみましょう。
(例:「さすがお姉ちゃんだね」「助かったよ、ありがとう」など)

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「あったかい家族日記」は、長女アキコ(2025年8月現在27歳・既婚)と次女クニコ(23歳・公認会計士)の成長を、パパの視点で約20年間にわたり綴った実録子育てエッセイです。
*二人が幼児だった頃から大学入学、そして結婚前後までの家族の日々を記録し、累計アクセス数は400万を超えました。
*七田チャイルドアカデミー校長・七田眞氏にも「子育てに役立つブログ」として推薦された本連載は、So-netブログ閉鎖(2025年3月)を機に、「記録」と「今の視点」を重ね合わせて再編集した〈日々の記録に、“今”を添えた子育てエッセイ〉として、noteで再連載しています。
*この文章は、2005年6月29日にSo-netブログで公開された『姉妹の仲をよくするための家族会議その後』に、「今、振り返ってみて」を加筆した再構成エディションです。

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