《読み始める前に》
実母が吐血し、緊急入院してから8日間で退院するまでの経過を前号に記しました。
家族の誰かが入院したときこそ、互いに励まし合える関係でありたいものです。
私は毎日お見舞いに行き、終日勤務のママは土曜日にお見舞い。
では、山梨県と東京に住む長女と次女はどうしたでしょうか。
パパの子育て奮戦記:大人になってから編 第5号
長女アキコ(27歳)、次女クニコ(23歳)、ママ、パパ(私)、祖母(89歳)
実母の入院のあらまし
前号では、実母(あーちゃん)の入院の経緯を紹介しました。
ラーメンを食べた帰りの車中で吐血し、救急搬送。胃潰瘍による出血で入院。
1週間の入院中、私は毎日1時間余り面会し、退屈しないように
・家族アルバム4冊(TOLOT製)
・私が作った「母の伝記」
・お気に入りの本
・新聞
を持参しました。
それでも認知症のあーちゃんは、寂しさから午前中と夜に電話をかけてきました。
緊急時こそ、助け合う家族でありたい
緊急事態こそ、家族が助け合うときです。
私たちが目指すのは、
「助け合いと対話を大切にして、一人一人と心のつながりのある、あったかい家族」です。
県外に住む娘たちにも、気遣いや思いやりを持って関わってほしいと思いました。
まず、行ったのは、
入院となった経緯や病状報告でした。
私:胃潰瘍等による出血。
1週間ほどは入院しそう。
取り急ぎ報告まで。
明日、胃が空っぽになった状態で、もう一度胃のなかを検査する。
明日午後、病院へ行く予定。
心配かけたね。

私がこうLINEで伝えると、
長女:「とりあえず無事でよかった。明日また教えてください」

次女:「お父さんもしっかり休んでください。ひとまず良かったです」
と返信がありました。

お見舞いメッセージという発想
帰宅後、
私は考えました。
「どうしたらあーちゃんがもっと元気になるだろう?」
そこで思いついたのが、娘たちからのお見舞いメッセージ(動画・音声)。
さっそく次のようにラインしました。
私:アキコとクニコへ
直接お見舞いできないだろうから、音声かビデオでLINEに送れるかな?
お父さんとお母さんが明日お見舞いに行った時に見せるか聞かせるから。

長女:
明日の朝、撮れるようにします。
実際に長女は動画を撮って送ってくれました。

Screenshot

LINEを見ていなかった次女
さて、次女はこの日、LINEを見ていませんでした。
さっそく翌朝、私は「家族が入院した時ぐらい、頻繁にLINEを見てね!」とLINE。
このLINEも見ないかもしれないので、同じ内容でショートメッセージも出しました。
次女は、昼近くに「今起きたので準備して録音します」と返信し、その後、音声メッセージを送ってきてくれました。

届いたメッセージ、あふれる笑顔
午後、孫たちからのビデオ(長女)と音声(次女)のメッセージをあーちゃんに見せました。
それを見たあーちゃんは、満面の笑み。
「満面の笑み」とは、まさにこんな顔をいうのじゃないか!と思いました。
退院の報告
私:血液検査の結果は良かったようで、明日退院㊗️㊗️㊗️
10時半に迎えに行くことになっています。
いろいろとありがとう。
長女:よかった^_^
次女:いいね
私:無事退院してきました。
次女:よかったです
長女:よかった☺️
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今、振り返ってみて
長女の動画メッセージは、あーちゃんにとって最高の癒しになりました。
認知症で前日の記憶が残らない母に、毎日見せるたびに笑顔が広がっていきました。
けれど、こうしたメッセージも誰かが声をかけなければ生まれません。
いつも家族経営で思うのですが、
誰か一人でいいから、あったかい家族を率先して作ろうとするリーダー“最初に声をかける人”がいるのです。
そのリーダーが声をかけさえすれば、ちゃんと動いてくれます。
その役割は、パパかママが相応しいでしょう。
県外の長女・次女にお見舞いメッセージを頼んだもう一つの理由
直接の理由は、あーちゃんを元気づけたいからですが、もう一つは、親の看護はしっかりするという模範を示すためです。
こうして、しっかりと親の看護をしている姿を見せることが、将来に向けた何よりの教育になります。
私や妻が将来そうなったら、同じように元気づけてほしい。そんな意図もあります。
今の実母の姿は、明日の私や妻の姿でもありますから。
📝 自分に問いかけてみる時間
1 家族の誰かが困ったとき、私は最初に声をかける人になれているでしょうか?
2 遠くにいる家族と「つながる工夫」を、普段どのくらい意識していますか?
📝 簡単なワーク
1 離れて暮らす家族に、30秒の音声メッセージまたは1枚の写真付きLINEを送ってみましょう。
「元気?」「寒くなったね」──それだけでも、立派な“つながりの種”です。
2 離れて暮らす家族に旅行・出張などの際に、旅先から絵ハガキなどのメッセージを送ってみましょう。
モノとして残る分、印象に残ります。


