さだまさし『本気で言いたいことがある』を読みました。テレビへの批判は、的を射ていると共感しました。
低俗なテレビ番組は、いじめの責任の一端を握っているとすら考えます。
親は子どもに見せるテレビ番組への影響を考え、それを選択する眼を育てるべきだと考えます。
★低俗なテレビ番組に、いじめの責任の一端あり! 2006.10.28
さだまさし『本気で言いたいことがある』(新潮新書700円)を読みました。家族や子育てを考えるにも、非常によい本です。
「今は、テレビでも下品な言葉が垂れ流されています。
『これ食ってみ』『うめー』とか、普通にタレントが言いますね。『まーじうめえ』とか『やっぺえ、これ』とか。何がどんな風に美味しいのか、さっぱりわからない。甘いのかしょっぱいのかといった、基本的な情報さえ伝えていない。
それが『表現』だと思っているタレントも怖いですが、それを通してしまうテレビ局はもっと恐ろしいですね。日本中の若い子がそれを真似する。それ程影響力のあるメディアなのです。テレビに関わる人間はもっと自覚を持たなきゃいけないと思います。」
(同書128ページ)
この文章には、共感します。
次に紹介する事例のように、低俗なテレビ番組は、いじめを助長しているとさえ思っています。
たとえば、もう何年も前の正月頃の番組でした。私はバラエティ番組などほとんど見ないのですが、たまたまテレビのスイッチをいれたら、とあるバラエティ番組をしていました。
スタジオには大きな水槽が用意されていて、大人の男性がその水槽に落ちるというか落とされた。水槽に落ちた男性は、怒るでもなく、髪の毛まですっかり濡れた顔を上げ、珍妙な顔をして笑いを取っていた。周囲にいた同じ番組の参加者は、それを見て笑っていた。
これは、笑いをとっているのではなく、笑われているだけだ。品が悪い。見ていて不快だ!
ほどなくしてテレビのスイッチを切りました。
私には、水槽に落とすという行為はいじめそのものですし、それを見て笑っているのはいじめを容認している傍観者としか写りませんた。見ていて不快になりました。
このような番組が、いじめを助長している! と思いませんか。
テレビの影響力は大きい。その影響力の大きさを自覚して、よい番組を作ってほしいものです。
いじめについての教師の姿勢がテレビ等でさんざんに叩かれたらしい。それはそれで必要なことでしょう。
ただ、テレビをつくる人たちは、「教育者じゃないし、いじめつくり出す側とは無縁だ」と思っているようですが、とんでもありません。
視聴覚教育という言葉があるように、あるテレビ番組を放映することは、教育行為そのものです。
テレビ番組をつくる側にも(こそ)、視聴覚教育が必要じゃないかと、私はかねてから思っています。放逐すべきあるいは再教育が必要な、いじめを助長する教師は、ブラウン管の中にもいると!
*関連記事
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*追記
テレビ番組をつくる側の現状はなかなか変わらない。自衛するしかあるまい。我が子には、質の高い教師(テレビ番組)・力量のある教師(テレビ番組)をできる限り選びたい。いじめを助長するような教師(テレビ番組)はできるだけ避けたい。
我が家では、子供の部屋にはテレビを置かせていない。あらかじめテレビのアンテナの配線すらしていない。テレビの視聴時間もさることながら、テレビ番組の内容についても、親は関心をもち、配慮をするべきである。よい内容の番組を選ぶべきだ。
*追記Ⅱ
最近たまたま娘がちょっとテレビのスイッチをひねったところ、5人がチームでクイズに答える番組がありました。小学生レベルの計算問題を5秒以内で答える問題だったのですが、3人目の女性が間違えてしまいました。
すると5人全員が発泡スチロールのボールの海に落ちてしまいました。いわゆる罰を受けたわけです。そして、そのうちの一人が「おれ、▲(間違えた女性のこと)をどつきます!」と叫んだのでした。それを、テレビは繰り返し、リプレイしていました。
小学生レベルの問題とはいえ、5秒以内では、じっくり考えるタイプの人は、間違えることも当然です。教室では、いろいろな子があり、そんなシーンでは、少し待ってあげたりします。間違えても「どつく」などの行為は、教師はもちろん、同じ子供同士では許されません。
ところが、テレビ番組では堂々とまかり通っている。まったくおかしいと思います。
ニューヨーク市長が、壊れた窓ガラスの理論をもとに、地下鉄の落書きを消すなどのちょっとした犯罪を減らすという取組をした結果、重大犯罪が大きく減ったということがありました。
質の低いテレビ番組は、この地下鉄の落書きに相当するのではないかと思っています。
ちなみに、先の番組は、娘に良くないところを話し、すぐに消しました。
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