《読み始める前に》
仕事上のイライラを家庭に持ち込んでしまい、家族全体が沈んでしまう。
そんな経験はありませんか?
仕事上の疲れやストレスのままに、家庭で振る舞ってしまうと、そうなってしまいがちです。
そうならないように、心がけてきた「切り替え」の一言(呪文)があります。
パパの子育て奮戦記:第9号
長女アキコ(小1・6歳)、次女クニコ(2歳)、ママ、パパ(私)、祖母(70歳)
家族経営のヒントが得られる本
ある晩、寝る前に『ファミリー』という本を手に取りました。
この本は、家族経営のヒントが得られる、私の愛読書の一つです。
何度も読み返しているのですが、その日、ふと開いたページにこんな一節がありました。
「さあ家に入ろう。そして、家族に愛情を伝えよう」
「私にとって家族とは、生活の中で最も楽しく、愉快で、大切なものである。さあ家に入ろう。そして家族に自分の愛情を伝えよう」
それから中に入る。家の中のあら探しをしたり、家事などについて批判したりせず、あるいは一人になって自分のことだけをしようとせずに、大声で「ただいま! さあおいで。お帰りのキスだぞ」と楽しく叫ぶ。子どもたちと床の上で転がって遊び、妻とキスを交わし…
あらゆる方法で楽しい雰囲気をつくっていく。
私はそのページに、以前引いたマーカーのラインを見つけました。
もしかしたら、この一節を読んだことが、我が家の「ハグとキス」の玄関習慣の始まりだったのかもしれません。
帰宅直前、「切り替え」の呪文でパパにスイッチを入れる
この一節を読んだ私は、
「子供たちや妻が私の帰りを待ちわびるような、そんなパパでありたい!」
そう思いました。それには、
仕事の疲れやトラブルをそのまま家に持ち込まないように、玄関をくぐる前に“気持ちの切り替え”をしよう! このように決めたのでした。
もちろん、仕事から帰ってきて、一人になってやり残しの仕事をしたり、子どもと関わる前に、ゆったりしたい時もあります。そんな時には「少しビール飲んで、ゆっくりしてからね」と正直に言うこともあります。
でも、基本の姿勢は、このパパのように
「楽しい雰囲気を作り出すために、あらゆることをする」
です。
例えば、
・楽しく子どもと遊ぶ
・妻の話を聞く
・一緒にお風呂に入る…
車から降りるとき、私は心の中で「切り替え、切り替え」と唱えながら、パパとして楽しい雰囲気をどうやって作り出すかをイメージします。そして、パパとしての役割を楽しみながら果たしています。
今、振り返ってみて
今でもよく覚えています。仕事でクタクタになって帰宅するその直前、「切り替え、切り替え」と小さくつぶやきながら車を降りる──あれは、まさにパパとしてのスイッチを入れる“呪文”でした。
当時は、家庭に仕事のイライラを持ち込まないようにと、自分なりの精いっぱいの工夫だったのですが、今振り返ると、この習慣は家族にとっても、自分自身にとっても、大きな意味をもっていたように思います。
私が「楽しい雰囲気をつくろう」と意識して家に入ることで、家の中に明るい空気が流れました。そしてその空気は、確実に子どもたちやママにも伝わっていたと思います。
よく、「家族の雰囲気はママ次第」と言われますが、パパの持ち帰るエネルギーもまた、家族全体に少なからぬ影響を与えていると、私は感じています。だからこそ、パパの側からも「楽しい空気を作り出す」意識を持つことは、とても大切なことだったと思っています。
実際、パパモードに切り替えて、子どもと遊んだり、入浴したり、おしゃべりしたりする中で、仕事上のイライラも不思議と半減して、癒やされた私がいました。
もしかしたら、あの“呪文”に一番助けられていたのは──私自身だったのかもしれません。
*「あったかい家族日記」は、長女アキコ(2025年7月現在27歳・既婚)と次女クニコ(23歳・公認会計士)の成長を、パパの視点で約20年間にわたり綴った実録子育てエッセイです。
*二人が幼児だった頃から大学入学、そして結婚前後までの家族の日々を記録し、累計アクセス数は400万を超えました。
*七田チャイルドアカデミー校長・七田眞氏にも「子育てに役立つブログ」として推薦された本連載は、So-netブログ閉鎖(2025年3月)を機に、「記録」と「今の視点」を重ね合わせて再編集した〈日々の記録に、“今”を添えた子育てエッセイ〉として、noteで再連載しています。
*この文章は、2005年6月1日にSo-netブログで公開された『家族の文化を自分が率先して創っていこう』に、「今、振り返ってみて」を加筆した再構成エディションです。