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娘と将来、手をつないで歩く人は?──結婚式で報われた娘のスピーチ

《読み始める前に》

お風呂で背中を洗ってくれた長女。夜の散歩で手をぎゅっと握った長女。
「この手を、やがて他の誰が握るのだろう」──そんな想いに揺れた夜の記録です。
後段は、現れた彼氏と結婚式での娘のスピーチです。

パパの子育て奮戦記:第42号
長女アキコ(6歳)、次女クニコ(3歳)、ママ、パパ(私)、祖母(69歳)


お風呂での思わぬ出来事

7月2日(土)の夜、長女アキコ(6歳・小1)と一緒にお風呂に入りました。

背中を自分でうまく洗えない私が「まっいいか」とやめようとしたとき、アキコが言いました。

「洗ってあげる」

こんなことを言ってくれたのは、初めてかもしれません。
「パパ、背中はうまく洗えないから、洗って。」
と頼んで洗ってもらったことはあったけど。

その後は交代して、私がアキコの体を洗ってあげました。おちんちんのあたりを除いて、かなり念入りに。

「こんなことをしてやれるのも、後何年だろう。小学校4年生くらいまでかな」
「男親は、ちょっぴりさみしいな〜」

ふと、そんなことを思いました。

夜の散歩と娘の手

風呂上がりに、アキコと家の近くを散歩しました。

「アキコ、一緒に外を散歩しよう」
「うん、今行く」(日曜日の夜は、逆にアキコが誘って きました。)

家の近くには緑の山が迫っていて涼しく、徒歩1km以内にお寺が3つ。山にはお墓もたくさんあります。

「パパ、こわい」
「大丈夫、パパがいるから」

そう言って、私は娘の手をぎゅっと握りしめました。

手を握りながら、
「あ〜、私に代わって将来この手をつないで歩く彼がいる。それまで後10年もないかもしれない。」
と、ふと思いました。

そして、またぎゅっと娘の手を握りながら一緒に歩きました。

父親としての想い直し

日記を書きながら、こう思い直しました。

「娘はいずれ恋をし、結婚するだろう。それは自然のことだし、そうでなくては困る。
でも、たとえ娘が結婚する日が来ても、私が父であることは変わらない。

だからこそ、「今しかできないこと」に力を注ごう。
毎晩の絵本の読み聞かせ、一緒に遊ぶこと、そして躾……。

あったかい家族日記も、気づけば50回を迎えました。
子どもの成長と同 じで早いものです。

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今、振り返ってみて

あの夜の「予感」が現実になった

「私に代わって将来この手をつないで歩く彼」──そんな想いが頭をよぎったのは、あの日の散歩のときでした。
その「彼」は、娘が大学生になったときに現れました。アキコより1歳年上で、同じ大学の同じ学部。
二人は、ボランティア活動を通じて知り合いました。

やがて大学を卒業し、お互いに社会人となり、落ち着いたタイミングで同居。

2023年7月23日、東京駅構内の高級料亭で、両家が初めて顔を合わせた日を今でも鮮明に覚えています。

待ち合わせの場に、アキコとその彼が手をつないで嬉しそうに歩いてきた姿を見たとき、私は思いました。

「ああ、アキコは、この人と本当に結婚したいんだな」と。

娘が選んだ人生と父の思い

そして2023年8月6日、アキコは24歳(25歳直前)で入籍。
あの夜から数えて18年後、私は本当に「娘と手をつないで歩く彼」を見ることになったのです。

さらにその1年後の結婚式で、アキコはスピーチしました。

「〜私の夢、やりたい事はずっと応援してきてくれたパパ、ママ。
2人の娘になれて、幸せな25年間を過ごすことができました。
今までたくさんの愛情を本当にありがとうございました。
結婚してからも、私がパパ、ママの娘であることに変わりはありません。
これからもあたたかく見守ってください〜」
(一部抜粋)

「私の夢、やりたい事はずっと応援してきてくれたパパ、ママ」という言葉を聞いたとき、私は「親として今までやってきたことがすべて娘に伝わっている」と確信でき、報われた思いが湧いてきました。

そして、

「結婚してからも、私がパパ、ママの娘であることに変わりはありません」


そう、娘自身が証言してくれたのです。

📝 自分に問いかけてみる時間

  • あなたは「子どもが親から離れていく未来」をどんな気持ちで想像しますか?

  • その時、子どもに「私は愛されてきた」と確信してもらえる関わりをしていますか?

  • 子どもの結婚や自立を「喪失」ではなく「新しい関係の始まり」として受け止められますか?

📝 簡単なワーク

  1. 今日、子どもに「今しかできないこと」をひとつしてみましょう。
    👉 絵本を読んであげる、散歩に誘う、ただ手をつなぐ──どれも立派な「親子の宝物」です。

  2. 未来の結婚式を想像してみましょう。
    👉 あなたは子どもから、どんな言葉を贈られたいですか?
    その言葉が聞けるように、今日からの小さな関わりを積み重ねてみましょう。


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    「あったかい家族日記」は、長女アキコ(2025年8月現在27歳・既婚)と次女クニコ(23歳・公認会計士)の成長を、パパの視点で約20年間にわたり綴った実録子育てエッセイです。
    *二人が幼児だった頃から大学入学、そして結婚前後までの家族の日々を記録し、累計アクセス数は400万を超えました。
    *七田チャイルドアカデミー校長・七田眞氏にも「子育てに役立つブログ」として推薦された本連載は、So-netブログ閉鎖(2025年3月)を機に、「記録」と「今の視点」を重ね合わせて再編集した〈日々の記録に、“今”を添えた子育てエッセイ〉として、noteで再連載しています。
    *この文章は、2005年7月4日にSo-netブログで公開された『娘と将来、手をつないで歩く人は?』に、「今、振り返ってみて」を加筆した再構成エディションです。

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