子育てがうまくいくヒント © 2022 泉河潤一 All rights reserved.

孫の結婚祝いとして書『十二支』を書く

🔸1 あーちゃんの趣味「書道」を復活させたい!

実母のあーちゃんは、四半世紀にわたって、自宅で書道を教えてきました。大人にも、子どもにもです。
私が大学時代から学び始めて、市展賞を皮切りに、県の芸展の奨励賞、全国レベルでは書壇院賞を2回(無鑑査へ)取るほどでしたから、半端ではありません。

しかし、81歳で教えることをやめ、自ら書くこともやめていました。
私としては、何とかもう一度書く趣味を復活させれば、生き甲斐になるのではないかと、ずっと思ってきました。
私「大きい紙じゃなくても、色紙とかに書いてみたら。」
と水を向けるのですが、背丈以上もある紙に書いてきた実母にとって、物足りないらしく、2度と筆を取ることはありませんでした。市展に連れて行くと、興味を持って見ていますが、自ら書くことはなかったです。

そんなあーちゃんになんとか書道の趣味を復活させたいと考えた出したアイデアが、孫の長女アキコの結婚式のプレゼントとして書を書くというものでした。

🔸2 構想と長女への働きかけ

🔹構想

①長女から結婚式のお祝いとして、あーちゃんの書が欲しいと言ってもらう。

②孫のためならばと、あーちゃんが7月の結婚式に向けて、「書」の作品を仕上げる。

③それをきっかけとして、「書」の趣味が復活する ⇨ より生きがいのある生活へ。

ざっとこのような構想を立てました。

🔹長女への働きかけ

 

 

 

こんなやりとりの結果、アキコは、あーちゃんに書のプレゼントをしてもらうことに決めました。

🔸3 帰省したアキコ、あーちゃんに書のプレゼントを頼む

2月20日(火)夜、新幹線でアキコが帰省しました。

そして、翌21日(水)、あーちゃんの部屋に飾ってあった書を見て、気付いたように。

アキコ「あーちゃん、結婚式の記念にあーちゃんの書いた書が欲しい。」

あーちゃん「うーん、(ずっと書いていないから)あーちゃん書けるかな。」

私「大丈夫だよ。畳一畳分の大きい作品だと無理だと思うけど、2文字ぐらいの作品なら大丈夫! 「馬遊」みたいに、金文字で書けばいい。富士とか、幸福とか、書いてもらえば。」

アキコ「うーん、(間)十二支がいい。」

私「(多いけど)それいいかも。毎年順番にその年の干支を飾ればいいよね。色紙1枚に1文字ずつ書けばいい。」

しばし「うーん」状態だったあーちゃんでしたが、目の中に入れても痛くない孫アキコの願いなので、結局書いてあげることにしました。

書く文字は、なんと「十二支」、12枚の色紙が必要になります。

🔸4 早速『金文字典』を引くあーちゃん

孫のアキコがいるうちに、ある程度まで進めておかないとうまくいかないと直感した私は、早速『金文字典』、『五体篆書字典』をあーちゃんの本棚から持ってきて、十二支の金文を調べてもらいました。


というか、アキコと私とあーちゃんの3人で調べました。あーちゃんが字典を引き、アキコがメモして、私はネットで「虎 金文」のように検索してチェックしていました。

例えば、「虎」か「寅」かなど、どちらで書くか迷う漢字もよくあったのですが、最終的にはあーちゃんが決めました。

あーちゃんは、自分で字典を引いて字を書くことができるのです。お弟子さんのお手本も書いてあげていましたから。

結局、字典を引いた結果、十二支の文字が決まりました。

 数字は字典のページを意味しています

アキコが、あーちゃんの部屋に入って、書のプレゼントの話をしたのが10時頃。
十二支の文字が全て決まったのが、ちょうど12時ですから、2時間かかりました。

🔸5 実際に色紙に書き始める!

ランチは外食で回転寿司。

そのまま百均で、色紙を15枚(間違う場合を3枚想定した)買い求めました。

帰宅して一休みした後、1枚だけは書いてもらうことにしました。

というのは、書道の道具が大丈夫かなどのチェックも必要だから。
1枚書き上げることができれば、それを7月の結婚式までに12回続ければいいわけです。

硯も、墨も、筆も…すぐに見つかりました。

2時半頃、早速書き始めました。

何枚か半紙で練習した上で、色紙に清書。

孫のアキコ(あーちゃんが小1からずっと書道を教えてきた。段位を持っている)と、言葉を交わしながら、書き始めました。

途中、

あーちゃん「どうして、これ書いているんだっけの?」

アキコ「アキコの結婚式のお祝いのプレゼントだから。」

あーちゃん「これ(お手本を私が書いたから今度は)、アキコが書くんじゃなかったかの?」

あーちゃんは、認知症なので、こんなやりとりが何度かありました。

 

🔸6 できた十二支の金文

「昔取った杵柄」の通り、あーちゃんはどんどん書いていき、4、5枚も書き続けました。

自宅で発達凸凹ミラクル塾を開いている私は、3時半から子どもが来るので、アキコに任せて教室に移動しました。

なんと私が学習塾で子どもを見ている間に、あーちゃんは、十二支の12枚全部書き上げてしまいました!

2時間のことでした。

さすが、畳一畳分の書の作品を書き上げてきただけあって、12文字ぐらいの金文を2時間で書き上げるだけの力があったのでした。

「虎」に少し時間がかかって、練習を20枚もしたそうです。

むしろ20代のアキコの方が疲れていました。

 

🔸7 一生の思い出

それにしても、1日で完成とは!

孫への愛の凄さに、改めて驚きました❤️

プレゼントされるアキコは、自分が手伝いながらあーちゃんが一生懸命書いた書だというのはわかるわけで、毎年飾り替える度にあーちゃんのことを思い出すでしょう❤️

ただ、7月の結婚式に向けて、約半年の間、孫のプレゼントの書を書くという生きがいをもって過ごすということは、完了してしまいました。

翌日、探し回った末に雅印を見つけました。アキコが帰省しなければならず、雅印を押している時間がなかったので、次回の帰省時のお預けとなりました。

その日の夕食時、

私「今日は、あーちゃんがんばって、アキコへの結婚記念のプレゼント、十二支を仕上げたねー。すごいよね。」

と言ったのですが、認知症のあーちゃんは覚えていませんでした。

アキコが来た時も、

あーちゃん「彼氏はどこに勤めているの?」・アキコ「〇〇銀行」・私「だから、お父さんと同じだよ」これが、10分ほどの会話で、3回も繰り返されていました。これは、練習回数が少ないからと考えていましたが、まる1日かけてやったことなのに、書を書いたことは覚えていませんでした。認知症というのは、本当に覚えていないのだなと思いました。

それでも、本人が覚えていなくても、周りは覚えています
それに、本人が制作中の写真を見れば、自分が書いたとわかりますし、作品を見てもわかるはずです。

書の趣味の復活についてですが、今度は、妹のクニコの結婚(決まっていませんが)のプレゼントとして、書いてもらってもいいかなと思っています。

 

あーちゃんが書いた十二支

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です