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最良の教育環境とは何か?

読み始める前に

子どもの将来のために、最良の教育環境を与えたい。それは、親の愛情表現でしょう。しかし、最良の教育環境とは、何でしょう。少なくとも、パパと離れて県外の有名幼稚園に通うことではないと思うのです。

パパの子育て奮戦記:第3号
長女アキコ(小1)、次女クニコ(2歳)、ママ、パパ(私)、祖母(70歳)

ヤマハ音楽教室の夜に

長女アキコは、週1回A市にあるヤマハ音楽教室に通っています。
この日も、まだ風邪気味の次女クニコを祖母に預け、ママがアキコを連れて出かけました。

私は7時過ぎに帰宅しましたが、1時間近く待つことになりました。
毎週のことではあるけれど、やはりどこか物足りなさを感じます。

テレビ番組の記憶から考えたこと

ふと、あるテレビ番組を思い出しました。
今から15年ほど前、新潟に住む夫婦が、横浜の有名幼稚園に子どもを通わせている様子をリポートした番組でした。

夫婦は、その幼稚園の上質な教育に惹かれ、父親は同意の上で新潟の自宅に一人で残り、ほとんどの食事を一人でとるなどの生活を続けていたそうです。

その時、私は思いました。

最上の教育環境とは、そんな遠くにあるものだろうかと。ただ、夫婦が仲良く一緒にいることではないかと。それがまず必要な環境であり、その上での教育環境であると。

そして、さらに考えました。

そんな犠牲の上に育った子ども(女の子だった)の夫となる人が、もしも夫婦の目にかなわなかったらどうするのだろう。 この両親は、それを受け入れられるのだろうか。 それ以前に、この子は親のすさまじい期待に耐えられるのだろうか、と。

わが家の場合は、週1回であるし、夜8時には帰ってくるので、まあギリギリ、ヤマハ音楽教室は許容範囲だと思っています。


今、振り返ってみて

今でも、あのテレビ番組のことを思い出せます。

一人で寂しくビールを家飲みしていたパパの姿。(可愛い娘のためだ)

一方の横浜の幼稚園では、ママと保育士さんが見守る中、テスト課題のようなものに懸命に取り組む娘さんの姿。
その表情から私は、どこか“安心感”よりも、“期待に応えなきゃ”というプレッシャーを感じ取れました。

教育熱心なご両親の決断の背景には、子どもへの愛があったのだと思います。 でも、一人で家飲みをしていたあのパパの姿には、どこか“子育てから取り残されている”ような寂しさを感じ取れました。「パパ、大好き!」と率直に言ってくれる、子育てゴールデンタイムを奪われて、私は正直かわいそうとすら思えます。

そして、ママと保育士の視線を背に、課題に取り組むあの娘さんの姿── それは、愛されているという安心感からの行動というより、 「ママの愛を失わないように、がんばらなきゃ」 という不安や焦りのようなものすら、感じたのです。

私たち親ができることは、子どもに最高の教材や環境を与えること以上に、 「あなたがいてくれて嬉しいよ」と、無条件に愛することじゃないかと思います。

できる・できないに関係なく、そこにいるだけでかけがえのない存在だと思ってくれる親がそばにいてくれることではないかと思います。

何か特別なことをしなくても、毎日、家族でご飯を食べておしゃべりして、一緒に遊んで笑って、たまにはケンカして、 でもやっぱり「ここにいれば安心!」「ここが最高!」と思える家庭をつくっていくこと

それが、何よりの“教育環境”だと、当時も今の私も思っています。


*「あったかい家族日記」は、長女アキコ(2025年7月現在27歳・既婚)と次女クニコ(23歳・公認会計士)の成長を、パパの視点で約15年間にわたり綴った実録子育てエッセイです。
*二人が幼児だった頃から大学入学、そして結婚前後までの家族の日々を記録し、累計アクセス数は400万を超えました。
*七田チャイルドアカデミー校長・七田眞氏にも「子育てに役立つブログ」として推薦された本連載は、So-netブログ閉鎖(2025年3月)を機に、「記録」と「今の視点」を重ね合わせて再編集した〈日々の記録に、“今”を添えた子育てエッセイ〉として、note  で再連載しています。
*この文章は、2005年5月26日にSo-netブログで公開された『最上の教育環境は、夫婦が仲良く一緒にいること』に、「今、振り返ってみて」を加筆した再構成エディションです。

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