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パパの一言で妻が笑顔に──“美味しい”が育てる家族の時間*

《読み始める前に》

夕食のひととき。
パパの「美味しい!」の一言が、妻の笑顔を生み、また新しい料理を生むきっかけになることがあります。
今回は「美味しい」の一言がもつチカラについてのお話です。


パパの子育て奮戦記:第32号
長女アキコ(6歳)、次女クニコ(3歳)、ママ、パパ(私)、祖母(69歳)


家族の食卓のルール「グッド&ニュー」

わが家には、夕食時にテレビを消して「グッド&ニュー」(今日一日のよかったことや新しいことを話す習慣)を発表する伝統があります。
司会はその日によって変わり、長女が進行役を務めることもよくあります。大体2巡するので、それぞれ2回は発表の機会があります。

ある日のこと、私はなかなか思いつかず、思わずこう言いました。
「夕食が美味しくてよかったです」

実はこの日、初めて食べる新メニューが登場していたのです。

新メニューがもたらした妻の笑顔

その料理は「肉と青じそを一緒に巻いて天ぷらにしたもの」。
食べながら「これ、うまい! 本当にうまいな」と何度も口にしていました。
その時、妻がとても嬉しそうにしていたことを思い出しました。

さらに思い返せば、昨日も新作メニューが食卓に出ていて、私や実母が「こんな料理は初めてだ。おいしい!」とさかんに言っていました。その時も、妻は照れながらも「ずっと前に一度つくったことがあるよ」と答えていました。
そして今日、また新作を出してくれたのです。
きっと「おいしい」と言われたことが嬉しくて、もう一度挑戦してくれたのでしょう。

やはり、人のやる気を引き出すのは「ほめ言葉」です。

料理に込められた愛情

結婚当初から数年間、正直に言えば「母の料理の方が上手い」と思っていましたし、もっと料理を研究してほしいと思うこともありました。
この4月から5年ぶりに母と同居していますが、その前の転勤先の長岡市では、3年間、妻はヨシケイの食材セット(調理法マニュアル付きで毎日届けられるサービス)を利用しており、その経験がマニュアルを参照して料理をする習慣と腕を磨くことにつながったのだと思います。
そして、磨いた腕で「愛情」を込めて作ったわけです。

「美味しい」がつくる温かい時間

実母もよくこう言っていました。
「一人分だけつくるのは張り合いがない」とか、
私が独身時代さっと夕食を食べて2階へあがろうとすると、
「せっかくつくったのだから、もっとゆっくり味わって食べて」

妻にとって、料理はまさに作品です。
その出来映えに敏感でありたい。

「うまい!」「おいしい!」
そして子どもにも「これおいしいぞ」と伝える──。

そんな肯定的なフィードバックを、これからも忘れずに伝えていきたいと思います。

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今、振り返ってみて

料理というのは、ただの栄養補給ではなく、作る人の手間や気遣い、そして愛情が込められたものです。
スマホやテレビを見ながら無意識に食べてしまうのではなく、きちんと味わうことが大切だと思います。

黙っているより「美味しい!」の一言を

料理が美味しいときに黙っていて、イマイチのときだけコメントする──これでは作る側の張り合いがなくなります。

実際には、ほとんどの料理は十分美味しいのですから、積極的に「美味しいね!」と伝える方がずっといい。

イマイチの場合は黙っていて、妻から、「ちょっと薄味すぎたかしら。」と聞かれたら、「もう少し濃くてもいいかも。」ぐらいに答えるぐらいでいい。

私は、そうしてきました。

料理は愛情を伝える機会です。
そして、「美味しい」という一言は、その愛情に応える最良のフィードバックになります。

妻が時間をかけて作ってくれた料理を味わいながら、
「これどうやって作ったの?」
「これ手間がかかったろ。」
「美味しい」…
と肯定的なフィードバックを返す。
それは、妻の料理へのやる気を引き出し、家族みんなの食卓を豊かにしてくれる秘訣でもあります。

📝 自分に問いかけてみる時間

  • 料理は「できていて当たり前」「美味しくて当たり前」と思っていませんか?

  • 出来栄えに無関心になり、感謝やフィードバックを伝えるのを忘れていませんか?

📝 簡単なワーク

  1. 今日の夕食で「美味しい!」と感じた瞬間を見つけて、作ってくれた人に声をかけてみましょう。
    (例:「この味付けいいね」「この組み合わせ新しいけど美味しい!」)

  2. 週末など機会があれば、自分で料理を作ってみましょう。
    「作る大変さ」を体験すると、自然と感謝の言葉が増えるはずです。


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「あったかい家族日記」は、長女アキコ(2025年7月現在27歳・既婚)と次女クニコ(23歳・公認会計士)の成長を、パパの視点で約20年間にわたり綴った実録子育てエッセイです。
*二人が幼児だった頃から大学入学、そして結婚前後までの家族の日々を記録し、累計アクセス数は400万を超えました。
*七田チャイルドアカデミー校長・七田眞氏にも「子育てに役立つブログ」として推薦された本連載は、So-netブログ閉鎖(2025年3月)を機に、「記録」と「今の視点」を重ね合わせて再編集した〈日々の記録に、“今”を添えた子育てエッセイ〉として、noteで再連載しています。
*この文章は、2005年6月24日にSo-netブログで公開された『妻の料理の出来映えに敏感でありたい』に、「今、振り返ってみて」を加筆した再構成エディションです。

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