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指導員(介助員)さんの仕事とは何か?

特別支援教育コーディネーターでもある私は、指導員(介助員)さんの仕事(内容・心構えetc.)について説明した。指導員は、ガイドの専門性母親のようなあたたかさ・強さが要求される専門職であり、大切な仕事だと話した。思えば、母親もあたたかさ・強さそして専門性が必要だ。

指導員(介助員)さんの仕事 2009.10.26 第655号

ー登山のガイドにたとえて説明ー

反抗挑戦性障害のAさん(通常学級に在籍)の指導が大変だということで、10月14日から特別に指導員Bさんが当校に配属された。そして、2週間が経過。Bさんは、これまで教育関係の仕事をしたことがない、30代の既婚女性(子供はまだ)である。配属当初には、Aさんの実態や、Aさんとのかかわり方などを中心に、仕事内容を話していた。

3週間が経過し、指導員(介助員)さんの仕事のアウトラインを、特別支援教育コーディネーターでもある私の方で説明することにした。
これまで教育関係の仕事をしたことがないBさんに、どのように説明したら、分かりやすいか?!
私は、9月に行った全校登山になぞらえて、指導員(介助員)さんの仕事のアウトラインを説明した。時間は、30分間である。

指導員の基本的役割と心構え

Bさんを前にして私は、リュックを背負ったAさんのイラストと、その斜め後ろにB指導員さんのイラストを描き、その前方にこれから登る山を画用紙に描いた。

私「指導員さんの仕事は、山登りのガイドとしての役割なんです。母親としてAさんの側にいて一緒に山登りをするというイメージですね。」

私「山は学習課題のことで、山頂に着くというのは、学習課題を達成するということのたとえなんです。そこで、一番大切なことは、Aさんは登れるだけの力ー能力や意欲ーをもっていると、心から信じることなんです。私がサポートしながら登ることで、Aさんは必ず山頂まで行けると、信じることなんです。」

登山のしおり1「●ねらい」

私「あらゆる学習活動には、ねらいがあります。」

遠足でも、登山でも「しおり」があります。その最初に書いてあることが、●ねらいです。登山でいえば、①最後までがんばり通す体力と気力を育む とか ②励まし合って登る とか ③自然に触れ親しむ などがありました。

指導員として、あらかじめ「しおり」を読んだり、教師に聞いたりして、山頂すなわちねらいを知っておく必要があります。どこまでいけば、ねらいを達成したことになるのか、知っておく必要があるのです。」

登山のしおり2「●行程・地図」

私「「しおり」には、●行程や地図がのっています。どんな道順で山頂まで行くのか。いつまでに山頂に着くのかなど、これらも大切な情報です。

この辺りは、ガケがあって危険だとか、分かれ道・迷いやすい所はどこか、見晴らしがよい見所はどこか、途中で休憩できそうな所はどこかなど、子どもばかりでなく指導員さんも、もちろん事前によく頭に入れておく必要があります。」

登山のしおり3「●持ち物の用意」

私「「しおり」には、必ず●持ち物がのっています。水筒、敷物、お弁当…などですね。これに当たるのが、筆記用具であり、教科書やノート、ドリル…ですね。

Aさんの場合、朝ランドセルが出っぱなしになっていたり、教科書やドリルがなかなか用意できなかったり、よくしますね。
低学年なら、リュックに水筒・敷物・お弁当などを詰めることを、親がやってあげたり、親が子どもと一緒にやってあげたりします。それと同じく、Aさんの場合も、自分で用意できなければ、やってあげ、あるいはい一緒にやってあげ、徐々に一人でできるようにしていくわけです。」

登山のしおり4「●ルールを守る」

私「「しおり」には、必ず●ルールがのっています。たとえば、①安全についてのルール「石や木など、危ないから投げない」。 ②おやつは、休憩中に食べる。 ③励まし合って登る。あいさつをきちんとする…などですね。
これに当たるのが、Aさんと約束したルール「悪口、大声、授業のじゃま 注意しても聞けない場合は、教室の外へ出てクールダウン。授業中、他の教室に入りません。……」です。
これらは、しっかりと頭に入れて指導に当たる必要があります。そして、守らせる必要があります。

登山中の役割1「安全への配慮」

私「さて、実際に登山(学習)が始まりました。登山道では、ガケのある危険な所もあります。しおりで確認済みですが、実地でも当然声をかけたり、手を引いたりして注意を喚起し、危険を回避できるように促します。

また、石を投げるような危険行為をした場合、「下から登ってくる人に当たるとケガをします。危ないから止めなさい。」と注意しますね。それでも、言うことを聞かない場合、手をつかみ、石を取り上げるでしょう。つまり、言葉で注意しても聞けない場合は、身体的に止めさせることもするでしょう。
それと同じように、Aさんが友達に暴力を振るったりした場合、言葉で注意しても聞けない場合は、身体的に止めさせなければいけないのです。」

登山中の役割2「ルールを守らせる」

私「①安全についてのルール「石や木など、危ないから投げない」というルール以外にも、②おやつは、休憩中に食べる。 ③励まし合って登る。あいさつをきちんとするなどのルールがあります。

Aさんの場合、まだ食べてはいけない時間なのにおやつを食べたり、あいさつがきちんとできなかったり、遅れがちな友達にひどい言葉をかけたりする場合もあります。

その都度、「もうすぐ休憩できる場所だから、それまで待とうね。」と声をかけたり、あいさつする姿を見せて、お手本を示したりして、ルールを守るように促す役割があります。」

登山中の役割3「集中しやすい環境をつくる」

私「登山(学習)に集中しやすい環境を整えることも、大切な役割です。
登山の途中で、Aさんがクワガタムシを見つけたとします。そのクワガタムシと遊んだり、他にムシがいないかと探し回ったりしたとしたら、登山に集中できなくなりますね。そうすると、友達とどんどん離れていき、時間通りに山頂に行けなかったり、最悪リタイヤということになります。

そうして場合●ペース&リードが有効です。いきなり手を引っ張って登山に向かわせるのではなく、まずAさんのペースに合わせて一緒にクワガタと遊ぶのです。そして、Aさんがある程度満足したところで、「さあ、お昼までに山頂に着いて弁当を食べるんだったよね(行程の確認)。そろそろ行こうか。」と山頂へ向けてリードするといいのです。

場合によっては、もっと楽しいディズニーランドへの道に行ってしまう場合もあります。そうすると、登山より楽しいでしょうから、登山は放棄ということになってしまいます。
総合学習の時間、Aさんだけパソコンのゲームサイトに熱中していたことがありましたが、例えばそういう状態です。

そうならないように、あらかじめそちらへの道を見えないように閉ざしておく必要があります。もちろん、行きそうになったら、「ディズニーランドに行きたいよ(パソコンゲームがしたいよ)。」と言っても、止める必要があります。

登山中に、蚊がおそってくる場合もあります。これは危険というより、気になって集中できにくくなります。事前に虫除けスプレーをするとか、蚊を退治するとかの必要があります。
実際、授業中、トンボが入ってきただけで集中できなくなる場合があります。そうした場合、トンボを出す、そもそも入れないようにすることで、Aさんが集中しやすい環境をつくるわけです。

登山中の役割4「認め・励ます・共感する」

私「山登りですから、途中苦しくなってくる場合があります。「先生、疲れた。」とか「もう歩きたくない。」とか言う場合です。

そうした場合、

「疲れたね。今、三合目まで歩いたんだよ。もう少し行くと、ベンチがあるから、そこで一緒に休もうか。」「腰を下ろして、水を飲もうか。」と言ったり、

「水筒だけ、重そうだから持ってあげようか。」と言ったりします。

Aさんの場合、できるのに面倒だから人にさせる傾向が強いから、そう言うワガママを聞かないようにと言ってきましたが、本当に辛い場合は、「持ってあげる」こともありです。

「もう五合目まで来たよ。がんばったね。もう少しだよ。」
こう言って、認め・励ますことも、大切な仕事です。

 あと、見晴らしのよいところにきたら、あるいは山頂に着いたら、一緒になって
「先生、すごい、海が見える。」
「本当だ。海が見えるね。すごいね。」
共感することも、大切な仕事です。

登山中の役割5「現状をフィードバックする」

Aさん「先生、あと山頂までどのくらい(距離・時間)で着くの?
今、どこにいるの?何合目?
休憩(山頂)までどのくらい?
分かれ道があるけど、どっちに行けばいいの?
道に迷ったみたいだけど、どっちに行けばいいの?」

こんな質問(表情)が子どもからよく出ます。
つまり、自分の現状や先行き(見通し)について知りたいのです。正確な道筋について知りたいのです。そうでないと、不安なのです。

 そんなとき、「地図のこの辺りにいるよ。」「今8合目だよ。あと10分ぐらい歩けば、山頂だよ。」「あっちでは、山頂に行けないよ。こっちの道だよ。」…このように、子どもが置かれている現状についてフィードバックします。

 そうすることで、山頂に着けるようにサポートすることも、指導員の仕事です。

教師の仕事、指導員の仕事

  しおり(学習計画)をつくり、先頭に立って全体をリードするのは、教師の仕事です。

 そのしおりに沿って、ガイド&母親のように、子どもが無事・楽しく山頂まで行けるようにサポートすることが、指導員さんの仕事です。

 指導員さんの仕事は、ガイドの専門性母親のようなあたたかさ・強さが要求される専門職であり、大切な仕事です。

 教職経験の全くない(市の景気対策として、本来事務職としての採用された)Bさんに、指導員さんの仕事がイメージできるように、学習活動を登山になぞらえて説明しました。読者には、指導員さんはほとんどおられないと思いますが、参考までに記事としてアップしました。

・私の勤務する市では、指導員と呼び、妻の勤務する市では、介助員と呼んでいます。簡単に言えば、メインの教師の仕事をサポートする仕事です。これでは、余りにおおざっぱなので、今回の話をしたわけですね。

・指導員のBさんには、山や道、クワガタ、蚊、石、何合目かを示す標識、分かれ道…などのイラストを描きながら、約30分間、説明しました。Bさんは、うなずきながら話を聞いていました。翌日聞いたら、「わかりやすかった。」と言っていました。

追記(2019/08/24)

県外でこの指導員(支援員)さんをしているいとこ(母親でもある)が遊びに来た。同業なので夜遅くまで話した。

指導員さんのいとこは、

「支援員の仕事は、ヘルプではなくてサポートであるという根本がわからない支援員がいて困っている」と話していた。トイレや偏食、着替え…さまざまなの場面で「子どもが自分でやれるように指導するのが支援員の仕事なのに、支援員がやってあげてしまうので、いつまで経っても子どもができるようにならない。」というのだ。「わたしはその子ができるようになると信じて(賭けて)いるから、体操着袋から体操着を出してあげた後、できるでしょ、自分でやりなさい。」と言って待つ。その結果、時間はかかっても、できるようになる。ところが、もう一人の支援員は「時間がかかるから」とか言って支援員がやって(ヘルプ)しまう。こう言って、なげいていた。

 

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