2009年4月22日、右脳教育、幼児教育の権威であり、全国に約460教室を展開する七田チャイルドアカデミー校長である、七田眞氏が永眠した。その功績をたたえると同時に、早期教育の重要性や、七田眞氏のお薦め書を紹介する。
七田眞氏の死を悼み、功績をたたえる 2009.5.1 第583号
ー早期教育の重要性ー
友人から七田眞氏の死を知らされた。
翌25日(土)クニコが通っている七田チャイルドアカデミーから、同じ連絡を受けた。
「ああ、七田眞氏からはたくさんのことを学び、これからも多くを学んでいきたかったのに残念だ。」と思った。
「社葬は26日午後2時から島根県江津市江津町1110の17の市総合市民センターで。喪主は次男の同研究所社長厚さん。」とのことだったが、N県在住の私は、とても行けない。(知人の一人は、葬儀に出席した。花が400本余りも出ていたそうだ。)
それでも、感謝の気持ちを伝えたかったので、後継者の七田厚氏宛に手紙を書いて出した。
七田氏への感謝の手紙
平成21年4月30日
七田 厚 様
拝啓
初めて便りを差し上げます。私は、ブログ「あったかい家族日記」(注:この「家族の広場」の前身)を書いている、4□歳の小学校教員のFと申します。
今回の七田眞先生の訃報を聞き、驚き悲しむと同時に、七田眞先生への感謝の気持ちを伝えたくて筆を執りました。
七田眞先生にはたくさんのことを書籍やセミナーを通して本当にたくさんのことを学ばせていただきました。
船井オープンザワールド、船井ミーティング、山田先生とジョイントした『七田式右脳全開セミナー』など、実際に話を聞いたり、会話することもありました。セミナーでは質問したこともあったのですが、ていねいに答えてくださったことが印象に残っています。
書籍でも、右脳教育、幼児教育関連の本をはじめ、本当にたくさん学ばせて戴きました。
ありがとうございました。
そして、我が娘、クニコ(現在6歳)は、N県N市の七田チャイルドアカデミーに2歳から通っています。おかげで、 と、すばらしく賢い子に育ちました。ありがとうございました。
さらに、ブログ『あったかい家族日記』については、七田ウエブログ上において、次のような推薦文とともに、お勧めブログとしてご推薦くださるなど、本当に感謝しています。
この「あったかい家族」を読んでみると、日本を良くするには家族の再生が大切、という思いで書いておられ、とても共感でき、大変良い内容ですので、このブログ、前にも紹介しましたが、改めて再びご紹介する次第です。是非Fさんのブログを覗いてください。
Fさんのブログの内容は、ご自分の子育てを中心にした実践的内容なので、子育てをなさっているご両親には、きっと参考になると思います。(七田眞ウエブログ2006年05月01日号より)
また、私は200歳まで生きる会の会員でもあり、その機関誌「200歳万歳!」でも、学ぶところ大でした。これからも、もっともっとご活躍され、多くを学ばせていただけるものと思っていましたのに、誠に残念です。
一方、七田眞先生の成した業績は、幼児教育、右脳教育はじめ実に巨大です。
そのお人柄は、書籍ばかりでなく、セミナーや手紙での質問への誠実な答え方(私は手紙でも質問したのですが、誠実に答えてくださいました。)からも、深く感じていました。
七田小学生新聞も創刊号以来ずっと娘と読んでいたのですが、「将来、優れたリーダーになろう」シリーズは、長女アキコに読ませたいというよりは、私自身が大いに学べた内容でした。
今、これを書きながら思うに、この地球に生まれる前から計画していたことをほとんどすべてやり切って(たので)あの世へ行かれたのではないかと思います。
七田眞先生がいなくなっても、巨大な書籍群や薫陶を受けた人・組織は残ります。
七田眞先生のご冥福をお祈りするとともに、これからもますます七田式の教育が広まっていくことを願います。
そして、何よりも、これまでの七田眞先生に学ばせていただいたことに感謝して筆を置きます。ありがとうございました。
敬具
七田先生のファンで、ブログ『あったかい家族日記』のF
早期教育の重要性への着目
七田眞氏の大きな業績の一つは、胎児・乳幼児期の子どもの偉大な可能性に着目し、そのための教育理論を打ち立て、さらにそれを書籍や講演などを通して広めるとともに、そのための組織ーしちだ・教育研究所、七田チャイルドアカデミー、しちだ・ライフetc.ーまで創り上げたことである。
おかげで、こうしてクニコは七田チャイルドアカデミーに通い、賢い子に育つことができた。
さて、早期教育については、反対も少なくない。七田眞氏自身が、筋道立てて反論しているのだが、ごく一部だけ紹介する。
七田眞「…入学時に英才児であったものが、長ずるに及んで賢くなくなるという通念は、本当に正しいのでしょうか。 アメリカでは、この点に関しての研究が過去にいくつもあります。例えばホリングワースとカウニッツという学者は、1934年に116名の子どもをテストし、10年後に再テストをしました。その結果は、ほとんどが最初のテストと同じ結果を示しました。入学時の高知能児達が、三十数年後、社会の重要なポストに就いているという調査報告もあります。 1921~22年にカリフォルニア州でテストの結果、高知能児として判定された約千人の子ども達について、ターマンはずっと追跡調査をしました。10年後の検査は、最初の検査と同じく平均して普通時よりも2学年進んでいました。 次の調査は25年目に行われました。成人になった彼らは、引き続き平均よりすぐれた性格、知能、成績を保持していました。 次の調査は38年後に行われました。調査結果は引き続き好成績を示しました。彼らのうち47名が「全米科学者名簿1959年版」に載りました。40歳で出した本の数は67冊にのぼりました。論文数は1400、特許件数は150件だったと言います。 幼児期の頃に賢く育つと、大きくなって社会に適応しなくなるという考えは、全くの誤解です。…」
七田眞『「できる子」の親がしている70の習慣』(PHP文庫62~64ページより引用)
ある保育士さんと小学校教員の私と中学校特別支援学級介助員の妻との間で、子どもの発達の推移について話したことがある。具体例は差し控えるが、幼児期での発達の様子と小学校・中学校での子どもの発達の様子の関連は、とても高い。それほど幼児期は大切なのである。
七田眞「…4月に入学したばかりの子ども達が、ひと月で文字の読み書きを習い、次の月にはもう作文が上手に書けるようになるでしょうか。書けるはずがありません。書けるとしたら、幼稚園時代に、家庭と幼稚園できちんと習ったからです。 小学校入学後に勉強を始めた子ども達は、なかなか文字が覚えられません。大切な覚える時期が過ぎてしまっているからです。6歳の子どもより3歳の子どもの方がよっぽど楽に、文字を覚えてしまいます。…」
七田眞『「できる子」の親がしている70の習慣』(PHP文庫65ページより引用)
この点についても、既に15年以上前の段階で、ある教育雑誌で「入学前に文字を知らなくても大丈夫か」という特集がなされていた。その当時でも、8割以上の子がひらがなの文字の読み書きができる状態で入学してきており、幼稚園では自分の名前の読み書きができればよいというような話は、(後で子どもが遅れを取り戻す苦労を考えると、)誠に無責任だという主張があった。
早期教育については、この読み書き計算というような、いわゆる学力ばかりではない。躾や生活習慣についても、早期にきちんと躾ければ楽々身につくのに、タイミングが遅れると身につけるのに大変になるのである。(この点について書き出すと、これだけで5本分ぐらいの記事になるので、詳述はしない。)
子育てに関してお勧めの七田氏の本
とても七田眞氏の業績や示唆に富んだ考え方は、僅か1本の記事どころか10本でも簡単には紹介しきれない。七田氏自身の本を読むのが一番である。
子育てにしぼり、それも冊数をしぼって紹介する。
○ 『父親の7つの行動』…お父さんはもちろん、お母さんにもお勧めの本です。
- 作者: 七田 眞
- 出版社/メーカー: 海竜社
- 発売日: 2000/10
- メディア: 単行本
○ 『子どもの知力を伸ばす300の知恵』…タイトル通り、子どもの知力を伸ばす知恵が満載です。
- 作者: 七田眞
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2004/02/03
- メディア: 文庫
○ 『「できる子」の親がしている70の習慣』
- 作者: 七田 真
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2005/09
- メディア: 文庫
これらを読むと、七田眞氏の目指していた教育が、単に早期教育で英才教育をするなどというそこの浅いレベルでなく、躾や生活習慣、食育を大切にし、夢や志という心の教育こそ大切にした教育であることがわかる。