友達同士で、物を貸したり借りたりする場合があります。大人同士でもそうですが、きちんと借りた物は返さないと、相手の信頼を失いかねません。逆に、貸した物が返ってこない場合もあります。この場合は、きちんとアピールすることが大切ですね。これは自分の物を大切にすることでもあります。
アキコは、ソロバン仲間の4年生とアキコ(小3、9歳)の友達の3年生に、緑のボールを貸しました。ところが、戻ってきませんでした。私は、翌日の夕食時にその事実を知ったのですが、なくされたまま平気でいる子に育ってほしくなかったので、担任の先生に善処をお願いしました。その顛末記です。同様なケースでどう対応したらよいかのヒントになれば幸いです。
物を大切にする躾 2007.11.10 1645-419
ー貸したボールが戻ってこなかったらー
3日前の水曜日、久しぶりに大勢の(8名)アキコの友達が自宅に遊びに来た。
家の中で遊ぶのが飽きたアキコと何名かの友達は、途中で道路を隔てた向かいの小学校のグラウンドへ緑のボールを持って遊びに行った。
途中からソロバン仲間の4年生も入ってきたそうだ。
しばらく一緒にボールで遊んだ後、アキコはボールを貸したまま、しばし自宅に戻った。グラウンドに戻ってみると、ボールも4年生の姿もなくなっていた。
翌日の木曜日、アキコは、学校でもう一度友達に聞いて回った。どうやら木にひっかかっているということがわかったので、それを見に行ったのだが、木の上にはなかったという。
こうした情報を聞いたのが、木曜日夜の夕食の団らん時だった。
私「それは問題だな! 人の物を借りて、それでさんざん遊んでおきながら、きちっと返さないなんて。」
「帰宅後のことだから、学校管理下ではないけれど、グラウンドでのことだし、4年生もかかわっているから、担任のT先生に指導してもらう必要があるね。」
妻(黙ってうなずく)
アキコ(お父さんとお母さんのやり取りをじっと聞いている。)
私「タカちゃん、連絡帳にこのことを書いて(担任に知らせて)おいてね。」
妻「うん。」
子どもが寝た後、書斎で仕事をしていると、妻がドアを開けて、
担任先生に善処をお願いする
妻「ねえ、何て書けばいいの。(説明する。)あなた書いてくれない。」
私「わかった。ボクが書くよ。」
こう言って、担任のT先生宛に、さらさらと次の文章を書いた。(原文のまま)
水曜日の日、帰宅後、A小学校のグラウンドで、我が家の緑のボールで遊びました。3年生のお友達の他に4年生もそのボールを使ったそうです。その後、どこかになくなったそうなので、今日、アキコに探してくるように話しました。でも、見つからなかったようです。人のボールを借りて、きちっと返さないこと自体問題だと考えますし、アキコにも物を大切にすることを教えたいところです。4年生もかかわっているとすれば、アキコ一人では手に負えない面もでてきます。申し訳ありませんが、先生の方で事情を調べていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
担任の先生の対応
その日、T先生は、きちっと対応され、緑のボールも見つかり、連絡帳に次のように書いてくださった。
11/9 おたよりありがとうございました。昨日、木にひっかかっているとのことで見に行ってくれたのですが、なかったとのことで私がその後、見に行ってあげるのをうっかりしていたのです。すみません。私も悪かったです。
今日、連絡帳を見せる前に話をしてくれたので、3の2の子どもにも話を聞き、4年生もいっしょに見に行きました。木の下に落ちていましたので、拾って、アキコさんに持たせました。
子どもたちには、かりたものは、最後まで責任をもって返しに行くことや、今回のような時(※ボールが木の上にひっかかってしまい、返せなくなったという意味=ファーザー)は、おうちの方の所へ行くなりするように伝えました。4年生の先生にも、お話ししておきました。大切なことなので、3年生全体にも、たとえばということでお話ししました。ありがとうございました。(4年生には、アキコさんにあやまってもらいましたが、今後、こうした時にどうするかもお話しました。)T……(原文のまま)
連絡帳の記入と合わせて、自宅に電話も来た。妻が対応したそうだが、連絡帳のような内容であった。
妻は、「帰宅後のことで、学校管理下外なのに、ありがとうございます。」と受けていたそうだ。私も学校管理下外にもかかわらず、適切な対応をしてくださったT先生に感謝している。
担任のT先生の対応は、ベストである。素早い対応、ボールを見つけたこと、3年生や4年生への指導、家庭への連絡帳や電話での対応……。私もおそらくはこのように対応したであろう。担任のT先生は信頼しているが、今回の件でまた一層その信頼が増した。
借りた物・貸した物を大切にする躾け
T先生が連絡帳に「ありがとうございました。」と書かれているのは、私が事実を知らせたおかげで、子供たちへの良い指導の機会になったことに対して書かれているのである。
実は、私も、親として同業者としてしっかりと子供たちを指導する必要を感じて、連絡帳で知らせたのである。
物を大切にする躾(習慣)は大切だ。大切に丁寧に使うことと合わせて、今回のように、なくした場合きちんと探すことや、自分の物をなくされた場合は相手の責任を追及することも含まれる。
そして一方、借りた物、友達の物、公共の物も大切にすることも当然含まれる。
今回、私としては、ボールがなくなったことよりも、借りた物をなくして(木の上にひっかかってしまった)そのままでいる子の指導が必要だと考えたし、なくされたまま平気でいる子に育ってほしくなかったので、あえて連絡帳に事の次第を書いて担任の先生に知らせた。
幸い担任の先生の適切な指導で、ボールが戻っただけでなく、3年生全体や4年生にとっても、よい学びの機会になったようだ。
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追記
・最近、今回の件と対照的なことを知った。妻が先日の文化祭の折、ある保護者から知らされたのだが、そこの子が我が家に遊びに来た際にDS(?)のソフト(とても小さいらしい。我が家にはDSの類はないのでよくわからない)をなくしたのだそうだ。それも半年前に遊びに来た際に。
「妻は調べてみます。」と答えたそうだが、それを聞いた私は、「1週間後でも遅いのに、半年前!」と思わず言った。「ふざけるな!」と言いたい。こうした対応が、ものを大切にしない子を育てるのだ。
最近に始まったことではないが、学校の落とし物には持ち主が見つからないケースがとても多いのだ。マスク、ハンカチ、服、グッズ……。展示したり、回覧したりするのだが、記名はなく持ち主は見つからない。親自身が見あたらなくとも、なくなっても、なあなあで済ましているのだろう。まあ、また新しい物を買い与えればいいと。
物を大切にしないのは、ある意味、親の姿勢の反映である。
学校には同じ物を使っている子どもがいるケースもたくさんある。そうして意味でも、少なくとも、わが子の持ち物には記名しておきたい。
緑のボールにも記名していたので、おそらくいずれアキコの元に戻っていたであろう。
・1年以上も前に、わが家で同じくソフトをなくしたと言った子がいた。アキコの近所の友達だった。その子は、なくしたその日だったか、翌日に知らせてきた。
家族みんなで探してもなかったので、私が「こういうケースでは、本人が持っているケースがあるね。」と言った。その子の家にその日のうちに電話をかけたら、母親はなくしたこともまだ知らなかったが、本人が出て「ポケットの中にありました。すみませんでした。」と言っていた。落とし物には、即対応である。
追記Ⅱ
私個人としては、少々高価でも良いものを買って大事に長く使うのが好きです。「安物買いの銭失い」という格言があるように、その方がトータルで割安になると思いますし、良いものに囲まれて生活した方が潤いがあるのではないかと考えているのです。良いものだと、大事にしますし、長く使うと愛着がわきます。
もっとも、私が今使っている筆入れは500円ぐらいだったと思いますが、20年以上経っているのに、未だに現役ですが……。
そうそうオーストラリアだったでしょうか、長く使っているのことを誇りに思う文化があるそうです。このなべは、曾祖父の代から使っているなべだというように、長く使っていることを誇りに思う文化です。
愛着などを考えても、新しいものがいつも良いわけではないともいえます。