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聞くことで子どもの不満は和らぐ

楽しみにしていた魚釣りが雨でできなくなった。
海水浴を楽しみにしていたのに、悪天候で泳げない。
天候など、どうしようもない理由で、楽しみにしていたイベントが中止または延期になる場合はある。

大きくなれば、ある程度はやむを得ないことと受け入れ、切り替えられるようになってくるが、子どもそれも小学生ぐらいまでは、なかなか受け入れられない。不満がうずまき、身動きが取れなくなってしまうのだ。
そんなときに、「どうしょうもないでしょ!」と説教しがちだが、楽しみにしていたのにできなくて悲しい気持ちを聞いてあげることで、ずいぶんその不満は和らぐ。その結果、冷静な判断もでき、親への信頼度も上がる。聞く力は、やっぱり親は身につけた方がいい。

今回紹介するケースは、楽しみにしていた家族イベントが風邪で延期になるというケースだが、その聞く力が大いに発揮された。

泣いている子どもの思いを受け止める 2005.11.19 第119号

今日は、本当は親戚のようにつき合っている友人の一家が遊びに来て、お泊まりしていく日だった。
ところが、昨日電話があり、長男Bくん(年少)が風邪をひいていてずっと治らず、行けそうにないと連絡があった。

帰宅後、すぐにこのことで妻から報告があり、どうしたものか相談を受けた。相手の長女A子ちゃんはとても楽しみにしており、A子(小1)ちゃんとお父さんだけ来る方法もあるし、アキコ(小1,7歳)もとても楽しみにしていたし……ということである。

私「う~ん、風邪ならしょうがないだろう。Bくんもお母さんも来た方がいいだろうし、2週間後に延期したら……。」(1週間後は、相手の都合でダメ。)
妻「やっぱりそれがいいかしらね。」

この日をずっと楽しみに待っていたアキコは、風邪で来れそうにないことを知って泣き出し、そしてふくれたのであった。

友人宅も事情は同じ。長女A子ちゃんは(アキコと同い年)、とても楽しみに待っていたとかで、お父さんと二人でも行きたいらしい。

予定変更でふてくされているアキコへの対応は?

さて、泣き出し、ふくれているアキコにどう対応したものか

ちょっと先を読む前に、自分ならどうするか、その対応法を考えてみませんか?

考えましたか? では、先へ。

実母「風邪なんだから、どうしようもないでしょう。世の中こんな時もあるの。(こんな時、がまんできるようでないとだめだよ。)」=説教

妻「風邪治るかと思っていたんだけど、どうしても治らないんだって。A子ちゃんだって来たいんだよ。」=講義

アキコは、二人にこう言われたが、ふくれっ面は治らない

私も「風邪なんだからしょうがないだろ。ずっと会えないわけじゃないんだよ。日をずらして会えばいいじゃないか。」=提案

アキコのふくれっ面は治らない

私は、ふと「この対応ではまずいな。」と思った。そして、「こんなとき(子どもが問題をもってイライラしているとき)は、トマス・ゴードンの勧める「アクティブリスニング(積極的傾聴、親業では<能動的に聞く>と言う)」をしようと思った。

「ずっと楽しみにしていたのに、突然A子ちゃんがこれなくなって、とっても悲しいんだね。」積極的傾聴 と言った。親の考えや気持ちを言うのではなく、「あなたの気持ちをこう受け止めたよ。」と受け止めを返す

そしたら、アキコは、私に近寄ってきて、私の足を背もたれにし、床をいすにしてすわった。少し落ち着いた。

しばらく黙ってそうしていた。そして、いっしょにお風呂にはいった。

その後もう一度聞いた。

私「2週間後に相手に4人全員で遊びに来て欲しいか。それとも、A子ちゃんとお父さん2人だけでもいいからいっしょに来て欲しいか。どっちがいいの。」

アキコ「2週間後に全員が来てくれる方。」

アキコは、私が積極的傾聴をして、気持ちをわかってもらえたので、ようやく落ち着いて冷静に自分で判断することができたのだと思う。

この後、相手のお家に電話を入れ、結局2週間後に延期となった。

トマス・ゴードンによるお決まりの反応12の型

親業訓練プログラムを作ったトマス・ゴードン氏は、子どもがイライラしたり困惑したりしているときー親業では子どもが問題を持っているときと表現しているー、多くの親たちがするお決まりの反応として次の12の型をあげている。
※ ( )内は、私がこの場合に即して表現したもの。

1 命令(しょうがないことなんだから、あきらめなさい。)

2 脅迫(ずっと泣いていると、おやつぬきにするよ!)

3 説教(実母) 4 提案(私) 5講義(妻)

6 非難(どうしょうのないことをいつまでもいっているようじゃ、大人になれないぞ!)

7 同意  8侮辱(どうしょうもないことをいつまでも泣いているなんて、赤ちゃんだな!)

9 解釈(頭をすぐに切り換えて、じゃあどうしようと考える力がないから、いつまでもこだわることになるんじゃないか。)

10 同情(楽しみにしていたのにな。でも、またすぐにあえるよ。)

11 尋問(どうして泣いているの。どうしようと思ってるの。)

12 ごまかす(しょうがないさ。急にかぜが治るとかなんとかなるよ。 今日どうしようか。)

大方の親というが90~95%は、これらのどれかの反応をするという。

しかし、ゴードン氏によれば、通常の場合なら適切なコミュニケーションとなりうる(例えば提案)ものも、子どもが問題をもっているときには、不適切なコミュニケーションとなる。つまり、子どもが「わかってもらっていない」と口をつぐんでしまったり、反抗したりし、新たな問題を生んだりして、親と子の心のかけ橋を徐々に壊していくものとなるという。

先の12の対応法、多くは親の何とかしてあげたいという意図からきている。しかし、実際は意図に反して親と子のコミュニケーションの間に障害をつくりだし、問題を生むという。

積極的な傾聴で子どもは満足する

ふくれっ面をしていたアキコに、説教や講義、提案をしても、そのふくれっ面はかわらなかった。

しかし、「ずっと楽しみにしていたのに、突然A子ちゃんがこれなくなって、とっても悲しいんだね。」(積極的傾聴)と、アキコの気持ちを受け止めて返したら、アキコは落ち着き、ふくれっ面は直った。そして、アキコは<2週間後に全員がきてくれる方を選ぶ>という冷静な判断ができた。

やはり子どもが不満をもっているなどのときは、積極的な傾聴で、子どもの気持ちを受け止めてあげることが大切だと痛感した。気持ちを受け止めてもらえれば、子どもは落ち着いてきて、冷静な判断ができるのだ。

追記

子どもの気持ちを聞くということは、簡単ではない。私は、学校心理士の資格を取得するのに、大学院で2年間の学習を必要としたし、その後、NLPマスタープラクティショナーの資格を取るのに、4年間毎月東京に通った。

書籍で学ぶことは容易ではないが、トマス・ゴードン著/近藤千恵訳「親業」(大和書房)は、良書である。一読を勧める。

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