アキコが中学校を卒業する。<2014年3月7日卒業式に渡す「保護者からわが子に向けたメッセージ」を書いておいてほしい。>というお願い文書が学校から来た。両親のどちらが書いても、両方が書いてもいいという。わが子にどんなメッセージを書くべきか。第1003号
★夫婦で書いた、わが子への卒業メッセージ
ー中学生のわが子からの返信ありー
◆1 忙しい中での原稿依頼
今年も卒業担任でもある私は、卒業を控えて特に忙しい。
何より職場の人間関係が最悪でストレスいっぱい。
それでも負けない、逃げない、投げ出さないで最後までやり抜こうと決心していた私であったが、帰宅すると心も体もへとへとである。
そこへ、
妻「お父さん、学校から原稿依頼が来ているわよ。アキコへの卒業メッセージを書いてほしいって。」
私「どれどれ。(結構な量だな。)困ったな、この忙しいのに。」
いつもは原稿というと私が書くことになるのだが、職場の事情を知っている妻は、今回ばかりは「お父さん、お願い。」とは言わなかった。
さて、どうしよう。「やっぱり自分も書かなきゃダメだな。」と決断し、半分ずつ書くことにした。
私「うーん、忙しいけど半分ずつ書くか。」
こう返事をしておいたのが、2月の半ば頃。
あっという間に10日ほどたち、気がつくと土・日開けが原稿締め切りとなっていた。正確には、妻に言われて気がついた。
◆2 わが子に向けた卒業メッセージ
パソコンで原稿を下書きし、推敲しながら清書した。正味30分の仕事であった。
母親である妻も、それを読んだ上で、後半の半分を書いた。
■私が書いた卒業メッセージ
アキコへ 卒業おめでとう!アキコは、私たち夫婦にとって宝物だ。これまで精一杯の愛情をかけて育ててきた。絵本の読み聞かせ、父と子塾、ひな祭り会や誕生日会、クリスマス会、夏の家族旅行などの家族イベント。運動会、マラソン大会、少林寺拳法や野球部の試合等々の応援。たくさんのなつかしい思い出がある。アキコと歩んだこの十五年は、親として本当に幸せだった。もうじき高校生だね。これからも父親として精一杯支えていくよ。
■妻が書いた卒業メッセージ
なんといっても、中学生活は、「野球」の一言につきます。まさかの野球部!!でも、アキコにとって、親にとって、とっても貴重な時間を過ごさせてもらいました。感謝です。だれよりも努力を惜しまず、一生懸命なアキコ。時に辛いこともこれからもたくさんあると思うけれど、回り道も良し、立ち止まっても良し、自分を信じて歩んでいってください。 父、母より
私「うわー、タカちゃんの原稿、心がこもってるな。さすがわが子に向けたメッセージだ。この間、学校の子に書いた原稿とはえらい違うな。」(妻は小学校の特別支援学級の介助員)
妻(苦笑する)
◆3 わが子からの返信
お返しにアキコから手紙が来た。
次の内容である。
■アキコからの返信
拝啓 お父さん、お母さんへ
いよいよアキコも中学校を卒業する時期が来ました。お父さん、アキコが幼い時から父と子塾や、色んな事を教えてくれてありがとう。教わったことは、とても役に立ちました。また、いつもアキコのために、つらい仕事でも頑張ってくれてありがとう。お母さん、いつもアキコの気持ちを考えてくれてありがとう。お母さんは見事にアキコの事を感じとってくれて、「さすがお母さん!」と思います。アキコもお母さんみたいに周りの人の気持ちを考えられる人になりたいです。
二人とも、今までアキコを育ててくれて本当にありがとう。これから一生懸命勉強して、そして就職して、お父さんには北半球・南半球の違いを、お母さんにはオーロラを見せられるようにお金をかせぎたいと思います。これからも私を見ててください。よろしくお願いします。
敬具
平成二十六年 三月七日
アキコより
◆4 節目節目で伝え合う
卒業式という節目で、普段話すことのあまりない思いを伝え合うということ。このことは、とっても価値があるのではないかと思う。
第一に、メッセージを読めば、自分が両親にとって宝物のように大事な存在だとわかり、自尊心が高まる。
第二に、メッセージを読めば、これまで両親に支えてもらってきたし、これからも支えてもらえるという安心感がもてる。
そして何よりメッセージをもらうということ自体、うれしいものであろう。忙しい中で自分のために時間を割いてくれたということであればなおさらに。
わが子からメッセージをもらうということも、ありがたくうれしいことだ。
アキコ「色んな事を教えてくれてありがとう。つらい仕事を頑張ってくれてありがとう」
アキコ「いつもアキコの気持ちを考えてくれてありがとう」
ここまで親に感謝できるまでに成長したアキコを本当にうれしく思う。
アキコが「お父さんには北半球、南半球の違いを」と書いているのは、私が「いつかオーストラリアへ行って、本当に北半球が夏の時に南半球は冬なのかこの目で確かめてみたい。」と何度も言ったことがあるからである。
「お母さんにはオーロラを見せられるように」と書いているのは、妻が「オーロラを見てみたい。」と何度も言ったことがあるからである。
アキコからのこの手紙を読んだ後、妻とこう話した。
私「よし、本当にアキコに連れて行ってもらおう。楽しみだな!」
妻「そうね!」
このことがきっと実現することを願っている。