◆リード:わが子がなんとなくいつもと違って荒れた感じがする。落ち着きがない。あるいは、沈んだ感じがする……。そんなことってありませんか? それは、ケアを必要としている、一つのサインです。
小学校に入学したばかりの長女も、帰宅後、荒れている様子が見て取れました。あまりに荒れているので、注意しようと思ったぐらいです。実は、それは「学校で友達に嫌いだと言われて傷ついた」からでした。
それなのに、そのことに気づかず、放っておかれる。それどころか、逆に叱られたとしたら…。
こんなケースの対応法を紹介します。
<対象>幼・小・中・すべて
娘が学校で「嫌い」と言われた日
― グッド&ニューが救った心の傷 ―
長女アキコ(小1)、次女クニコ(3歳)、母、父(私)、祖母(70歳)
食卓の会話「グッド&ニュー」から見えてきた心の痛み
午後7時過ぎ、いつものようにテレビを消し、親子4人で夕食を始めた。
鯖のみそ焼きなどを少し食べたあと、この春、小学校に入学したばかりの長女アキコに、
「何かグッドあった?」
と聞いてみた。
家族の習慣である「グッド&ニュー」の時間だ。
するとアキコが、ぽつりぽつりと話し始めた。
「○ちゃんやだ。アキコの悪口を言うんだもん。」
「アキコのこと嫌いだって。」
「給食の時、こそこそ話をしてるんだよ。蹴ってきたりしてやだ。アキコのこと嫌いだって聞こえたんだよ。」
話を聞くうちに、「○ちゃん」というのは以前アキコが「○ちゃんて、よくチンチンって言うんだよ。変なんだよ」と言っていた子だとわかった。
母である妻は、
「嫌いだなんていわれて、嫌だったのね。その子は、もう少しすると別の子を嫌いだと言い始めるわよ。」
と声をかけ、私はこう言った。
「嫌いだなんていわれて、嫌だったろうね。でも、お父さんもお母さんも、アキコのこと大好きだよ。」
表現できることの大切さ
ふり返ってみれば、私が7時に帰宅した時、アキコの様子はどこかおかしかった。
いつもより乱暴に膝の上に乗ってきたり、妹のクニコへの言葉遣いが少し荒かった。
○ちゃんの話を聞いて以後もその様子は続いていたので、思わず少し注意してしまったくらいだった。
でも、原因がわかっていたからこそ、気持ちをしっかり受け止め、「お父さんもお母さんもアキコのこと大好き」と伝えることで、徐々に落ち着いてきた。
そしてそのあとは、いつものように室内野球で一緒に遊んだり、絵本を読んだりして収まった。
家族の対話が心をほどいていく
家族で一緒にお風呂に入った後、妻が言った。
「口に出して表に出てくるだけいいわね。(嫌なことを言えないで)こもるタイプだから。」
私はうなずきながら、
「確かに少しアキコの様子はおかしかった。注意するより、まず聞いてあげないとね。」
と返した。
そのやり取りを聞いていたアキコが、
「アキコ変な子なの?」
と聞いてきたので、
「違うよ。いい子だよ。」
「いやだったこと言ってくれて嬉しかったよ。」
と伝えると、アキコがこう言った。
「今度、気持ちのグッド&ニューをやってもいい?いやだったこと、うれしかったことなど言うの。」
思わず妻と顔を見合わせて、「いいよ」と答えた。
グッド&ニューがもたらす癒し
グッド&ニューをやっていて、本当によかった。
もしこれが、ニュースを見ながらただ一緒に夕食をとるだけだったら、アキコは気持ちを吐き出せず、荒れたまま何度か叱られて、もやもやした気持ちで眠りについたかもしれない。
癒され、励まされることと、そうでないこと。その違いは、まさに天地の差だ。
今、振り返ってみて
わが家では、夕食時にはテレビを消していました。
そして、1日のよかったこと(グッド)、ニュースとなるような変わったこと(ニュー)などを、「グッド&ニュー」という形で紹介し合うシステムを取っていました。
つまり、家族団らん・会話の“仕組み”があったのです。
これを機に、「グッド&ニュー」の中に、よかったことだけでなく、嫌だったことも言い合うように工夫を加えました。
家庭で子どもが荒れるのには、必ず何かしらの原因があります。
その一つが、学校でのトラブルです。
親は、耳を澄まして、目を凝らして、子どもの様子を見る必要があります。
今回のように、荒れた原因がわかれば、それをケアし、支えることができるのです。
*2025年3月末、So-netブログ閉鎖に伴い、そこで14年間、1200号超にわたって書いてきたブログ「あったかい家族日記」(450万超アクセス、幼児教育の権威七田眞氏から、子育てに役立つブログとして推薦されました)を、このブログに復刻することにします。ただ、復刻するばかりでなく、文末に「今、振り返ってみて」を追加しました。
*2005年5月24日(火)/「あったかい家族日記」復刻第1号