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好きな物だけ食べさせるで大丈夫なの?!

NHKスペシャル「好きなものだけ食べたい」に見る現代の食卓とその影響 2006.6.24  1250-217

2週間ほど前に放映されたNHKスペシャル「好きなものだけ食べたい~小さな食卓の大きな変化~」(50分)を、家族4人で見た。

県の食育のモデル校として食育の実践を積み上げたきた千葉銚子市立本城小学校では、家庭の食事について大規模な実態調査を行った。
何と、全校児童の食事を朝昼晩1週間にわたって、写真に撮ってもらったのである。その数3,500枚。

このありのままの食卓を写真で記録したデータから、子供達の食事が驚くべき変容を遂げているのが明らかとなった。

家庭の食卓三つの型

まず NHKスペシャル「好きなものだけ食べたい」の導入部分で、家庭の食卓の3つの型(写真入り)が紹介されていた。

切り札型

「うどんと野菜ジュース」「ラーメンと納豆」など、健康によいと思われる食品が、切り札として1品添えてあるのが特徴だという。サプリメントを添えてあったケースもあった。
「こうした食事は、料理に手をかけたくない親が、栄養を補う気休めにしているためと分析されている」という。

バラバラ食型

家族がいっしょに食卓を囲んでいても、それぞれが好きなものを食べている食事である。
ある家庭の夕食として、「父親のおかずは煮物ですが、母親はサラダとワカメスープ、そして子どもは大好きなサクランボとトウモロコシだけです。」と紹介されていた。

好きなものだけ型

タイトルの通り、子どもの好きなものだけ食べさせる食事である。
ある子どもの朝食例として、「大好きなプチケーキとみかん」「冷凍食品のたこ焼きだけ」「煎餅とチョコパイといった大好物のお菓子」……が紹介されていた。

増えている好きなものだけ型

この好きなものだけ型が年々増えているという。

ナレーション「バランスのとれた食事でなく、好きなものだけでもいいから、何とか子どもに食べてもらう。そんな親の姿が写真から浮かび上がってきます。」

父と子塾として家族4人で見たのであるが、実際の写真をふんだんに使ったこの導入段階で、一気に引きつけられてしまった。

アキコ「えー、あんなメニューじゃ~アキコ、がまんできない。」
妻「これはすごいわね。」
私「う~ん、そうだなあ。」

調査を行ったアサツーデイ・ケイのIさんは、次のように親の気持ちを話していた。

「子どもさんと食卓で嫌いなものを食べさせるために、いろいろやりとりをするのは大変ストレスになる。そんなことをさせて、泣かれてまで~というよりは、好きなものを与えてしまおう。そこでけんかになるよりも、好きなものにしてしまおう。」

この結果どうなっているか。

好きなものだけ型の食事で悲鳴をあげる子どもの体

こんな好きなものだけという食事に、子供たちの体の方は悲鳴をあげているという。(当然だ!)

この後、様々な体の悲鳴の具体的な例が紹介されていた。

それは生活習慣病をはじめ様々なマイナスの影響である。紹介されていた事例を要点だけ挙げてみると……。

①糖尿病……この20年で2.7倍(子ども)。甘いもの、脂肪の取りすぎが原因の一つという。

②脳梗塞や心筋梗塞につながる「高脂血症」……100人中10人の子どもにその傾向が見られるという。

③骨粗鬆症……骨を成長させるべき時にきちんと栄養をとらないと、将来がこの可能性が高くなるという。

④肥満とやせの増加……朝食をきちんととらないと、代謝が低下し、栄養があまって脂肪として蓄積され、肥満になるという。
ある学者は、実験データを示して「若いうちから老化が進んでしまう。」と危険性を指摘していた。

⑤便秘……ある自治体の調査では、50%を超える子どもが毎日は排便がないという。

⑥体力の低下……50メートル走、ソフトボール投げなど記録が低下している。

⑦授業中の集中力の低下……本城小の校長が力説していたが、これは、私も容易に予想が付く。まともな朝食を食べていない子どもは、そうでない子どもに比べて大変なハンデの中で学習することのなるのである。

好きなものだけ食べさせている親の考えは……?

さて、好きなものだけ食べさせている親は、そのあたりをどう考えているのだろうか。

NHKでは、実際にいくつかの自宅を訪問していた。

例えば、バスケットボールをしている5年生男子の自宅である。
冷蔵庫は、冷凍食品でいっぱい。それに大好きなインスタントラーメン、そして缶ジュースがいっぱい保管してあった。缶ジュースなども特にルールはなく、好きなとき食べたり飲んだりできるという。

その日は、その子は冷凍食品の豚丼だったのだが、何とその子は食べる前にタマネギを全部取り去り、肉だけにしてから食べたのだった。

その母親は、「自然に好き嫌いがなくなるまで、時間をかけて見守ろうと考えています」という。

母親「今の時点では、スポーツを結構やったりとか、体を使うことが多いから、肉類が好きなのじゃないかなあと思うんですよ。また、これが成長した中で食べるようになるんじゃないかなーと思っているので、そんなに神経質になって子どもに……」(インタビューがとぎれる。)

今、子どもの体が悲鳴を上げている。その主な原因は、間違いなくこのような親の姿勢である。

親はどうあるべきか?!

まず第一に、親は強くなければならない。子どもに泣かれたり、けんかになったりするのはできるだけさけたいという気持ちは、同じ親として理解できる。
しかし、生活習慣病を予防し子どもの健康な体をつくるということ。そのために、よき食習慣をつくるという責任は、「ストレスになるから」というようなある意味甘い感情のはるか上に位置しているはずだ。

その上で、ブログ「野菜嫌いをなおす」や「すさまじい偏食を治す」「すさまじい偏食を治すパート2」に書いたように、親が決意をもって粘り強く指導していかなければならない。
自然に治るなどという甘いものではなく、ねばり強くねばり強く指導して初めて治っていくものだ。

第二に、親は、かしこくなければならないバランスの取れた食事をとることの重要性「好きなものだけ食」の危険性を深く理解していなければならない。その認識があって、はじめて「治さなければ、何とかしなければ……」という強さが生まれる。

例えば、我が家ではーマーガリン好きな実母(何とかしたいと思っている)を除いてー、マーガリンではなくバターにしている。5年以上前からである。

理由を説明すると長くなるので、最近出た山田豊文著『細胞から元気になる食事』(新潮社1,300円)を読んで欲しい。その76ページから80ページまでの「とにかくマーガリンをやめよう」に詳しく書いてある。

食育を考える場合、この本はオススメの一冊である。ちなみに、この山田氏の食事のアドバイスで復活したプロ野球選手などたくさんいる。

先の親にしても、専門の分析機関が自分の家庭の食事の栄養バランスなどを分析した結果(学校を通して個々の家庭に配られた)を見て、これではまずいと思い、子どもと一緒にタマネギ入りのコロッケをつくり、食べさせるのに成功していた。つまり、この辺りの認識が変われば、親は変わるのである。

このNHKスペシャルの終末には、高知県南国市の後免野田小学校自分たちで米や野菜(26種類)を育てて、それらを給食の食材に使うことで、野菜をほとんど残さず食べている子供たちが紹介されていた。

一つの有効な方法ではある。

私も学級園で枝豆、トマト、なす、ピーマン、スイカ、トウモロコシ、ニンジン、サツマイモを現在育てている。2年目である。しかし、私の経験からすると、野菜嫌いに既に育っている子どもには、あまり効果は望めないと思う。
26種類もの野菜を、全校をあげて栽培しているという学校は多くないはずだ。
それよりも、今の状態でも、きちんとやっている家庭はきちんとしているのである。 

食育モデル校として食育を推進してきた本城小学校が、学校だけの努力だけでは限界があるとして、実施したこの実態調査。
学校ももちろん努力すべきだが、基本は家庭であって家庭こそ努力すべきである。

本城小学校のデータによれば、朝食は、主食・飲み物・デザート(1年男子ロールケーキと牛乳、2年男子コンビニの肉まん一つ、3年男子チョコバナナ、6年男子ヨーグルトだけ……)だけが何と30%もあったという。教師達の予想を超えたものだった。
恐ろしい数字である。食育モデル校ですらこうである。通常の学校は、さらに高いのではないか。

栄養バランスの劣った食事を食べ、落ち着きのない集中力を欠いたたくさんの子供たちを相手に、教師たちはまず席に着かせ、様々な工夫をして興味を喚起し、集中力の必要な学習を促すのである。

教師受難の時代と言われる。

大変な子ども受難の時代

だが、私に言わせれば、大変な子ども受難の時代である!

「好きなものだけ与えておけば、トラブルなく満足するだろう」と、栄養のバランスを欠いた好きなものだけ与えられーこれでは子どもは不満を訴えたくとも出来ないー、結果として生活習慣病をはじめ肥満あるいはやせ、便秘、老化現象、体力の低下、イライラし集中できない……様々な苦痛を味わっている。将来、様々な病気で死ぬリスクをも高められている。これが子どもの受難の時代でなくて何だろう。

親だってこのストレス社会、格差社会の中で、仕事が忙しく時間的なゆとりもお金もない家庭が多くなっているのかもしれない。(本記事のメインのテーマでないので省く。)

しかし、親がしっかりすることが、肝心要の柱となる解決策である。

家庭こそが食生活の中心であり、家庭で親が作った(用意した)食事を、子どもは食べているのだから。

いみじくも、偏食をなくすために1週間の入院プログラムを受けた男の子が言っていた。

「今度からちょっとでも野菜を食べるようにしようと思う。お母さんが作ってくれれば。」と。

追記

では、いったいどうしたらいいのか!? 

拙著『うちの子、どうして言うこと聞かないの!と、思ったら読む本』の、「お米も野菜も食べられないすさまじい偏食をなおすには?」(149−164pp)には、具体的な実践例が載っています。

また、コラム4「親子ともに食の具体的な基準をもちましょう」(165−170pp.)では、「できるだけ避けた方がよい食べ物」と「できるだけ食べるとよい食べ物」が、具体的なに紹介されています。あわせて、参照されるとよいでしょう。

なお、味覚は小さいうちに固まるので、野菜嫌いは、シングルエイジのうちに親が真剣に取り組み、解決するのが基本です。(2019/09/18)

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