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★わが子が部活動で学んだこと

 郡市大会で優勝し、地区大会に駒を進めたアキコ達の野球部。地区大会ではシード権を得ており、2回勝てば優勝で県大会に出場できる。
今日は、地区大会。アキコ達のチームは惜敗し、アキコ(中3、14歳)はようやく野球部引退となった。
わが子(そして親)は、野球部の活動をとおして何を得たのだろうか。

野球部でよかった! 部活動引退! (2013.7.4) 第974号

ー野球部地区大会敗退ー

今日は、野球部の地区大会であった。平日なので応援観戦もできず、帰宅途中に電話を妻に入れ、結果を聞いた。

いい当たりをするのだがどれも守備の正面ということで、点を入れることができずに、2対0で惜敗したという。

◆1 アキコからのメッセージ

夜7時半過ぎ、帰宅したらドアの所にメッセージがはってあった。

お父さんへ
お仕事、お疲れ様でした。
今日、□中はざんねんながら負けてしましました。
ということで、アキコ達は引退です。
今まで、応援してくれてありがとう!
おかげで、ここまでやってこれました!
これからは受験に向けて頑張ります!!
アキコより

私「タカちゃん(妻)、こんなメッセージがはってあったよ。アキコは思いやりのある子に育ってうれしいよ!」

妻「私には手紙はなかったけど、『3年間ありがとうございました!』と言ってくれたわよ。送り迎えをしたからだわ、きっと。」

◆2 野球部でよかった!?

紅一点、男子に混じってのまさかの野球部(アキコは、小学校時代に野球の経験はない)。
土・日を練習試合にとられ、思うように家族イベントができなくなった。
そうした点については、途中であきらめたものの、正直閉口した。

私「野球部でよかったかな。」

妻「野球部だから、ここまで親が応援したり、送り迎えしたりできたのよ。バレー部や卓球部では、そもそも練習試合がそんなにないから送り迎えの必要なんかないのよ。それに、バレー部や卓球部では、応援しに行くと、子どもが嫌がるんだって。そういう意味では、野球部だったおかげで、親が一緒になって応援して、送り迎えして、本当によかったと思うわ。」

私「そうか考えてみたら、野球部だったから、親がみんなで応援したり、送り迎えしたりできたんだ。
(他の部に比べて親子の絆ができたんだ。)」

◆3 ケーキで健闘をたたえる

夕食後、アキコのこれまでの健闘をたたえて、ケーキでお祝いした。
アキコから好きなケーキを選ぶのだが、うれしそうであった。

アキコに、野球部の活動をとおして何を学んだか聞いてみたが、いきなり聞かれたも困ったようで、返事はなかった。

◆4 M監督へのお礼状

さて、早いうちに1年生から指導してくださったM監督に親としてお礼状を書くことに決めた。
7日(日)に野球部のミーティング(次期の部長決めか?)があるというので、それまでに書くことにしていた。
ところが、ばたばたしていて、アキコが登校する15分前に書き始めることになった。
なんとか15分間で礼状を書き上げることができ、子どもをとおして渡してもらった。(もうじき届くはずである。)

■M監督へのお礼状

平成25年7月7日(日)

M 先生へ

拝啓 アキコの父親のファーザーです。いつもアキコがお世話になっています。ありがとうございます。

さて、ようやくアキコの暑い夏が終わりました。
目標の県大会出場には及ばなかったものの、35年ぶりの郡市大会優勝!すばらしい快挙でした。
保護者の間でも、野球部の保護者に限らず、大きな話題となっているそうです。
アキコにも、貴重な経験と大きな自信となったと思います。
暑い夏が終わった夜、これまでのアキコの健闘をたたえて、ケーキでお祝いをしました。
その中で、妻と話したことには、バレー部や卓球部などではなく、野球部だったから、送り迎えをがんばれ、応援も子どもに歓迎され、親子に絆が深まったということでした。
他の部では試合の応戦など、子どもに歓迎されないとか、送迎を含めそもそも練習試合などの機会がほとんどないとか……。
確かに土・日に家族のふれあいの機会が減ったのは困った面がありましたが、応援にも行け、そういう意味での家族の絆も深まりました。
アキコ自身、夜の素振りや、夕食後の食器洗いを含め、紅一点野球部に入って、土・日を含めてみっちり友達といっしょに練習し、成果をあげたことは大きな力になったに違いありません。とりわけ野球は、チームワークが要求されるものなので、余計によかったように思います。
3年間ご指導本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます。

今後とも、アキコをよろしくお願いいたします。
敬具
ファーザー

追伸 できましたら、「野球部の活動をとおして学んだこと(得たこと)」などのタイトルで、作文を書かせてくださるとありがたいです。きっと得たことの大きさに、書いた子ども自身が驚くのではないでしょうか。それを、たとえば文集などで共有することで、お互いの学びが広がるのではないかと思います。また、親としても知りたいところです。文集までいかなくても、そのような機会を設けてくださると、親としてはありがたいです。

◆5 アキコが3年間の部活動を通して学んだこと

アキコは3年間の部活動をとおして一体何を学んだのだろうか?
この3年間、テスト前を除けば、ほぼ8割土・日の練習ないし練習試合があった。かけたエネルギーはすさまじいものがある。
これだけのエネルギーを投下したのだから、その対価として得たこと、学んだことは、大いに興味のあるところである。

私は、部活動をとおして人格を育てるならば、節目節目でこのような作文を書かせることがとても有効だと考える。
かくて「追伸」という形で、監督に要望となってしまったが、「部活動をとおして人間形成をする」と言っていたM監督にとっても大いに意味あることだと考えるが、どうだろう。

●高校推薦入学のための「推薦依頼書」には、ア~エまで書く項目があるのだが、「イ 学習態度や生活態度が良好で、人物が優れている。」ことを書く欄、いわゆる自己PRをする欄があった。
アキコは、そこで野球部での学びを書いていた。

■アキコの文章

私は、中学1年では学年委員、2,3年では学年委員長を務め、学年レクでは学年全員が楽しめるように企画することを心がけてきました。おかげでみんなのことを考えて人をまとめる力がついたと思います。
野球部に3年間所属し、土日も休まずに男子と一緒に野球に打ち込んできました。おかげで、自分を甘やかすことなく、常に上を目指して過ごすことができました。そして、野球をというチームワークが大切なスポーツをしたことにより、周りを考えて動けるようになりました。私は、ほぼベンチメンバーだったので、今、何をすれば選手は喜んでくれるかということを常に考えて行動していました。そのため、引退するときには、選手の中で私に「ありがとう。」と言ってくれる人もいました。
この「みんなのことや周りのことを考えて行動できる」ということが、私のよさだと思います。
第997号より)

アキコが文章の分析

この短い文章に、アキコが野球部を通して学んだことが凝縮して書かれている。
さらに、整理してみると次のようになる。

>3年間、土日も休まず(厳しい)野球部の活動に打ち込んだこと。
→ 自分を甘やかさない。常に上を目指して活動した。

野球部は郡市大会優勝から県大会出場という高い目標を立てて練習に励み、試合に臨んでいた。つまり、常に上を目指して活動していたわけである。実際郡市大会には優勝した。自分を甘やかさないという意味では、いわゆる根性がついた。これらの点は、受験勉強にも生きていると思う。

>野球というチームワークが必要なスポーツをしたことにより、周りを考えて動けるようになった。

アキコは、バントをするにしても走塁するにしても送球するにしても、常に全体の動きを考えチームワークを意識していたであろう。これが野球というチームワークが必要なスポーツの特徴である。
アキコ場合、そればかりではなかった。一時期レギュラーになったものの、ほぼベンチメンバーだったアキコは、今、何をすれば選手は喜んでくれるかということを常に考えて行動していたという。試合前に監督がノックをしていたが、傍らにはアキコがいて、監督がノックをしやすいようにボールを渡していた。アキコは、スコアーをつけながら、大きな声でいつも応援していた。重い野球道具を運んだり、バットを片づけたり、グランド整備をしたり……そんな姿を思い出す。

これ以外にも、体力作りに大いに役だったと思うし、男子の中で3年間活動したことは将来なんらかのプラスに働くと思っている。

まさかの紅一点の野球部入部(最初は先輩に1名女子がいたが)ではあったが、今にしてみると、野球部で本当によかったと思う。レギュラーになれなくても、たくさんの学びをしていたことがわかったから。
親としてうれしい限りである。

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