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朝倉千恵子『運を整える』の書評

『<天は自ら助くるものを助く>を地で行く女社長の、開運術』

確か15年ほど前だったと思いますが、フナイC Dで朝倉さんが登場したことがありました。

はたから見れば幸せな家庭そのものだった9年間の結婚生活を捨てて、
子どもを捨てて1人で生きる道を選んだ朝倉さん。
インタビューアーの人見ルミさんとの対談で、
涙声で子どもとの別れを話されたことを思い出しました。
子どもと別れることのものすごい辛さが伝わってきました。
本書を読んで、息子と再会できたのは15年後、娘と再会できたのは24年後で、
会いたいという願いが叶ったことがわかり、本当に良かったなと思いました。

さて、プロローグで「自分の人生の手綱を自分で握ることが、運を整え、強運を手に入れる第一歩だと私は思います」とあるように、本書の内容は、<天は自ら助くるものを助く>を地で行く女社長の60年余りの人生に裏打ちされた「開運術」です。

実際、はたから見れば幸せな家庭そのものだった9年間の結婚生活を捨てて、
子どもを捨てて1人で生きる道を選んだ一点からも、それがわかります。

「人生、山あり谷あり、まさかあり」な訳ですが、
朝倉さんの人生にも、たくさんの試練が襲っています。

・株に手を出し失敗し、4000万円の借金を抱える

・借金を返済するためにトリプルワークで働きづめ、2度ほど死にかける

・家具一つ買えない貧乏暮らし

・そこしか雇ってもらえないから、(営業なんてやりたくない!)のに、
「はい、営業をやります!」

・会いたくても会えない、息子と娘…

・「株に手を出して失敗…」
(すぐにでも子どもたちを取り返せるだけの経済力を身に付けないといけないと焦り、一攫千金を狙った)以下の経験が「ルール2 決して一発逆転を目指さないこと」につながるように、
この本に載っている48の開運ルールは、すべて朝倉さんの経験に裏付けされたものです。

ですから、説得力があります。

「朝倉さんの逆境と比べれば、私の逆境なんて石ころみたいなもの」、
こんなふうに思えるだけでも、儲けものです。

今、逆境の渦中におられる方、来るべき逆境という大難を小難にしたい方にオススメの開運術です。

🔹1. 逆境でもめげない強さをもって、人生を切り開いてきた朝倉さんならではの開運術

🔻ルール6:「幸運を呼び込む言葉を使おう」では

◾️マイナスのD でも〜、だって〜、だけど〜、どうせ〜の後に続く、

「でも、そんなこと言われたってできない」

「だって、私には無理」

「だけど、やっぱり応援してくれる人がいないから」

…ネガティブな言葉ではなくて、

◾️プラスのD=スーパーD だからこそ!

を使いましょう。

「だからこそ、チャレンジしませんか?」・・・本書53-56pp

 

「あなたどんな大変な状況に私が置かれているかわからないから、そんなこと言えるよの!」と

普通なら言い返したくなるかもしれませんが、
それ以上の逆境をくぐり抜けてきた朝倉さんの言うことなら素直に聞けるかもしれません。

🔻ルール17:「苦しいときこそ笑うのが大事」では

「しんどい時こそ胸を張れ!」

「辛いからこそ笑え!」

 

これも、「あなたどんな大変な状況に私が置かれているかわからないから、そんなこと言えるよの!」と

普通なら言い返したくなるかもしれません。

 

「人は素敵な笑顔あるところに自然に集まってくるのです〜

しんどそうな顔をしていても、誰も助けてくれないし、
むしろ人は離れていくばかり。
それならせめて、心と逆をやろうと「しんどいからこそ笑え!」と自分に言い聞かせてきました」102-105pp

 

朝倉さんによれば、「運気アップと笑顔は密接に関係している」のだそうです。

🔻ルール13:「決して運まかせにしない」では

「運に期待しているうちは、成功などできません。

『チャンス』とは、自らの手でつくりだすものだから」

こういう出だしのルール13では、事例として、

 

>あるイベントで集客がうまくいかず、このままいけば大赤字になってしまうというピンチがありました。
あの手この手で告知をしたものの、申し込みはいっこうに増えませんでした〜

私は、このままではイベントが大失敗してしまうという危機感から、
様々な人に、集客で苦戦しているという事情を正直にお話し、
告知協力のお願いの連絡を入れました〜

中には、図々しいと思われる方もいらっしゃったかもしれません。
しかし、待っていても、誰かが勝手に情報を拡散してくれるなんてことはあり得ません。
こちらから働きかけてお願いをしてみてはじめて、YESかNOもわかります〜
可能性が1%でもあるのであればと、私はそこに賭けてギリギリまで行動し続けました。
その結果として、運の花が咲いのです。88-90pp

 

結果的に、そのイベントは最終的に満員御礼で、当日を迎えることになったそうなのですが、
逆境でもめげない強さをもって、人生を切り開いてきた朝倉さんならではの開運術ですね。

🔹2. 礼儀礼節を重んじることで、良好な人間関係を築いて「他力」を使う

「自ら助くるものを助く」とは言っても、やっぱり自力だけでは足りません。

ルール13で挙げられていたエピソードからは、自力の側面はもちろんありますが、

「ある方がS N Sを通じて告知をしてくれた」から、
「その方の影響力でイベントの情報が拡散され、結果的にたくさんの方にイベントに参加していただけた」という訳なので、
他力を使ったわけです。

その方の運を使ったとも言えます。

大難が来ても、良好な人間関係を築いておいたことで、小難に変わったとも言えるでしょう。

 

他力を支えた理由は、

 

「礼儀礼節を重んじ、円滑な人間関係を築くための日ごろの努力の積み重ねがあるからこそ、ここぞという時に助けてくださる方が現れるのです。

これは、どんな人であっても、マメな行動とマメな努力とマメな種まきによって、強運を掴み、開花させることができると言い換えることもできます」90p

 

とあるように、礼儀礼節を重んじてきたからです。

 

朝倉さんの開運術で、「礼儀礼節を重んじる」のは第二の柱になっています。

例えば、

🔻ルール9:神様の前に、周囲の人を大事に扱う

があります。

この「神様の前に」と一言付いているのが、朝倉さんらしいところです。

神社参りやパワースポット巡り、開運の壺を買うよりも前にすることがあるというのです。

 

「私は、出会い運こそが人生運だと確信しています。運が良いかどうかは、人との出会いがすべてです。
良いご縁を得られるかどうかは、日常の行いがすべてです。

相手から「会いたい」「また話がしたい」と思われる、また周囲の人から「この人を〇〇さんに合わせてみたい」と思われるには、自分本位で良いはずがありません。
相手のことを懸命に考えながら、相手のために時間を使うからこそ、「また会いたい」と思っていただける。

〜声を上げたときに「あなたのためなら一肌脱ぐよ」と快諾していただくには、やはり日ごろからの良いコミュニケーションの積み重ねと、相手に対する礼儀が欠かせません。
礼儀とは、相手を大切に思っているという目に見えない心を、形に表すことだと私は考えています。

〜人から何かをしてもらうことばかりを求めるのではなく、反対に「どうすればこの人は喜んでくださるだろう?」と一生懸命考えてください。尽くせば尽くされるのです」69-73pp

🔻ルール16:物でもお金でもないギフトを贈る  の中でも、

「私は生きる上で「礼儀・礼節」をとても大切にしています」

「まさに礼儀とは生きる力であり、相手を大切に思っている、敬っているという気持ちを形に表す行為です。
そのように考えると、自分自身の立ち居振る舞い、選択のすべてが相手のギフトになり得るものです」

と書いています。

そして、具体例として、

「デートする場合、一緒に食事をする相手が喜ぶ服装で、プレゼントやお店選びだけでなく、服装や表情、会話のテーマまで「どうすれば、相手がもっと心地良い時間を過ごせるかな?」という発想で選択すれば、振る舞いのすべてが相手のギフトになります」99-101pp

と書いています。

「ありがとう」の言葉をまっすぐに伝えるギフトの例も挙げていますが、私も体験的に納得できます。

🔻ルール4:運が味方したくなるような自分磨きをする

「まず、何よりも、自分自身を磨く努力が欠かせません。
なぜなら、ちっとも魅力的ではないのに、努力もしていない人に対して、他人も神様も味方する気持ちなんて起こらないからです。

これは逆に、自分を磨き、魅力的な人になれば、自然と周囲が応援したり、手助けしたりしてくれるようになる、と言い換えることもできます」

とあるように、「良好な人間関係を築いて他力を使う」には、やっぱり自分磨きが大切。

共感するところです。

🔻ルール39:誰に対しても同じ態度で接する

これも、良好な人間関係を築く上では必須だと共感します。

🔹3. ここまで書いてきた僕は何者か!?

2021年3月末で小学校教員を退職し、「オンライン親の学校」を立ち上げ、まさに起業真っ最中の身です。
自宅で「発達凸凹ミラクル塾」を運営する一方、発達凸凹な子どものママのための、子育て相談・講座を提供しています。
ママパパ向けの子育て講座は、まだ軌道に乗っていません。ですから、必死です。

昨日は、商工会議所に行き、無料の子育て講座「発達凸凹な子どもが落ち着き、どんどん良くなる家庭での関わり方」として、「まちゼミ」参加の手続きをし、freeeで会計処理しました。個人事業主なのですべて1人で企画から手続き、実行まで1人でやらなければならず、「めんどうくさいな」とも思いつつ。

そして、この『運を整える』を読んでいました。

今日、『運を整える』を改めて読み直しつつ、こうしてAmazonレビューという形の書評を書いています。

🔻ルール1:めんどうくさいことこそ喜んでやろう

「〜大事な事は、すべてめんどくさいのです」

「手っ取り早く、運を掴む方法を知りたい」。
それが多くの人にとっての本音です。
地味でめんどうくさいことをコツコツとやりましょう!なんて、はっきりってウケません。
書籍でもSNSでも、「簡単にできる」、「今すぐ結果が出る」と謳い、楽して結果が出ることを匂わせたほうが、人がワッと集まってきます。

しかし、私自身の60年の人生、40年の仕事人としてのキャリア、20年の経営者生活を振り返ったときに、結局差がつくのは「いかにめんどうくさいことを、ちゃんとやれたか」だと気づいたのです。

 

「成功者が今やっていることを上部だけ真似してみたり、ときには「あの人は環境が恵まれている」なんて嫉妬にかられることもあります。
しかし、実はその裏に何ヶ月も、何年も、何十年も積み上げてきた努力や、築いてきた信用・信頼があることを忘れてはならないのです」33-36pp

 

私は、退職7年以上前から、ママパパ向けの子育て相談・子育て講座をやりたくて、ずっと準備してきました。
退職後は、「三匹目(レンガ積み)の子豚作戦」と自称して、起業成功に向けて丁寧にやってきました。

 

著者とは、ほとんど同い年ですが、起業家としては大先輩です。
この本を読んでみて、幸いなことに私の心構えややり方は、間違っていないと思えました。

ただし、真剣度、必死度がまだ足りない! 真剣度のギアをワンランク上げることに決めました。

このことが本書を読んでの、一番の収穫だったと思います。

ずっと購読している月刊誌『致知』の2024年6月号(今月号)146pに書評が載っていたので購入したのですが、推薦に足る本でした。

朝倉さんとは、いつか起業家として成功したら、会って話してみたいなと思いました。

🔹3つの番外編

①朝倉さんがかわいいと思えたところ

🔻〜私の処女作『不思議と説得力のあるセールストークの秘密』が生まれました。はじめての本が世に出たときには、本当に嬉しくて、本を抱いて寝たものです。

私も処女作『うちの子、どうしていうこと聞かないの!と思ったら読む本』が出版されたとき、嬉しくて嬉しくてたまりませんでした。だから、「本当に嬉しくて〜」という気持ちがわかるのです。

それを「本を抱いて寝た」という表現に、思わず「この人、かわいい」と思ってしまいました。

②私が拍手喝采したエピソード

🔻受講生と断捨離の話題になった時、ある受講生が「真っ先に断捨離したいのは、主人です」と冗談まじりに言ったことに対して、朝倉さんが表情を変えて伝えたこと

 

「〇〇さん、厳しいことを言わせていただいてよろしいですか?〇〇さんが今趣味でやられているそのお仕事は、旦那様の報酬がなくても続けられますか?生活は維持できますか?」

「………。無理です……。」

「だったら、外で旦那様の悪口を言っていないで、旦那様にもっと尽くしてください。そうすれば、きっと旦那様は〇〇さんのお仕事に対しても、もっと協力的になります」

これは

🔻ルール45:パートナーに感謝する に載っている事例なのですが、私は拍手喝采でした。

「専業主婦であっても、家計は旦那様の収入で成り立っているのであっても、たった1枚のお札、1万円を稼ぐのがどれだけ難しいことなのかということは知っておかなければなりません。

旦那様が朝から晩まで働いて、390円のお弁当を食べている間に、奥様は昼から3000円の高級ランチで女子会をし、旦那様の愚痴で盛り上がる。そんな姿はやっぱり美しくないな、と思います。

なお、この女性は私の真意に気づき、この一見おきに旦那様に対する考え方をすっかり直してくださいました。すぐに旦那様に日ごろの感謝を伝え、今ではすっかり夫婦円満だそうです」228-230pp

③いつか孫育てに関われるように、東京にオフィスをもつ

🔻離婚した直後、コップやお皿を買うことに躊躇するほど、お金がありませんでした。それから、株で失敗し、教育会社に再就職をした後、1つ決意をしました。そして、いただいた賞与で当時の部屋に釣り合わない高級家具を購入しました。

「いつか、この家具にふさわしい家に住む!」

そう決めたのです。

「いつか、必ず!」と決意し、理想の暮らしのイメージを思い描きながら、貧乏暮らしには全く釣り合っていない家具を、毎年1つずつ揃えていきました。今の自宅は、当時の理想のイメージにとても近いものになっています。憧れでしかなかったはずのものが、気づけば現実になっていました。

この箇所とてもステキだな❤️

子どもを思い切り飛ばしたい、という信念のもと、子ども2人とも、県外それも東京の大学にやりました。長女は第一希望の山梨県のあるプライム上場企業に勤め、次女は大学3年生で公認会計士試験に合格し、あと1年足らずで卒業後は、東京でそのまま監査法人の仕事です。

そうすると、2人とも地元の新潟に戻って来ない。私は、実母を看取った後は、子どもたちの孫育てに関われるように、立ち上げたママパパ向けの子育て講座を行うビジネスを成功させて、東京にオフィスをもつ。そう決めています。

久しぶりに女性経営者の、読み応えのある本を読みました。

ディスカヴァー・トゥエンティワンの元社長、千場弓子さんの『楽しくなければ仕事じゃない』以来ですね。

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