④着替えや歯磨きなど、自分のことが自分でできない
④着替えや歯磨きなど、自分のことが自分でできない → P135,255へ
●5年生にもなったのに、自分で朝起きられません。着替えも遅いし、歯磨きも言われないとやろうとしません。脱いだ服も脱ぎっぱなし、カバンも玄関に放りっぱなし。何度注意してもなおりません。本当にイライラします。(10歳女児の母)
『うちの子、どうして言うこと聞かないの!と思ったら読む本』より
いわゆる自立のためのしつけー「基本的生活習慣」ーと言われるものです。本来ならば、小学校就学前の6歳までに習得させたいことですね。
具体的な内容のあらましを書くと、次の5つになります。
1食事の習慣:スプーンや箸を使って、正しいマナーで好き嫌いなく食べられる。
2睡眠の習慣:夜ふかしをせず、朝、自分で起きられる。
3排せつの習慣:自分で排便・排尿ができる。
4着脱衣の習慣:ひとりで衣服や下着、くつ下、くつなど着脱できる。
5清潔の習慣:歯磨き・洗面・お風呂で体や髪を洗う。
これらは、基本的生活習慣と呼ばれるぐらいですから、乳幼児期の子育てで最も重要な内容であると言えるでしょう。
さて、この場合、「5年生になってもできない」ということで、相当イライラしている様子が見て取れます。
まず、どんな能力であっても、それを身につけるにはそれなりの練習が必要で、○歳になったから自動的にできるようになるというものではありません。つまり、一つ一つ教え育てる必要があるのです。子育て(教育)にマジックはないのです。
私は、30代の男性でひとりで食べることはできるのに、ひとりでは排泄ができない人を知っています。その人はもともと障害をもっていた子だったのを、おばあちゃんがとてもかわいがって世話していたのです。しかし、おばあちゃんは、足が悪かったためにその子をトイレに連れて行けず、瓶の中に排泄させていたのでした。つまり、トイレットトレーニングができていなかったのです。
ただ、この場合、着替え・歯磨き・衣服の着脱・カバンの移動など、能力的にはできるのにきちんとやれないことが問題なのでしょう。言い換えれば、習慣化していないとも言えます。
教え育てることの原則は「できる状態において挑戦させ、できたらほめる」ということになります。
この場合は、「原則9感情に流されずに立ち止まって考えましょう」(『うちの子、どうして言うこと聞かないの!と思ったら読む本』)が有効そうです。
●感情に流されて叱っても、子どもは無視したり反発したりで逆効果。おまけに親子のバトルに発展することすらあるのです。 親は、自分のイライラした感情に流されず、それをコントロールする必要があるのです。 (同書257ページ)
このように書き起こして、次の5つのイライラ対策を紹介しています。
・イライラ対策1 不満をアサーティブに「私メッセージ」で伝える
・イライラ対策2 「言っても言わなくても変わらないこと」は言わない
・イライラ対策3 問題行動のランクづけで心のゆとりを持つ
・イライラ対策4 効果のない方法はキッパリやめて他の方法を探る
※「何度注意してもなおりません。」とあるように、こうした注意では今までに効果がほとんどなかったわけです。だったら、「押してもだめなら引いてみる」の格言通り、「効果のない方法はキッパリやめて他の方法を探る」が賢明というわけです。
・イライラ対策5 自分を変える「インサイドアウト」
以上、5つです。
付け加えれば、朝自分で起きることは、本来その子自身の課題であって、親の課題ではありません。遅刻して本人が先生に叱られることも、効果的かもしれません。
あるいは、目覚まし時計を買い与えることも、案外有効かもしれません。このように、いろいろと方法を考えて試してみるのです。
『うちの子、どうして言うこと聞かないの!と思ったら読む本』には、先に紹介した「イライラ対策」の中で、具体的にいろいろな方法を紹介しています。本事例のように、子どもの問題行動にイライラして困っておられるのなら、本書を手にとってご覧になることをおすすめします。