⑩泣いたり叩いたりして自分の要求を通そうとする
⑩泣いたり叩いたりして自分の要求を通そうとする → P231、215へ
●好きなお菓子を買ってくれるまで店先で泣いてだだをこねたり、自分が使いたいと思うと友達が使っているおもちゃを取り上げたり……自分の要求を強引に通そうとすることが多く、とても心配です。(5歳児の母)
『うちの子、どうして言うこと聞かないの!と思ったら読む本』より
こうした問題に悩んでいる親御さんも少なくないでしょう。
■年齢相応の適切な要求ができるようにする
赤ちゃんは、「泣く」ことで、さまざまな欲求を伝えます。 「おながすいたよ。(オッパイがほしい)」「おむつがぬれて気持ち悪いよ(ぬれたおむつを替えて)」「目が覚めたよ(かまって)」などです。このように「泣く」という行動には、どれも肯定的な意図があるのです。(同書231P)赤ちゃんが泣くことでいろいろな欲求を伝えても、誰も赤ちゃんを責めないと思いますが、どうして5歳児の場合は、問題になるのでしょうか。それは、年齢相応の適切な行動で要求を伝えていないからです。通常は、大きくなるにつれて、「泣く」ということで自分の欲求を伝えることはほとんどなくなってきます。「お菓子を買って!」「そのおもちゃを貸してくれない?」「いっしょにキャッチボールしようよ」……というように、年齢相応の適切な行動で欲求を伝えることができるようになってくるからです。
■母親や身近な人とのやりとりを通して少しずつ身につけていく
「~お母さんがいっしょに砂遊びをしながら、子どもが使っているスコップを指さして「貸して」とお願いします。子どもは、大好きなお母さんのお願いですから、貸してあげます。すると、お母さんは、子どもを見つめてにっこりほほ笑みかけながら、「ありがとう」と言って借りるのです。子どもは、お母さんの笑顔や「ありがとう」と言葉に触れて幸せな気持ちになり、「貸してよかった」と思うのです。 あるとき、子どもの方がお母さんの使っているカップを借りたくなります。お母さんは、勝手にとろうとする子どもを制して、「カップを借りたいのね。そんなときは、『貸して』というんだよ」と教えます。「さあ、言ってごらん」と促すと、子どもは「貸して」と言います。するとお母さんは「上手に言えたね」と言ってほめながら、子どもにカップを渡すのです。 かくて子どもは、お母さんにほめられ、カップを借りられて満足するわけです。他の似たような場面でも、同じようなことがくり返され、だんだんと自分から「貸して」と言えるようになってくるわけです。(同書232Pより)
■この事例は「誤学習の結果」です
おそらくは、「貸して」と許可をとってから借りるという適切な伝え方を学んでいない(未学習)ので、できないのです。あるいは、赤ちゃんの時のように、「店先で大泣きしたら、親がしぶしぶ買ってくれた」ことがあったので、「何か欲しいものがあったら大泣きすればよい」と不適切な行動を学習(誤学習と言います)したのです。
■では、誤学習を改善するには、どうしたらいいの?!
「貸して」と言えば、貸してもらえ、かつ「よく言えたね」とほめられる。こうした経験を積み重ねていくことで、誤学習や未学習の結果として見られる不適切な行動(問題行動)を改善していくことができます。
■親の「言葉の重み」を大事にしましょう
これは、躾け上の基本であり、原則です。ですから、『うちの子、どうして言うこと聞かないの!と思ったら読む本』の中で、「原則7 親の『言葉の重み』を取り戻しましょう」として、7番目の原則として紹介しているのです。
もしすでに子どもが、「親が買わないと言っても、だだをこねるれば買ってくれるんだ」というような誤学習状態であるならば、本書のトライアルラン(220p)などを使って改善できます。手に取ってみてください。
■参考1 「ダメはダメ!」は、しつけの要