◆1 家庭があたたかい言葉でいっぱいになったら
「この料理、おいしい!」
「お風呂掃除してくれて、助かったわ。」
「プールとっても楽しかった!(連れてってくれて)ありがとう!」
「今日のダンス発表、クニコは本当に上手に踊っていて、そんな姿を見られてうれしかった!」
「一生懸命エレクトーンの練習をしている姿をみると、安心するわ。」……
「帰りが遅かったから心配してたの。無事に帰ってきてくれて安心したわ。」
家庭がこんなあたたかい言葉でいっぱいになったら、お互いにより仲良くなり、あたたかい関係が築けるに違いありません。
言われた方は、したことが認められ喜ばれてうれしいし(してあげた甲斐があった)、もっとしてあげようと意欲的になるでしょう。
◆2 なぜあたたかい言葉が出ないのか?!
それなのに、「めったなことでは、そんな言葉が出ない」そんな家庭が意外に多いのではないでしょうか。
その原因を考えてみると
① 当たり前だと思っていて、感謝・感動の気持ちがにぶっている。
→(どこかに連れて行ってくれるのも、愛情のこもった料理がおいしいのも、ダンスが上手なのも、当たり前だと思っている。または、「楽しい」、「おいしい」、「うれしい」、「助かった」…などの自分の気持ちに鈍感になってしまっている。)
② わざわざ言われなくてもわかる。
→(「おいしい」なんて、わざわざ言わなくてもわかる。)
③ これまでにそんな習慣がなくて、照れくさい。
→(「おいしい」「うれしい」「楽しかった」なんて、わざわざ言うのは、照れくさい。)
④ そもそも気づかない(あれども見えず)
→ (①とかぶるが、鈍感になっていて、気づけないでいる。)
⑤ 知らない
→(情報が入っていない。たとえば、ダンスを見に行っていない。行けなくても、後でビデオで見ることもしない。最悪のケースでは、ダンス発表会があったことすら知らない。)
⑥ モデルを体験していない
→(そんなあったかい言葉でいっぱいの家庭に育っていないから、語彙がない)……
つまりは、そうなるだけの背景があるわけですね。
⑥のモデルの体験は、子ども時代に育った家庭環境ということですが、何年にも及ぶわけでその影響は大きいでしょう。
私自身、次のような経験がありました。
◆3 実母の示した模範
実母がよく母の友達やお客さんの服装をほめていたのです。
私が保育園や小学生の小さい頃、実母は編み物の先生でした。その後、時代の移り変わりと共に洋服を作るようになっていきました。
その母が友達やお客さんが家に来ると、必ずと言っていいほど、「あら、その服ステキね!」「とても似合っているわよ!」と、服に触れながら話していました。そんなとき、決まって母の友達やお客さんは、うれしそうな表情を見せていました。
何百回となくそんな場面を見ていた私は、大人になっても、職場の人に対して、母と同じように、相手の服装に自然と目がいき、服装についてほめていました。それが当たり前のように。
母は私に模範を示すつもりで言ったわけではないでしょうが、私はそれを自然に影響されていたのです。言い換えれば、いつの間にか母の言動をモデリングしていたのですね。(これがモデリングの恐いところで、よい言動も、できればまねて欲しくないよくない言動も、子どもはモデリングします。)
この点からしても、将来のわが子への影響を考えて、あたたかい言葉を使っていきたいものですね。
◆4 私が子どもに示した模範
私はよく言うことは、食事中に「これとってもおいしいね。」という言葉です。
子どもも、しっかりとモデリングしてくれています。アキコもクニコもよく「本当、おいしい。」とか、私が言う前に「これおいしいね。」とよく言っているのです。
料理を作った妻は、うれしそうに、その言葉を聞いています。
やはり率先して模範を示すことが一番効果的でしょう。
昨日の午後、家族4人で農作業をした。アキコ(小4)もクニコ(年長)もとてもがんばってくれました。そこで、
私「アキコとクニコがビニール(雑草を防ぐマルチ)をひっぱってくれたおかげで、仕事がはかどって助かったよ。ありがとう。」
このように伝えました。
すると、アキコもクニコも満足そうな表情を見せました。やっぱりそう言われた方はうれしいのです。
もちろん、前回の記事のように、あたたかい言葉(ほめ言葉)を言えているようでいて、心がこもっていなくて伝わっていない(先の①当たり前だと思っていた)ことがあったり、疲れていて④あれども見えず状態になっていたりすることもありました。先の⑤知らないということすらありました。(「お父さん、アキコはこんないいことをしてたんだよ。」と妻に言われて気づいたことがありました。)
しかし、あたたかい家族をつくるという願いがあるから、照れくささがあっても、あれども見えず状態になっていることがあっても、その方向にリードすべく、率先して使っていこうと思っています。
付記
どちらを選ぶかは、本人の選択しだいです。
家族間で、お互いにより仲良くなり、あたたかい関係を築きたかったら、率直に自分の肯定的な気持ちー楽しかった・おいしかった・うれしかった・助かった(ありがたい)ーなどを表現する道を選ぶしかないと思います。
現状、先の6つの原因のすべてに当てはまったとしても、人は変われるものですから。
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