《読み始める前に》
子どもは親から多くを「もらう」存在。
でも、ある時から「親に与える」存在にもなります。
初任給で寿司を奢ってくれた娘の一言に、親としての幸せを強く感じた日の記録です。
パパの子育て奮戦記:大人になってから編(2025.6 週末)
長女アキコ(26歳)、次女クニコ(23歳)、ママ、パパ(私)、祖母(89歳)
■「ちょっと帰るね」——ふいに届いた連絡
この3月、次女が大学を卒業しました。在学中に公認会計士の資格を取り、4月からは都内の監査法人に勤めています。
「最初の数ヶ月はとにかく忙しい」と聞いていたので、当分は帰省できないだろうと思っていたのですが——
6月のある週末、ふいに「ちょっと帰るね」と連絡が。
わずか2日間でしたが、久しぶりに家族3人が顔を揃える時間ができました。
■いつもの寿司屋で、さりげない“初任給”の一言
新幹線の燕三条駅まで迎えに行った帰り、いつもの寿司屋へ。そのまま、妻と私、次女の3人でテーブルを囲んで、他愛ない話をしながら寿司をつまんでいました。
さて、お会計。そろそろ行こうかと席を立ちかけたその時、
「私が払うよ」と、次女。
一瞬きょとんとして、それから妻と顔を見合わせてしまいました。
びっくりしたのと、しみじみ嬉しかったのとで、ちょっと言葉が出てこなかったくらいです。
「同期がみんな、“初任給で親を寿司に連れてった”とか、“焼肉ごちそうした”とか言ってて。私も、早くやりたいって思ってたんだよね」
そう言って笑う次女の横顔を見て、ふと、自分が若い頃、初めてのボーナスで両親に寿司をご馳走した日のことを思い出しました。
「それなら最初に言ってくれたらよかったのに。もっと味わって食べたのに」
「ていうか、もっと高いやつ頼んだのに(笑)」
そんな、ちょっと悔しくて、でもやっぱり嬉しい——
何ともいえない温もりに満ちたランチでした。
■親からもらうだけじゃない、子どもが与える喜び
子どもたちが大人になり、自分の足で立ち、そして親を気づかってくれるようになる──
親として、こんなに幸せな瞬間があるのだとしみじみ思いました。
長女は結婚し家庭を築きながら、奨学金をコツコツ返しています。
次女は新しい職場で社会の一員として奮闘しています。
彼女たちのような若者が、これからの日本を支えていく。
そう思うと、自然と「未来への願い」にも心が向きました。
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■今、振り返ってみて
あの日の寿司屋での出来事は、私にとって何よりの「卒業証書」のようでした。
小さな背中だったあの子が、一人前の社会人として、親に「ありがとう」を返してくれるようになった。
その姿を見られたことが、何よりの幸せです。
📝 自分に問いかけてみる時間
親は「子どもに与える存在」、子どもは「親からもらう存在」──
そう思い込んでいませんか?
でも、子どもも「親に与えたい」と思っています。
やさしい言葉、ちょっとしたお手伝い、肩を揉んでくれること、誕生日に折り紙のプレゼント…
それは社会人になってからではなく、小さな子どもでもできることです。
あなたは、子どもからの「与える喜び」に気づけていますか?
そして、その芽を育てるような言葉がけをしていますか?
📝 簡単なワーク
👉 紙やスマホに書き出してみましょう。
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最近、子どもからもらった「優しさ」や「思いやり」を3つ書き出してみましょう。
(例:お皿を運んでくれた/誕生日に手紙を書いてくれた/疲れているときに肩を揉んでくれた) -
それを「嬉しかったよ」と子どもに伝えてみましょう。
言葉にすることで、子どもは「与える喜び」を知り、それがまた成長につながります。
💡 ポイントは、「子どもが与える側になれたこと」を認めてあげること。
それが、将来「与える喜びを知る大人」へと育っていきます。
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「あったかい家族日記」は、長女アキコ(2025年7月現在27歳・既婚)と次女クニコ(23歳・公認会計士)の成長を、パパの視点で約20年間にわたり綴った実録子育てエッセイです。
*二人が幼児だった頃から大学入学、そして結婚前後までの家族の日々を記録し、累計アクセス数は400万を超えました。
*七田チャイルドアカデミー校長・七田眞氏にも「子育てに役立つブログ」として推薦された本連載は、So-netブログ閉鎖(2025年3月)を機に、「記録」と「今の視点」を重ね合わせて再編集した〈日々の記録に、“今”を添えた子育てエッセイ〉として、noteで再連載しています。