最近毎晩のように親子でしている俳句かるた。親子で俳句かるたをすることは、一石二鳥どころか一石五鳥六鳥もの効用、価値がある。その効用、価値とは何か。
親子「俳句かるた」の効用 2006.11.25 1814−
俳句かるたにはまっているわが家
最近毎晩のように俳句かるたをしている。
『一茶百句俳句かるた』(鈴木鎮一選、絵:黒崎義介、書:秋山貴美子、社団法人才能教育研究会)を使っている。
夕食時のこと。いつものように、クニコ(年少、4歳)が一番食べるのが遅い。
妻「クニコ、早く食べないと、俳句かるたをする時間がなくなっちゃうよ。」
クニコ「あ~、だめそれ。」(早く食べようと、がんばるクニコ)
こちらが何も言わないと、
クニコ「ねえ、俳句かるたやろ~。」
と言う。
実は、クニコが一番、俳句かるたが好きなのである。なぜなら、七田チャイルドアカデミーで一茶の俳句を覚えてきたクニコにとって、アキコ姉ちゃんとほぼ互角に、私や妻とはやや有利に勝負できる唯一のゲームだからだ。
食卓を片付けた後、俳句かるたを並べる。そして、家族4人でかるたに興じる毎日である。
一人が(今のところ、私や妻が)読み、残りの3人が札を取る。
私「桐の木や てきぱき散って つんと立つ」
妻「はい。」(と言って取る。)
私「初雪や 一二三四 五六人」
アキコ「はい。」(と言って取る。)
私「六十年 踊る夜もなく 過ごしけり」
クニコ「はい。」(と言って取る。)
それぞれお気に入りの札がある。先に紹介した3句はそれぞれのお気に入りである。アキコやクニコは、ちゃっかりお気に入りの札を自分の近くに置いている。
お気に入りの札が読まれると、すばやく取り、満足そうな表情をしている。意味というよりも、取り札の絵や語感が気に入っているようだ。
「大根引き 大根で道を 教えけり」「昼飯を ぶらさげて居る かかしかな」というように、幼児であっても、絵をみればほぼ意味内容がわかる句もたくさんある。
一方で、「六十年 踊る夜もなく 過ごしけり」のように、意味内容が取り札の絵からはわからない句もある。
私「この句は、遊ぶ暇もなく夜遅くまで仕事をしてきた人生だったという意味かな~。」
などと、かるたをやりながらつぶやいたりする。
毎晩3ゲームくらいやっている。時間にして、20分足らずである。札の俳句を覚えていない頃は、もっと時間がかかっていたが、ほぼみんな覚えてきたので、一ゲームの終了時間が早くなっているのである。
そればかりでない。1ゲームを早く終える最大の秘訣は、100枚の札を40枚にしてやっていることである。こうすると、100枚やる場合の3分の1から4分の1の時間で終わる。なぜなら、枚数の多いはじめの頃ほど札を探すのに時間がかかるからだ。
こうして、クニコのリクエストに応え、毎晩俳句かるたを楽しむ我が家であった。そして、自然と俳句を覚えていくアキコ(小2、8歳)・クニコそして妻・私であった。
俳句かるたの効用
さて、ここで俳句かるたをやる効用を整理してみる。
1.家族で楽しいひとときを過ごすことができる。これこそがまず第一にあげられる効用だ。クニコやアキコの楽しそうな表情、笑顔を見るのは、それだけで親としては幸せである。つまり、子どもにとっても親にとっても楽しく幸せなひとときなのである。
2.親子の絆が深まる。親子の絆が深まるのは、やっぱり楽しい経験(あるいはがんばり抜く経験)を共有することである。「家族と一緒にいると楽しい。」「家に帰ると、安心する。」こんな家族にできるわけである。
言い換えれば、楽しい経験の共有を通して、家族の信頼関係の基盤をつくっていると言える。
3.楽しい経験の共有は、リフレッシュとなり、ストレス解消となる。これは、家庭が学校や仕事で疲れて帰ってきた子供たちや親にとって、癒しの場になるということである。
4.人間関係力を育むことができる。「負けてもぐずぐず言わない。」「勝っても、過度に誇らない。」「ルールを守って、ずるをしない。」……安心できる家族の間でこそ育んでいきたい力だ。
また、「クニコは俳句かるたが強い。」と親に認められること、「親にも勝てる」という自信を持つこと。自信や自分自身への信頼感を育む機会にもなるのである。
5.知的な成長を促すことができる。たくさんの俳句を覚え、俳句に興味を持たせることができる(た)。楽しみながらゲームを続けるうちに、無理なく自然と覚えてしまうのである。
俳句は日本の伝統的な文化であり、語感を磨くためにも、四季のすばらしさに気付かせるにも、学ばせたい内容である。これらに小さいときから親しんでいることは、価値あることだと思っている。
6.楽しい一つの遊びを教えることができる。これは、かるたというツールがあれば、他の友達などとも楽しめるわけである。
ざっと振り返るだけで、5つも6つもの効用が見つかる。つまり、親子で俳句かるたをすることは、一石二鳥どころか一石五鳥六鳥もの効用、価値があるのである。
使う時間も、わずか15分か20分で済む。とっても価値ある時間の使い方だと思っている。
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付記
・ゲームを早く終える最大の秘訣は、並べる札数を人数×10枚程度に減らすことである。これは、早く俳句を覚える秘訣でもある。
・俳句かるたで俳句を覚えさせるもう一つの秘訣は、楽しみながら繰り返すこと(楽しければ繰り返しリクエストが出る。)、句のはじめ五音で少し間をおくことである。そうすると、俳句全部を覚えている人が有利となる。自然と全部覚えようとする。
・紹介した俳句かるた以外にも、公文式の俳句カード春・夏・秋・冬で自作してもよい。各季節30枚で一茶の句に限らず、よい句が選ればれている。デジカメで撮ったりスキャナーで読み込んだりして作る。これで作ってやったこともある。2年ほど前に。このときは、季節ごとの30枚の俳句カードででやっていた。
・試験のためだけに覚えるだけなんて、もったいない。俳句は、日本の伝統文化である。子供が小さくて時間にゆとりがあるうちに、遊びの中でふれさせておきたい。