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★余命5ヶ月の母親が5才の娘のために何をしたかー竹下和男「『弁当の日』で何が育つか」の講演よりー

「5才のお子さんをもっていて、自分があと5ヶ月の命だったら、親として何をその子に残してあげるか!?」という問いで始まった、竹下和男氏の講演「『弁当の日』で何が育つか」を聴いた。視聴者(約800名)に感銘を与えた素晴らしい講演だった。わが家流に言えば、「母と子の料理教室」であるが、子どもが料理することには、ものすごい教育力があることがわかる。

竹下和男「『弁当の日』で何が育つか」の講演を聴いて 2010.1.6 第686号

ー感銘を受けた講演をどう生かすか?!ー

◆1 出だしで一気に引きつけられる

話の枕(導入)は、問いから始まった。

問い「5才のお子さんをもっていて、自分があと5ヶ月の命だったら、親として何をその子に残してあげるか!?」

であった。(1分ほど考えてみてください。)

その後、乳がん再発であと5ヶ月の命の母親と5才の娘、そして父親の姿が、スライドショーで流された。映像と文字がBGMといっしょに流され、一気に引きつけられた。

あと5ヶ月の命を自覚した母親は、残される5才の娘のために、心残りがないように何を残そうと思ったか。

自分のことが自分でできるように、

風呂洗い、くつ並べ、掃除、タンスの整理、自分の服の管理などなどを教えた。

そして、5才の娘には、まだ無理、危ないという気持ちもあったろうが、

心を鬼にして、包丁を持たせ、5才の娘に料理を教えることに決めた。

ご飯の炊き方、味噌汁の作り方、だしの取り方、野菜の切り方……

かくて5ヶ月が過ぎ、5才の娘と父親を残し、お母さんは逝ってしまった。

その後、その5才の娘が、お父さんのために、弁当を作ってあげたのである。

(……以上、スライドショーのため、音声がなく、私のメモによる再生である。)

こういう導入を、フックの効いた導入というのだろう。
私は、ここだけでこみ上げてくるものがあった。
ボクだけかなと思って、両サイドの女性を見ると、目にハンカチを当て、うるうる状態であった。

※ この話は実話であって、既になくなったお母さんが始めたブログ「早寝早起き玄米生活」は、父親が引き継いでいる。

◆2 講演に感動した人たち

乳がんの母親の話は、約10分、講演全体は約100分(1時間40分)であった。

最高のシェフによる料理コースがはじめから最後までおいしいと同様、最初から最後まで素晴らしい講演であった。導入の話は序の口で、あとからあとから事実を伴った感動的な話が続いた。笑いも頻繁にあった。

勤務校の女性の教職員たちの事前の評価は、

「この忙しいのに、弁当の日!? とんでもないわ!」

であった。 

ところが、この講演を聴いた後では、

「弁当の日の実践はやる価値がある。子供たちもそれをとりまく親たちもきっとよい方向に変わる。ただ、実践を始める前に、親たちにも、あの講演を聴かせた方がよい。」

であった。

弁当の日反対派から賛成派への180度の変容である。

このように、ただ感動するばかりでなく、考え方や生き方までをも変えてしまうところが、素晴らしい講演であった何よりの証拠である。

◆3 講演に感動した私は…

私は、といえば、「録音はご遠慮ください。」というアナウンスもなかった(前回の研修会の場合はあった)ので、ICで講演内容を録音していた。
IC録音はすぐに消せるし、パソコンにつないでCDとして編集・作成できるので、講演内容をよく録音する。録音するまでもない講演も多いが、あとでもう一度聞きたいという講演も多い。そこで、録音禁止でなければ、原則として録音している。

そして、その日の夜、3時間ほどかけて聴き直しながら、ミニタイトルを付け、講演CDを編集・作成した。

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妻に聴かせるためにである。そして、「母と子の料理教室」を充実させ、わが子に弁当を作ってもらうまでに、成長させたいなと考えたからである。

◆4 私が付けたミニタイトル

翌日、ラベルマイティというソフトで、CDラベルを完成させた。

■「弁当の日」で何が育つか 前編

1.枕=話は短く、収益は寄付      7分41秒
2.乳がんの母スライド      9分43秒
3.お父さんの弁当を作る花ちゃん 4分57秒
4.保護者の反対に中で始めた弁当の日  5分11秒
5.子供の調理能力の驚くべき実態   3分1秒
6.人に喜ばれる弁当づくりは楽しい   3分11秒
7.弁当の日スタート          4分57秒
8.弁当の日で育った下の子とそうでない上の子との大きな違い 4分32秒

※参考までにこの部分のみ音声をアップした(約3分4.73MBまで)

👉🎵こちら

9.親の料理の腕も上げた弁当の日    3分10秒
10.一つだけ成功した卵焼きvsひどい母   6分1秒
11.スライドで見る弁当の日       7分10秒
12.ピーマン入りチャーハンが嫌われた… 7分10秒
13.弁当に涙を流す父と祖母  5分12秒

■「弁当の日」で何が育つか 後編

1.コンクール賞金20万寄付      3分27秒
2.弁当の日のねらい(仕返し弁当他)    7分22秒
3.広がる弁当の日・スライド他     7分29秒
4.いろいろな弁当(独立宣言弁当、スタミナ弁当…)9分9秒
5.調理員さん表彰・弁当の日がつなぐ学校と保護者 4分36秒
6.弁当の日は、かわいそうな子がいるからできない?!6分46秒

◆5 聴く時間がないという妻に…

私は、講演の内容ー出だしの乳がんの母親が5才に料理を教えた話などーを伝えながら、
「とても感動するよい話なんだよ。5,6時間かけてCDにしたから聴いてくれ。」
こう話した。

妻「わかったけど、なかなか聴いている暇がないのよね。」

かく言う妻に、私は「この3連休に聴く暇がないようではダメだな。」と思い、
この土曜日、クニコの七田チャイルドアカデミーへは、ボクが連れて行くから、その間に聴いてくれ。」
と言ってみた。

妻「それならいいわよ。」

かくて、妻は聴いた。

◆6 妻の感想とわが家にどう生かすか!?

七田チャイルドアカデミーから帰宅後、

私「講演、どうだった。」

妻「よかったわよ。」

私「弁当の日、いいだろ。」

妻「でも、(講演を聴いていて)どうしても弁当を作れない事情の家庭もあると思ったのよね。講演の最後に、そんなケース(片親であったり、両親がいなかったり)でもうまくいった事例を聴いて安心したわ。」

私「わが家は、(月1回)『母と子の料理教室』をずっとやってきただろ。今年はもっと充実させて、8月にはアキコが一人でお弁当を作って、それをお父さんが食べたいな。」

妻「もう半分はできてるよ。お米をといでご飯を炊けるし、野菜サラダは作れるし……。」

私「そうか。だったらできるな。アキコが一人で作った弁当を食べるのが、楽しみ!」(そういえば、以前アキコから朝食を作ってもらったことがあったな…。)

かくてわが家では、ずっとやってきた月1回の『母と子の料理教室』を充実させて、この8月には、アキコ一人でお弁当を作ってもらうというめあてができた。
今から私は楽しみである。

◆7 竹下和男校長の夢

高潔な人柄である。
弁当の日についての本を数冊出版されているのだが、これまでの印税の270万はすべて学校に寄付しているそうである。

「弁当の日を通して、日本を変えたい!」

そのために、休日を返上して全国を講演しまくっている。「これまで250回ほど講演した」と確か言ったと思う。機会があったら、是非とも講演を聴かれることを強くお勧めする。

◆8 「弁当の日」に託した六つの夢他

最後に、当日の講演会資料の中にあった、竹下和男校長の『「弁当の日」に託した六つの夢』 および 『弁当を作る』(平成14年度 滝宮小学校の卒業生に贈ったことば・卒業文集への寄稿)を紹介したい。

■『「弁当の日」の原則』

1 子どもだけで作る

2 小学校5・6年生のみ

3 月1回、年5回

■ 『「弁当の日」に託した六つの夢』

1 「一家団欒の食事が当たり前になる夢」

2 食べ物の「命」をイメージできるようになる夢

3 子どもたちの感性が磨かれる夢

4 人に喜ばれることを快く思うようになる夢

5 感謝の気持ちで物事を受けとめられるようになる夢

6 世界をたしかな目で見つめられるようになる夢

■弁当を作る(平成14年度 滝宮小学校の卒業生に贈ったことば・卒業文集への寄稿)

あたたたちは、「弁当の日」を2年間経験した最初の卒業生です。
だから11回、「弁当の日」の弁当づくりを経験しました。
「親は決して手伝わないでください」で始めた「弁当の日」でしたが、どうでしたか。

食事を作ることの大変さが分かり、家族を有り難く思った人は優しい人です。
手順良くできた人は、給料を貰える仕事に就いたときにも、仕事の段取りのよい人です。
食材が揃わなかったり、調理を失敗したりしたときに献立の変更ができた人は、工夫できる人です。
友だちや家族の調理のようすを見て、技を一つでも盗めた人は、自ら学ぶ人です。
微かな味の違いに調味料や隠し味を見抜いた人は、自分の感性を磨ける人です。
旬の野菜や魚の、色彩・香り・触感・味わいを楽しめた人は、心豊かな人です。
一粒の米・一個の白菜・一本の大根の中にも「命」を感じた人は、思いやりのある人です。
スーパーの棚に並んだ食材の値段や賞味期限や原材料や産地を確認できた人は、かしこい人です。
食材が弁当箱に納まるまでの道のりに、たくさんの働く人を思い描けた人は、想像力のある人です。
自分の弁当を「美味しい」と感じ「嬉しい」と思った人は、幸せな人生が送れる人です。
シャケの切り身に、生きていた姿を想像して「ごめん」が言えた人は、情け深い人です。
登下校の道すがら、稲や野菜が育っていくのを嬉しく感じた人は、慈しむ心のある人です。
「あるもので作る」「できたものを食べる」ことができた人は、たくましい人です。
「弁当の日」で仲間がふえた人、友だちを見直した人は、人と共に生きていける人です。
調理をしながら、トレイやパックのゴミの多さに驚いた人は、社会を良くしていける人です。
中国野菜の値段の安さを不思議に思った人は、世界を良くしていける人です。
自分が作った料理を喜んで食べる家族を見るのが好きな人は、人に好かれる人です。
家族が手伝ってくれそうになるのを断れた人は、独り立ちしていく力のある人です。
「いただきます」「ごちそうさま」が言えた人は、感謝の気持ちを忘れない人です。
家族が揃って食事をすることを楽しいと感じた人は、家族の愛に包まれた人です。

滝宮小学校の先生たちは、こんな人たちに成長してほしくって2年間取り組んできました。
おめでとう。これであなたたちは、「弁当の日」をりっぱに卒業できました。
(引用終わり)

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*付記

・2010年1月、市の研修会で、香川県綾川町綾上中学校長(当時)、竹下和男氏の講演「『弁当の日』で何が育つか」を聴いた。
素晴らしい講演であった。
私が ここ3年間に聴いた講演(CDを通して聴いた講演を含む。私は、船井メディアの月刊CD情報:ホンモノトーク、ビッグトーク、ワクワク幸運塾、スペシャルインタビュー を定期購読しており、毎月4名の講演を聴いている。)の中で、ベストスリーに入る内容であった。

・講演の中で、竹下氏は「料理というのは、食材の命に作った人の命をあえることだと考えています。」と言っていた。たまたま講演翌日は、始業式の前日で、妻の作った弁当を食べていた。食べながら、「このお弁当には、妻の命があえられているのか」と思い、感謝して食べた。

・思えば、親が稼いできたお金も、稼いできた人の命がこもっているものではないだろうか。

・竹下和男氏の夢に共感した私は、妻だけでは余りにももったいなかったので、主催した市の教育委員会学校教育課課長(知人)に、作ったCDをメッセージを添えて贈った。すぐに感謝の電話が来た。
他にも何名か、影響力のある人に、作ったCDを送付するつもりである。これをきっかけに、講演依頼が増え、さらに私も共感した竹下氏の夢が実現されていけばと思う。

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